5月21日~25日に欧米サーバーでクローズドβテストが行われたMMORPG「Swords of Legends Online」(古剣奇譚オンライン)の感想。
Swords of Legends Online
原題:古剣奇譚オンライン
開発:Wangyuan Shengtang Entertainment Technology
ジャンル:MMORPG, 武侠
料金形態:月額料金無し, 製品購入必須 アイテム課金有り
価格:4300円~10999円
まともな新作MMOはむしろ珍しい
優れた操作性
Swords of Legends Onlineでまず驚くのは操作感の良さだ。スムーズにキャラクターが動かせる。
操作性はブレイドアンドソウルに近いが、ブレイドアンドソウルほどアクション寄りではなく、敵の攻撃に合わせてタイミング良くガードしたりといった事は不要だ。
武侠特有の「軽功」で、高くジャンプしたり、空中を駆けたりするアクションに全くフラストレーションがなく、快適に動くのが印象的だった。建物の屋根の上に簡単にジャンプして乗ることができる。
戦闘システムはターゲット方式とTPS方式の2種類から選ぶことができる。TPS方式はマウスの動きにカメラが常に追従し、左右のクリックでそのままスキルが繰り出される形だ。
この戦闘システムもかなり快適で、移動しながらスキルを繰り出すことができ、スキル使用後の硬直が全くと言っていいほど無い。
戦闘は武侠ゲーム特有のスタイリッシュさがあり、スキルのモーションやエフェクトが派手で楽しい。
スキルの数自体はそこまで多くないが、1つの職業で2つのスタイルを切り替えることができる。
戦闘はノンターゲティングではなく、画面中央に敵が入ると自動的にロックオンするようになっており、スキルを使えばロックオンした敵に攻撃が飛んでいく。
バックステップやサイドステップが可能なため、敵と距離を取りつつ攻撃することも比較的簡単にできる。昔のMMORPGにありがちな「遠距離職なのに零距離で敵に殴られながら攻撃する」という状況を回避できる。
武侠らしい職業群と三位一体のパーティ
パーティでの戦闘はMMORPGでおなじみの盾役、攻撃役、回復役で構成されるもの。
プレイヤーキャラクターの職業(クラス)は武侠ゲームらしいようなそうでもないようなものが揃っている。
盾を持ったクラスが存在しないのは武侠ならではかもしれない。
とにかく無難で”特徴のない”コンテンツ
優秀な操作性とは打って変わって、Sword of Legendsのコンテンツはとにかく普通で新鮮さがない。どこかで見たことのあるコンテンツが目白押しとなっている。
フルボイスのカットシーンを見ながらメインクエストに沿って先のエリアに進み、レベルも徐々に上がっていくという2010年前後のMMORPGにありがちなゲームデザインだ。
クエスト内容も「敵を○匹倒せ」や「✕✕を拾ってこい」というものが多く、10年前のMMORPGをプレイしているような気分だった。
せっかくの戦闘システムだが、ひたすらクエストをやってレベルを上げていく方式なので存分に戦闘をさせてもらえない。
メインクエストが終わってエンドゲームに到達すればインスタンスダンジョンやレイド、PvPといったものを本格的にやっていくことになるが、ストーリーを楽しめないとひたすら苦行のような時間が続くことになる。
それでも、カットシーンは下手なゲームよりも演出に力が入っていてまともだったのが救いだ。
フィールドマップは完全なオープンワールドでなくゾーン制で、クエストをやるためだけに用意されたような印象を受ける。
Swords of Legendsの中身は過去の、しかもかなり古いタイプのMMORPGだと言わざるをえない。
100%成功の装備強化
中国や韓国のゲームでありがちな確率の装備強化ではなく、素材を集めれば100%強化できる方式になっている。
エンドコンテンツではダンジョンやレイドで素材を集めて、装備を作成したり強化したりする。
ランダム要素が嫌いな人にとっては朗報だ。
いきなり飛行するマウント
武侠ゲームらしいシュールな乗り物が登場する。
Swords of Legendsの序盤で手に入るのは「空飛ぶ剣」だ。
最初に手に入る乗り物から既に飛行することが可能だが、キャラクターが剣の上に立って乗っているという武侠らしい(?)不思議なものだった。
Pay to Winではない
ゲーム内のアイテムショップと海外サイトの情報等によれば、Sword of Legendsには課金アイテムショップが存在するが、基本的にはキャラクターの見た目装備と、乗り物、名前や外見の変更などに関するアイテムで、キャラクターの強さに直結するようなものは売られていないようだ。
将来までPay to Winではない公平なゲームである事を貫けるのかどうかは定かではないが、この点が特に欧米のプレイヤー達からは評価されている模様。ただし、豪華な見た目装備はほぼ課金しないと入手できないと思って良い。
豊富なグラフィックオプション
以下のような多彩なグラフィック設定が可能で、幅広いスペックのPCで動作できる。
- フレームレートの上限(最大200fps)
- 描画距離
- テクスチャ品質
- テクスチャフィルター
- テクスチャディティール
- スクリーンスペースリフレクション
- アンビエントオクルージョン(5段階)
- イメージベースドライティング
- 影の品質
- 影のディティール
- 影の解像度
- キャラクターの影の表示
- 風の表現の品質
- 木の品質
- 草の密度
- 波の表現
- テッセレーション
- 水面の反射
- 雲の表現(3段階)
- パーティクルの品質(6段階)
- ソフトパーティクル
- グローバルボリュメトリックライティング
- ローカルボリュメトリックライティング
- ブルーム効果
- 被写界深度
- SMAA
- TAA
- 柔らかい髪の表現
- NVIDIA DLSS
将来的にレイトレーシングにも対応する予定だという。
推奨動作環境はやや高めで、推奨GPUはRadeon RX 580またはNVIDIA GTX 980 Tiとなっている。
粗さはあるが至極まともなゲーム
中国では2016年頃からテストをやって、2018年にベータテストを始めたという歴史があり、スムーズでバグの少ない体験だった。
3D後方カメラのMMORPGでまともな新作が近年少ないだけに、そこそこ良い操作性と、おなじみのコンテンツでも「久々にこういうMMORPGをプレイした」という印象が残った。
CBTをプレイしてみて、注目のMMOだと言えるほどのタイトルではないが、「Sword of Legends」は操作性や全体の完成度で良い驚きがあった。
10年前なら日本でローカライズされたかもしれないが、モバイルゲーム全盛の2021年だと難しいだろう。意外とそれが残念だ。
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