2022年のゲーム業界で注目されるキーワードとして「NFT」や「Play-to-Earn」が挙げられ、既にPlay-to-Earnゲームがいくつも登場しているが、中には疑わしいプロジェクトがあり、その被害に遭っている人がいるのも確かだ。
本稿では、海外メディアの記事を参考に、疑わしいPlay-to-EarnゲームやNFTゲームに騙されないために心がけるべきことを紹介する。
1. ホワイトペーパーを信用しすぎない
多くのPlay-to-Earnゲームは公式サイトでホワイトペーパー公開しており、ゲームの企画内容や方針、ロードマップ、主要な開発スタッフ、経営陣の顔ぶれ、市場リサーチのデータなどが掲載されている。(例:Axie Infinityのホワイトペーパー)
このホワイトペーパーを見て、NFTや発行されているトークンに投資するかを決める人も多いが、それらしいことを書いてはいるものの、実際にゲームがリリースされた時の中身とかけ離れている事もあるため注意が必要だ。
「Star Atlas」というゲームはまだゲームプレイの詳しい映像すらまともに公開できていない段階でATLASというトークンを販売し、ホワイトペーパーが良いという理由でトークンに飛びついた人もいるが、ユーザーの望む形でゲームが完成する保証はどこにもない。
The Dead KnightというPlay-to-Earnゲームは、Unityのアセットストアで売られているキャラクター自動生成プログラムを利用して作ったキャラクターを、あたかも自分達の手で制作したように見せかけてNFTとして販売し問題となった。
ホワイトペーパーに10年先までのロードマップが書かれたゲームもあるが、ゲームの中身を見てみると、到底サービスが10年耐えられるとは思えないようなものも多い。
ホワイトペーパーに「NFT」「Play-to-Earn」「メタバース」など、投資家やプレイヤーの関心を引くための文句を並べておき、稼げるだけ稼いで運営者が資金を持ち逃げする、いわゆる「Rug Pull」という詐欺に気をつけなければならない。
実際に動いているゲームを自分の目で見るまで、そしてそのゲームが本当に価値があると判断できるまでは、不用意にトークンやNFTに手を出すべきではない。
ゲームではないが、2021年には「イカゲームコイン」という仮想通貨の運営者が逃亡するという事件が起きている。
2. トークンを突然無料配布するようなゲームは疑う
仮想通貨やトークンが新たに発行される際に、知名度や関心を高めるためにそれらを無料で配布する「エアドロップ」というイベントがある。
エアドロップには条件が設けられることが多く、その条件を利用して詐欺や個人情報の悪用を企てている可能性を否定できないので注意が必要だ。
「ただより高いものはない」という言葉があるように、この界隈で無料で配られるものには一定の疑問を持つ必要がある。
信頼できる企業がエアドロップを行うのであればタダで貰っておいて損はないものの、P2Eゲームは始めるためにトークンを一定数購入しなければならないことも多い。エアドロップでトークンを貰っても、P2Eゲームに深く立ち入るかどうかは複数の材料を見て判断するべきである。
3. 信頼できる取引プラットフォームか見極める
現状、NFTゲームやP2Eゲームの市場は無法地帯と言っても過言ではないような状況となっている。
そのゲームがNFTやトークンをどこで取引可能にしているのかをよく見る必要がある。信頼できる著名な取引所なのか、それとも、聞いたことのない取引所なのか、あるいはゲームの運営会社が自ら作ったマーケットなのか。
ある程度信頼できそうな企業が運営しているNFTのマーケットには著作権や利用者の権利に関する規約が整備されているが、P2Eゲームの運営会社が自ら立ち上げたマーケットで取引されるような形式の場合は細心の注意を払う必要があるだろう。
先述のように、著作権を侵害しているNFTが販売されている事も否定できない。
4. 金儲け目的でP2Eゲームに手を出さない
元も子もない話だが、金儲け目的ならPlay-to-Earnゲームをそもそもやらないというのが騙されないために取るべき手段の一つである。
P2Eゲームの多くは初期費用を投資する必要があり、ゲームにもよるが数千円から十数万円までかかる場合がある。人気のP2Eゲーム「Axie Infinity」はまともにやるなら数万円の初期費用が必要となる。
初期費用がかかった場合、プレイヤーはまず原資の回収のためにゲームをプレイすることになるが、必ず黒字化できる保証はない上に、トークンの価格が暴落すれば損失を生む可能性も十分にある。元を取るためにゲームをするのは、「Play(遊び)」ではなく「Work(労働)」という感覚に近くなるだろう。
海外メディアのアンケートでは、P2Eゲームをプレイした人が稼いだ金額に満足した割合は
「非常に満足」が10.6%
「満足」が14.7%
「どちらでもない」が29%
「不満」が21.5%
「非常に不満」が24.2%
だったようで、半分近い人がP2Eゲームで得られる報酬の金額には満足していない結果が出ている。
同サイトのアンケートでは、P2Eゲームで稼げた金額が3000円以下だった人は全体の44.8%に及んでいる。
中にはMIR4のように初期費用の要らない基本プレイ無料のP2Eゲームもあるが、BOTだらけで普通の利用者はまともにプレイできないと批判を受けている。
そしてなにより、今市場に出回っているPlay-to-Earnゲームはそもそもゲームとしてはつまらない事がほとんどで、ゲームという名の作業だと感じる人が多いようだ。完全な作業となった場合、やっていることはRMT業者のBOTと大差ない。
将来的にゲームの楽しさとプレイヤーの利益を両立させるタイトルが登場する可能性は否定できないが、現状では「P2E」は人を集めるための宣伝文句に過ぎず、一時的な熱狂の後はトークンの価格が暴落してプレイしても稼げないゲームと化す。
「このゲームにお金を使おう」と思える魅力がないのであれば、いくらP2Eの看板を掲げて人を集めても、実際にプレイヤーを満足させることはできない。ゲームを楽しみたいならもっと他の面白いゲームをやればいいし、金儲けをしたいなら他の方法がいくらでもある。
引用/参考: THIS IS GAME
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