Ubisoftは、3月10日に発売予定のオンラインTPS/RPG「Tom Clancy’s The Division」(ディビジョン)のPC版のゲームプレイトレイラーを公開した。
このトレイラーでは、動画の画質を720p以上にすれば60fpsで再生することができる。
また、ディビジョンに採用されているグラフィックス技術も紹介されている。
丁度、ディビジョンのグラフィックス関連について書こうと思っていたのでついでにここで紹介する。
■Volumetric Fog (ボリューメトリックフォグ)
単にボリューメトリックフォグと言うと、雲や煙といった一定の形状があるフォグを計算によって表現するものだ。
動画の中でも煙や霧がリアルに表現されている。
霧の表現は、一昔前のゲームでは、単に奥に行けば行くほど白くなる程度だったが、ボリューメトリックフォグを使うことで、より複雑で立体的に表現することが可能となっている。
■Dynamic Global Illumination (ダイナミックグローバルイルミネーション)
光源からの直接光だけでなく、壁や床、物体に反射した「間接光」も反映させる技術がグローバルイルミネーション(大局照明)だ。
負荷が高くかつてはリアルタイムでレンダリングするのが難しかったが、DirectX 11世代に入ってからは様々な工夫によっていくつかのゲームで見かけるようになった。
例えば白色の蛍光灯からの光であっても、壁が赤色だった場合は、間接光で壁の周囲は白ではなく赤く照らされるというわけである。実際にはもうちょっと複雑だが、本作では位置が変わったり明るさが変わったりする動的光源からのライティングもグローバルイルミネーションに反映させている(と思われる)。
筆者がYouTubeで見かけた検証動画では、グローバルイルミネーションではなくてポイントライトとスポットライトを組み合わせているだけなのではないかと疑われていたが・・・。
■Real Time Destruction (リアルタイムデストラクション)
2013年に公開されたSnowdrop Engineの紹介動画では「プロシージャルデストラクション」と紹介されていたが、なぜか名前が少し変わった。
以前の多くのゲームでは、単に弾痕を表示させるだけだったり、一発当たったら予め決められた破壊表現がされるだけ、あるいは破壊すらされなかったが、本作ではリアルでプレイヤーの行動を反映した破壊表現がされている。破壊可能なオブジェクトも非常に多い。
車の窓ガラスに銃弾を一発ずつ撃った時や、木片に銃弾を撃ち込んだ時、道路に設置されたブロックを撃った時などの破壊表現はかなり良く出来ている。
■Realistic Weather Particles (リアリスティックウェザーパーティクルズ)
以前はアドバンスドパーティクルズと呼ばれていたようだが、どうやらウェザー(天候)に限定した呼び方に変わっている。
単に上から下に、あるいは斜めに降り注ぐだけでなく、風に舞う雪をリアルに表現し、光源の影響を受け照らされる様子も再現されている。
■Real Time Reflection (リアルタイムリフレクション)
その名の通り、鏡面に周囲の景色を映り込ませる技術だが、ゲームによってはリアルタイムではなく、環境マッピングを用いて擬似的に再現していることもある。
ディビジョンでは「リアルタイム」ということだが、ベータテストの際に見つけてしまった。ショーウィンドウの前に立ってみると・・・。
なんと周囲の風景は映りこんでいるのにこれだけ近くにいるプレイヤーキャラクターの姿は反映されていない。
PC版の最高設定にしたのだが・・・。
製品版では”リアルタイムリフレクション”になっていることを祈ろう。
と、Ubisoftが公開したトレイラーには以上のようなものが紹介されていたが、2013年に公開されたSnowdrop Engineの紹介映像ではこれらに加えて「Dynamic Material Shaders」というものがピックアップされていた。
ダイナミックマテリアルシェーダーは、地面や車、建物等に降り積もった雪が、天候やあるいは熱源によって溶けたり積もり方が変わったりする様子をリアルに再現するもの。
しかし、ディビジョンのベータテスト版では、Snowdrop Engineの紹介動画と比べるとかなり「微妙」なレベルに落とされていた。
また、絶対に溶けない雪があるなど、ダイナミックマテリアルシェーダーは製品版ではかなり妥協されたものになってしまっていると言わざるをえない。だからなのか、今回公開されたトレイラーには含まれていなかった。
とはいえ、ディビジョンの映像表現は多くの人を満足させる高い水準にあるとベータテストをプレイして感じたのは確かだ。
願わくばゲームプレイやコンテンツの面でも満足させてほしいものだ。
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