「ファイナルファンタジーXIV」の吉田直樹プロデューサー兼ディレクターは、「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ」のメディアツアーでTwitchストリーマーのAsmongold氏とRich Campbell氏のインタビューを受け、昨今のMMOの状況について語った
以下、上記動画から一部を抜粋。
Q. ファイナルファンタジーXIVだけでなく、New WorldやAshes of Creation、Crowfall、Runescape、OSRS、World of Warcraftなど、MMOの復活が始まったように思えます。競争があるおかげで全てのゲームは昔より良くなっていますが、MMOは復活した状況にあると思いますか?過去10年のほとんどは、MMOが2000年代中頃ほど人気があるようには思えませんでした。
吉田P:
どれだけのタイトルが粘り強くアップデートして、皆を楽しませようとできるかどうかというところが、この先がポイントだと思っています。
MMOのローンチはめちゃくちゃ面白いですよ。バグも含めて、ログイン戦争って言われるログインできるできないも含めて、めちゃくちゃ盛り上がるんですよ。皆わからない、手探りで、色々なことが起こる。本当めちゃくちゃ面白い。
でも、ローンチを過ぎた後、どれだけそのテンションが維持してもらえるのかというところがとても重要なので、今は色んなタイトルのローンチが近いタイミングで来ているので、すごく全体が盛り上がって見えると思うんだけど、本当の意味でMMOがもう一回盛り上がるかどうかは、この先半年、1年というところにかかってくると思ってます。
1個だけすごく重要だと思っているゲームデザインのポイントがあって、今の世の中、皆が色んなものを触りたい、触っていいと思うんだけど、ゲームが、コミュニティもそうなんだけど、1つのゲームに縛ろうとすることをやり始めると、結構苦しくなると思ってます。
色んなものを今、エンタメってそういう時代になったので、そこが結構重要なポイントなんじゃないかと思うので、どういうゲームデザインでそれぞれが突き進んでいくのかというところはすごく興味深く見ています。
Q. 最近作られたMMOのゲームデザインや制作手法は、万人向けの大作の代わりにニッチなMMORPGを作るのに適したものになっていると感じますか?あるいは、MMOは開発に莫大な資本が必要だから不自由を我慢しているのでしょうか。
吉田P:
そういう意味だと、MMOって作る人が決まってたんですよ。ベテランでMMOが好きで、という人達がMMOを作るみたいな時代が結構長く続いてたんですけど、最近の作品って、MMOで育ったゲームデザイナー達が自分はこういうMMOを作りたいっていう新しいチャレンジを今始めているので、色んなパターンのゲームデザインのMMOが登場しようとしているという事はめちゃくちゃ良い事だと思います。
ただ、MMOってゲームであると同時に、サービスでもあるので、インターフェイスだったりとか、短時間で遊べるコンテンツがあるかどうかとか、他のサービスに存在しているものよりも要求レベルが非常に高いので、そこに関しては負けずに、もしくは今足りなくても、着実に積み上げていくということがとても大切なので、資本を裏で持ってる人達がそういったゲームデザイナー達をどれだけ応援してあげられるか、お金を切らさずに、そこも実はMMOを成功させる要因のうちには、とても大切なので、そこを背後にいる人達が支えてくれると嬉しいなとは思います。
繰り返しになるけど、新しいゲーム、特にNew Worldもそうだけど、僕らはめちゃくちゃ刺激になるので、今はEndwalkerのマスターで忙しすぎて触れてないけど、終わったらすぐ触って刺激を受けて、新しいコンテンツを考える時のスパイスにさせてもらいたいのですごい楽しみにしています。
Q. MMOにおいて常にバランスを取らなければならないのが、ソロプレイヤーとグループプレイヤー間の違いと、コンテンツの過酷さです。コンテンツをソロプレイヤーのために作るのと、コンテンツにMMOらしさを感じられるようにすることの線引きはどのように行いますか?また、昔からのMMOの特徴として時間がかかるというのが遺産としてありますが、ファイナルファンタジー14はそういった要素を取り除いているように思えます。討滅戦やレイドは道中が無くいきなりボス戦から始まります。基本原則として、ソロプレイヤーでも楽しめる手軽さと、他人と関わったり、過酷だったりするMMOらしさのバランスはどのようにしているのでしょうか?
吉田P:
僕自身がもともとかなりのヘビーゲーマーで、ヘビーMMOユーザーなので、僕が好きなコンテンツばっかり作ってると、ガッチガチのMMOになっちゃうと思ってます。下手したら仕事を辞めてた可能性もあるくらいなので。もし、僕がMMOゴリゴリやってた時に今のようにストリーミング(ゲーム実況配信)があったら僕は仕事を辞めてた可能性が非常に高いと思います。
MMOを遊んでくる中で、友達になった人達って必ずしもヘビーゲーマーばっかりじゃなかった。日々、フレンドとチャットをすることを楽しみにその世界に来てる人達、風景を見て回りたくて、そのためにレベリングをしている人達。
自分がすごい難しいレイド、もしくはもう何百時間もかけなきゃ取れないようなウェポンを取って帰ってきた時に、まるで自分のことのように喜んでくれるフレンドだったり、「すげー武器あるちょっと見せて欲しい」ってそういう人達がいて初めてその世界って共有されてるし、自分ももっと強くなりたい上手くなりたい、すごい強い武器取って来て皆に見せたいという欲求が生まれると思っているので、僕にとっては全部がとても大事なので、すごいヘビーユーザーって声が大きいから、よく聞こえてくるし、どうしてもそっちの意見に引っ張られがちなんだけど、そうじゃない、世界を支えている普段は声をそんなに上げない人達によって、僕らヘビーゲーマー、ゲームの中でレイドに行ってる人達が支えられているということを教えられてきたので、僕がどっちに対しても欲張りなので、どっちに対してもコンテンツを提供するという以外の答えはないです。
なので、FF14の場合はメジャーアップデートの奇数パッチはできるだけカジュアル寄りにしよう、偶数パッチはレイドを入れてハードコアレイダー達に楽しんでもらおう、でも、次のパッチ6.1ではカジュアル寄りのパッチ6.1に次の新しいアルティメット(絶)を入れるので、レイダーはそれを楽しみにしてくれればいい。メインストーリーが終わって、絶の新しいのをクリアしたら、WoWのレイドをやり行っても、もっとレイドをやりたいんだったら、他のゲームのレイドをやってもらえばいいと思ってて、例えば次の6.2が来たら、「よし新しいレイド来たから戻ってくるぞ」、僕は今の時代はそれで良いと思っているので、とにかく両方に向けて頑張るけどFF14に足りないなら他のゲームをその間プレイしていてくれればいいんじゃないかって。
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