DeepMindの人工知能AlphaStarがRTS「スタークラフト2」でプロゲーマー相手に10勝1敗で圧倒

1月25日、Google傘下のDeepMindが開発した人工知能「AlphaStar」が、RTS「スタークラフト2」のプロゲーマーと公式に対戦した結果が発表された

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2017年に囲碁でトップ棋士に人工知能AlphaGoが勝利し、その後DeepMindはより複雑なリアルタイムストラテジーゲームをプレイするプログラム『AlphaStar』を開発していた。

AlphaStarと対戦したプロゲーマーはTeam LiquidのTLOと、MaNaの2人だったが、AlphaStarはTLO選手相手に5勝0敗、MaNa選手相手に5勝1敗、総合成績では10勝1敗でプロゲーマーを圧倒した。

将棋や囲碁と比べて選択肢が途方もなく多く、常に状況が変化するRTSゲームでも、人工知能が人間のトッププレイヤーに匹敵できるレベルになっている事が今回証明された形となった。

AlphaStarの1分あたりのアクション数は平均280回程度で、これはプロゲーマーの平均300~400よりもかなり低い数値だったという。

試合では、操作が難しくプロゲーマーでもあまり使わないユニットを巧みに活用する姿も見せたようだ。

DeepMindは、AlphaStarが正確なクリック、速い反応速度、優れたマクロ及びミクロ戦略意思決定、そして”Raw Interface”によってプロゲーマーに勝利できたとしている。

対戦したTLO選手は、「AlphaStarと競技するのはとても難しい。人間ではなくAIと対戦するのは慣れておらず、今まで一度も経験したことがないプレイだった。AlphaStarは本当に素晴らしいし、ゲームの人工知能の中でも前例がないものだと思う」と話した。

またTLO選手は、AlphaStarが今まで自分が考えたことがない戦略を使ってくることがあり、StarCraft IIがまだ完全に研究し尽くされていないゲームで、これまでにない新しい戦略があるかもしれないと述べた。

MaNa選手は「AlphaStarが非常に人間的なゲームプレイをしていた」と語った。

唯一MaNa選手が勝利したのは、他の10戦とは異なるバージョンのAIで、AI専用の俯瞰視点カメラインターフェイスが使えないように制限したものだった。(※俯瞰視点カメラでも偵察していないエリアはAIにも見えていない)

AlphaStarは、複数のユニットを組み合わせての戦術や、複数の戦略で攻め込まれた際の対処という部分には脆さがあったという。また、マップ全体を常に把握できる「Raw Interface」では勝利したが、人間同様の「Camera Interface」は負けてしまった点や、現状ではプロトスしか十分に学習できていないなど、AlphaStarは今後更に進化する余地を残している。

今回の対戦の詳細なレポートはDeepMindの公式サイトで読むことができる
AlphaStar: Mastering the Real-Time Strategy Game StarCraft II

▼AlphaStarの思考を視覚化した映像

DeepMindは、AlphaStar Leagueと呼ばれるトレーニングプログラムを開発し、AlphaStar Leagueでは1日に20万試合、1週間で人工知能が約200年分の対戦を行った。

DeepMind公式サイト

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