10月15日、MMORPG「Wildstar」に”メガサーバー“(Megaserver)が導入された。
古くはEVE Onlineが全てのプレイヤーを一つのワールドに収容したが、「Guild Wars 2」や「The Elder Scrolls Online」にもこのメガサーバーシステムは導入されており、将来のMMOでは当然のように導入されるかもしれない。メガサーバーとは何だろうか。
※写真はイメージです。
以前のMMORPGのサーバーシステムでは、プレイヤーは任意のサーバーに自分のキャラクターを作成すると、他のサーバーにいるプレイヤーとは特定の条件下でなければ一緒に遊ぶことはできなかった。
このため、クロスサーバーシステム等でインスタンスダンジョンやPvPを一緒に遊んだ他のサーバーのプレイヤーとせっかく意気投合しても、サーバー移転をしなければまともに遊べないという問題が昔から存在した。
「メガサーバー」はこういった、サーバーが違うから遊べないという問題を根本的に解決するシステムだ。
メガサーバーは複数の異なるサーバーにいるプレイヤーをあたかも一つの同じサーバーにいるようにする技術
The Elder Scrolls Onlineではそもそもサーバーは北米とヨーロッパに1つずつしかない
Guild Wars 2ではデータセンターが同じであればワールドの垣根を超えて遊ぶことができる
メガサーバーが同じであれば、たとえキャラクターを作成したワールド(サーバー)が異なっていても、同じフィールドマップでパーティプレイをしたり、フレンドリストに登録したり、同じギルドに入ったり、チャットをすることが可能となる。
メガサーバーでは、フィールドマップは全てのワールドで共有されているが、全プレイヤーがひとつのフィールドマップに集中するとまともに遊べないので、マップの収容人数に応じて自動的に複数の同じマップにプレイヤーが分散されることになる。(ゲームによる)
マップ入場時に自分に最も適したフィールドマップのサーバーに自動的に振り分けられる。
これにより、各マップの人口が自動的に調節されることになる。
例えば、パーティメンバーがいる、レイドメンバーがいる、自分が所属するギルドのメンバーがいる、自分のフレンドがいる、自分と同じワールド所属のプレイヤーが多数いる、自分と同じ言語のプレイヤーがいるといった条件に応じ、最も条件に合った所へ入場することになる。もちろん、収容人数に問題がなければ全て同じマップサーバーへ入場させることになる。
※PKの可、不可でメガサーバーが地域ごとに複数存在することもある
メガサーバーの長所と短所
メガサーバーの長所
- 違うサーバーのプレイヤーと手軽に遊べる(あるいは1つのサーバーだけで全プレイヤーを収容できる)
- 違うサーバーにいるフレンドと遊ぶためにお金を払ってサーバー移転をする必要がない
- より多くのプレイヤーと交流することができる
- ギルドなどのプレイヤーコミュニティを大きくしやすい
- 序盤のエリアのような人が少ないマップの人口が増える
- 過疎サーバーの心配をする必要がない(ゲーム自体が過疎だと駄目だが・・・)
- 過密サーバーの心配をする必要がなく、ログイン待機はほとんどない(インフラ次第ではあるが)
- 従来の方式と比較すると、ピークタイム以外でもマップ単位あたりのプレイヤー数が多い
- サーバー統合がない(メガサーバーの下にワールドがないゲームの場合)
- サービス開始時のトラフィックにあわせて過度にサーバーを増設せずに済む
メガサーバーの短所
- 新サーバーオープンによる新規プレイヤー獲得ができない
- プレイヤーがフィールドマップ上の要素を永続的に変化させることが可能なサンドボックスコンテンツを実装しづらい
- 同じ人に二回、三回と出会うということが稀であり、「よく見かけるから話しかけてみた」というようなきっかけが生まれにくい。(顔なじみのプレイヤーが少なくなる)
- ゲーム内で運営イベント、ユーザーイベントをするのが難しい
- 後から導入するのは非常に難しい(ゲーム内経済やコンテンツへの影響等)
もちろん、メガサーバーは必ずしも全てのMMORPGに導入できるというわけではない。
Guild Wars 2やThe Elder Scrolls Onlineは、PvEのマップとPvPのマップが完全に分けられているのでメガサーバーを導入しても問題はないが、フィールドマップ上に家を建てたりできるようなMMORPGや、PvEとPvPが混在しているフィールドマップのエリアを占領したりするようなMMORPGの場合はさらに複雑化してしまうことになる。
しかし絶対に不可能というわけでもなさそうだ。
ESO, GW2, Wildstarといった比較的新しいMMORPGがメガサーバーを導入しているのは興味深く、今後のトレンドになっていくのか注目されるところだ。
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