驚異。1年経っても稼ぎ続ける原神。他のオンラインゲームと一線を画する理由

オンラインアクションRPG「原神」がサービス開始から1周年を迎えるが、オンラインゲームにありがちな失速はほとんどなく勢いを維持している。

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原神は中国のmiHoYoが開発及び運営しているオンラインゲームで、PC・PS5・PS4・iOS・Android向けにサービスが提供されている。サービス開始は2020年9月28日。

原神の発表時には「ゼルダのパクリ」などと言われていたが、今ではそういった声は全く聴くことはなくなり、ゲーム市場で確固たる地位を築いた。

9月初週に「160億円」の利益

原神は、バージョン2.1がリリースされた直後の9月1日~7日の1週間で全世界合計で約1億5100万ドル(約160億円)の利益を上げている。単純計算すれば、6000円のゲームを1週間で250万本以上売り上げたのと同じだ。

2.1で新キャラクターや新武器が入手できるガチャが実装された事で、前の週と比較して5倍近く収益が増えた。
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また、8月には低く見積もっても全世界合計で300億円近い利益を叩き出した。

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原神はこれまでに、モバイル市場(iOS・Android)だけで19億ドル(約2000億円)の利益を上げたとされている。利益だけでなく、Twitch等のストリーミングサービスでの配信の状況を見ても、原神の人気はほとんど衰えていないように見える。

なぜ原神は1年の間ここまで人気を維持できたのだろうか。

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原神が他のオンラインゲームと一線を画する理由

真似できない高品質かつ高頻度のアップデート

原神で最も驚かされるのは、アップデートやイベントの頻度とクオリティだ。

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原神は過去1年で以下のアップデートを行ってきた

Ver 1.1 「迫る客星」 2020年11月11日
Ver1.2 「白亜と黒龍」 2020年12月23日
Ver1.3 「明霄、海に昇りて」 2021年2月3日
Ver1.4 「風花の招待」 2021年3月17日
Ver1.5 「塵歌を纏いし扉」 2021年4月28日
Ver1.6 「真夏!島?大冒険!」 2021年6月9日
Ver2.0 「鳴神不動、泡影を滅す」 2021年7月21日
Ver2.1 「韶光撫月の浮世」 2021年9月1日

これを見るとわかるように、約1ヶ月半で1回のアップデートを行い、キャラクターやコンテンツを追加したり、新たなシステムを追加したり、マップを追加したり、イベントを開催したりしている。

フル3DのオンラインアクションRPG、しかもPCやPS4にも耐えられるクオリティのゲームでこの頻度のアップデートを行うことができているのは衝撃である。
多くのPCオンラインゲームは3~4ヶ月に1回のアップデートが一般的だが、原神はそれを1ヶ月半の間隔で行ってきた。

しかも、PCやPS4に加えて、スマートフォンでもプレイできるように最適化してリリースしており、なおかつ常に一定のクオリティを維持している。

極めつきは2021年6月にイベント専用マップとして実装されていた「金リンゴ群島」だ。
イベントのために専用のマップが用意され、ギミックやクエストのカットシーンなども盛り込んだが、なんとイベント終了時にはマップがゲームから削除された。
とてつもなく贅沢な使い方がされており、「原神」というゲームがいかに利益を上げていて、いかに強力な開発体制を敷いていて、いかに開発者がプレイヤーを楽しませようとしているのかを垣間見ることができた。

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1周年を迎える前に早くも大型アップデート

2021年7月には、大型アップデートの「Ver2.0」を実施した。
このアップデートでは新エリアの「稲妻」が実装され、様々な新しいギミックや新しい敵、新しいストーリー、新たな町、探索可能な場所が追加され、コンテンツが大幅に強化された。

もちろん追加料金は必要ない。拡張パックを買う必要もなく、無料で大型アップデートを受けることができる。

原神はアップデートの開発費に1年あたり200億円が投資されていると言われている。原神の開発スタッフは500人を超える。これを真似できる企業は世界中を探してもほとんどない。

国内企業の場合、まず1年で200億円の開発費がかかるオンラインゲームやソーシャルゲーム自体、企画会議の段階で却下されるだろう。そして、それだけ巨大な開発体制をスムーズに管理するのが困難である。

海外メディアのPCGamerは原神のアップデートについて次のように評価している。

原神のアップデートの頻度と品質は、デスティニー2のような他のライブサービスゲームや、World of Warcraftのような既存のMMORPGにすら恥をかかせるでしょう。

他に類を見ないアップデート頻度と品質。それが他のオンラインゲームと一線を画する理由の1つ目だ。

真のグローバルサービス&マルチプラットフォーム

原神はローンチもアップデートもすべて世界同時である。
音声は中国語、日本語、韓国語、英語に対応。
テキストは簡体中国語、繁体中国語、英語、フランス語、ドイツ語、日本語、韓国語、ポルトガル語、ロシア語、スペイン語、タイ語、ベトナム語に対応している。

このローカライズも行った上で世界同時にアップデートをリリースするという驚異的な体制だ。市場の大きな中国が含まれており、それでいて地域を選ばないのが原神の強みだ。

原神が他のゲームと比べて優れている点として、モバイル版があってもPCでの操作性や快適さが損なわれていないという点が挙げられる。

昨今、モバイルとPCのマルチプラットフォームゲームが多くリリースされるようになったが、「PC版」というよりはモバイル版をPCでエミュレートしているという程度のものがほとんどだ。
マウス+キーボードの操作に最適化されていなかったり、グラフィックはPCゲームのクオリティではなかったり、ユーザーインターフェイスがモバイル向けの配置や大きさだったりと、「あくまでメインはスマホ、PCはおまけ」程度のゲームが多い。

そんな中、原神はキーボードとマウスでの操作にしっかりと最適化され、PCでも直感的な操作が可能でアクション性が損なわれていなかった。
モバイルだけでなくPCやPS4でもしっかりと利益を上げられるように妥協がないというのも原神が他と一線を画する理由だ。

ユーザーの多さと収益性の高さでモバイルゲーム市場に活路を見出し、とにかくガチャで稼げるスマートフォンゲームを作っておけという近年の風潮とは少し異なる。

ガチャに対するアプローチ

原神は例によって「ガチャ」を主な収益基盤としているゲームだ。
原神のゲームプレイはアクションRPG、システムはソーシャルゲームとみなすことができる。

原神は主に「キャラクター」と「武器」をガチャの景品として提供するが、原神においてキャラクターが手に入ることは他のソーシャルゲームとは異なる価値がある。
原神のアクションはゲームの楽しさの根幹を担っており、他のキャラクターと異なるスキルや属性を持ったキャラクターが入手できることにより、プレイヤーは新たな体験を得ることができる。

多くのソーシャルゲームのガチャでは、新しいキャラクターが入手できてもプレイヤーの体験はほとんど同じである。アニメーションやエフェクトが違っても、プレイフィールは同じだからだ。
そもそもモバイルRPGの場合、キャラクターよりも装備やアイテムをガチャの景品にしている事が多い。

一方、原神の場合、キャラクターが違えばスキルの効果だけでなくアクションそのものが変わるため、プレイヤーは違う体験を得られているという満足感を得ることができる。原神に「自動戦闘」が無いのは、それだけアクションの楽しさに開発者が自信を持っているからだ。

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原神のガチャでキャラクターを引ける確率は低く、★5のキャラクターの排出確率の低さはかなりのものだが、それでもユーザーはガチャに対して大きな不満を抱いていないようだ。
原神は無課金だとしても決してコンテンツ攻略が不可能というわけでなく、パーティの構成やキャラクタービルドによって戦略的に打開することが可能となっている。

原神の運営は、ガチャを引くために使う「原石」を大量に配布することがほとんどない。
「ガチャを引くこと」が目的になってしまっているソーシャルゲームも多いが、原神はあくまで探索や戦闘、クエスト、キャラクターの成長が楽しさの中核にあり、ガチャを引くこと自体が目的になってしまわないように配慮されているように感じられる。

原神も多くのゲーム同様、ガチャによって「強さ」をプレイヤーに与えるが、それだけなく「新しい体験」もプレイヤーに与えるという点が他のゲームと異なる部分だ。

オンラインゲームの煩わしさを排除

原神はどちらかというとシングルプレイ寄りのオンラインゲームだ。マルチプレイも可能だが、必須ではない。

オンラインゲームにおけるマルチプレイやコミュニティは時にプレイヤーにとって参入障壁となることがある。

MMOで言えば、見知らぬプレイヤーとパーティを組んだり、パーティメンバーのためにギミックの予習をしなければならなかったり、どこのギルドに入ろうかと迷ったり、あるいはコミュニティ内での人間関係など、こういったものがゲームをプレイする理由になることもあれば、ゲームを辞める理由にもなることがある。
「人が集まらないからプレイできない」ということは原神では起こらない。

原神ではそういったオンラインゲームの煩わしさは基本的に取り除かれている。プレイヤーは好きな時にプレイし、自分のタイミングでゲームを一時停止できる。ゲームを休止するにしても誰にも気を使う必要はない。

「MMORPGでソロプレイをしたい」という人は意外と多い。
海外メディアの調査では、実に半数以上のプレイヤーがソロプレイの方が好きだと答えた。こういったプレイヤー層には原神は十分アピールできたはずだ。

「原神」の人気はいつまで続く?

少なくとも「原神」と競合するようなタイトルが登場するまでは、多少利益が減少しようが、原神の人気が向こう数年で一気に失われる事はないだろう。MMOではなく、それでいて単なるソーシャルゲームでもない「原神」は独自の道を歩んでいるようにも思える。

しかし、中国の他の企業は「原神」の成功を真似ようとするだろう。原神に似たゲームやハイクオリティなモバイルゲームが中国のメーカーから登場し始めている。

サービス開始から1年が経ち、この1年間で原神は「こんなゲームサービスは他には真似できない」というのを見せつけることになった。

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