ネクソンは10月16日、同社がこれまで保有していたNCSOFTの株式330万6897株を全て売却すると発表した。
売却の理由
当社が、2012年6月にNCSOFT Corporationの株式に投資してから3年の期間が経過いたしましたが、目に見える事業上のシナジー効果は創出されておりません。当社は、従前より株主価値創出に資する資産効率の向上を基本方針の一つとして定めており、この一環として、保有する当該株式をすべて売却することとしたものです。なお、本件売却以降も、当社は、NCSOFT Corporationとは友好的な関係を維持してまいります。
今年2月にはNCSOFTの投資に対してネクソンが遺憾を表明していた。
ネクソンとNCSOFTの激しい応酬。NCSOFTの投資に対しネクソンが遺憾表明
韓国メディアによると、ネクソンとNCSOFTは当時株価が下落していたエレクトロニック・アーツを買収することを目標に2012年に手を組み、ネクソンがNCSOFTの筆頭株主になっていたがEA社が業績を回復する中で買収が不可能となり、N Squareという組織を新設して進めていた「マビノギ2」の開発も中止されるなど、両者の関係に亀裂が生じていた。
2014年10月にはネクソンがNCSOFTの株式を追加買収し、持ち株比率を15.08%に増やすなどし、ネクソンがNCSOFTの経営に介入しようとする動きも見られた。
ここからネクソンとNCSOFTの経営権を巡る攻防が始まり、2015年1月にはNCSOFTがネットマーブルと戦略的提携を宣言して相互の株式投資を断行し、経営権の防衛に乗り出していた。
そしてついにネクソンがNCSOFT株式売却に至ったわけである。
invenは、ネクソンが本社を置くのが日本であるため、買収時期と売却時期の為替レート差によって日本円換算では62億円の利益を得たとしながらも、両社が3年の機会費用を失っており、損害は明らかだとしている。
また、ネクソンが今回の売却で確保した資金を、モバイルゲーム事業とVRやARなどの技術に投資するだろうと予想している。
一方でNCSOFTについては、「リネージュ2」のIPを活用したモバイルゲーム「Project S」をはじめとし、ネットマーブル社との提携でモバイルゲーム事業に注力しつつ、「Aion」や「リネージュ2」をSteamで欧米向けに配信し、ギルドウォーズ2やWildstarを部分的に無料化するなど、グローバル市場への再挑戦も示唆されているという。
韓国メディアの多くは2012年から2015年までは両社にとっての「失われた3年間」だとして報じている。
ソース: ZDNet
コメント