FF14 吉田P 新ジョブにヒーラーが含まれなかった理由や新種族追加の理由などを説明

スクウェア・エニックスの吉田直樹プロデューサー兼ディレクターは、公式フォーラムにプロデューサーレターを投稿し、FF14の次期拡張パック「漆黒のヴィランズ」で新ジョブにヒーラーが含まれていない理由などを説明した

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■漆黒のヴィランズで追加される新ジョブにヒーラーが含まれない点について■

東京ファンフェスでの情報公開前には、「ヒーラーロールに新しいジョブの追加があるだろう」と、多くの方が予想されていたようです。
特に発表済みであった、もう一つの新ジョブである”ガンブレイカー”がタンクロールであったことから、この予想が強く支持されていったものと思われます。

しかしながら、実際には”踊り子”という遠隔物理DPSが追加となることが発表され、踊り子を歓迎してくださる一方で、「なぜ、ヒーラーロールに追加がないのか」というお声を頂戴しました。

結論から先にお伝えすると、ゲーム全体のバランスを考えて「今回の拡張パッケージでは、まだ、ヒーラーロールにジョブを追加するべきではない」と判断しました。その主な理由は3つです。

1. 拡張のタイミングで追加できる新ジョブの数は2つで限界であること

拡張パッケージではレベルキャップの開放を伴うため、単純に追加されるジョブが2つでも、実際の作業としては、既存ジョブへの新アクション追加とバランス調整のための変更を伴います。

新生FFXIVサービス以降、現時点でリミテッドジョブである青魔道士を除けば、既にジョブは15ジョブあり、今回のガンブレイカーと踊り子で17に達します。

僕としても開発チームとしても、拡張の目玉として優先的に新ジョブの追加を検討していますが、パッチ運営と拡張開発の期間を考えると、2ジョブを追加するのが精いっぱいです。
つまり、この枠を複数ロールで奪い合うことになります。

2. 遠隔物理DPSが2ジョブしか存在しないこと

紅蓮のリベレーターリリース時点で、各ロールの内訳は「タンク:3」「ヒーラー:3」「近接物理DPS:4」「遠隔魔法DPS:3」「遠隔物理DPS:2」となっています。

今回はこのロール間バランスを取り、均等にジョブの選択肢を持ってもらうため、遠隔物理DPSを足そうと考えたのが理由となります。これで2枠あるうちの1枠を使いました。

3. タンクロール間/ヒーラーロール間のバランス

近接物理DPSは現状でも4ジョブ存在しているため今回は見送りとし、残り1枠をタンクとしました。

FFXIVのタンクロールには、役割としてMT/ST(OT)という概念が存在しており、今のままジョブ数が奇数でバランスを取るよりは、偶数にした方が方針を決めやすいことが、今回、ガンブレイカーを追加した大きな理由です。

一方でヒーラーロールは、蒼天のイシュガルドで占星術師を追加して以来、白魔道士/学者とのバランス調整に苦慮しており、皆さんにも随分とご心配をおかけしました。

今回は、「この状態で無理にヒーラーの新ジョブを追加して、さらにバランス調整を困難にするよりも、今存在する3つのジョブでのバランスを優先した方が良いだろう」という判断をいたしました。

以上が、今回ヒーラーロールに対して新ジョブが追加されなかった理由です。ご期待くださった皆さんには申し訳なく思っていますが、全体のゲームバランスや新しいジョブ体験を考え、今回はこのような判断になりました。

しかしながら、ヒーラーロールへの新ジョブ追加の要望が多いことは身に染みてわかりましたので、今後のジョブデザインにおいて、大いに参考とさせていただこうと思っています。

■漆黒のヴィランズで追加されるロスガルとヴィエラの性別について■

漆黒のヴィランズでは、既にお伝えしました通り、ロスガル族とヴィエラ族という、2種類の新たなプレイヤー種族を追加します。
しかし、ロスガルは男性のみ、ヴィエラは女性のみ使用可能ということで、各地域から様々なフィードバックを頂戴しています。

この実装についても、その意図を以下にてご説明させていただきます。

1. プレイヤー種族を追加する際の開発コストの問題

ファンフェスの基調講演などを通じて、「今回の種族追加は、FFXIVにとっておそらく最後になる」とお伝えいたしました。
これは単純に、非常に大きな開発、そして運営コストがかかるためです。

種族の追加はそれぞれの種族の顔/髪/ボディーなど、わかりやすい開発コスト以外にも、既存装備アイテムの種族対応という、莫大な開発コストが発生します。

各種族はそれぞれ異なる体型、骨格をしているため、特に装備系のアイテムについては、ロスガルが着ても、ヴィエラが着ても、デザインが破綻しないように調整する必要があります。
ざっと調べましたが、FFXIVには既に約10,000もの装備アイテムが存在し、これらを、「各種族が装備できるように調整する」のはすべてデザイナーの手作業になります。

これが種族を追加する際に発生する「瞬間コスト」になります。

加えてパッチ5.1以降に追加される装備は、これまで6種族×2性別×装備数だったものが、7種族×2性別×装備数になり、さらに、装備だけでなくエモートなどにも影響します。

FFXIVは3.5か月をメジャーアップデートサイクルとして運用していますが、前述の通りこれらはすべて手作業で行われており(そうしないとクオリティが上がらない)、単純に費用をかけて人を増やしたとしても、デバッグやクオリティチェック作業にも影響するため、それだけでは解決できないほどコストが大きく膨らむことになります。

これらを考えると、パッチサイクルを守ろうとした場合、7種族2性別以上の種族追加は、(実際には今回6種族2性別+2種族1性別ずつになりましたが総数は同じです)
現時点では見通しが立っておらず、それが「今回で最後の追加」という言葉に繋がっています。

2. プレイヤーフィードバックとしてヴィエラ実装を求める多くの声をいただいていた

上記のように、「これが最後の種族追加になる可能性がある」ということで、「どんな種族を追加するべきか」については、非常に長い時間頭を悩ませました。

特に世界中からのフィードバックで、FFXIIに登場したヴィエラ族の追加を望む声が、非常に大きいことを知っていたからです。
ヴィエラ族の実装は、3.0リリースの際にも同じように悩み、蒼天のイシュガルドの際には、「FFXIV初の拡張パッケージなのだから、オリジナル種族にしよう」ということで、アウラ族の実装を決めました。

しかし、今回はヴィエラ族を実装しないことで、多くの方ががっかりするだろうな、という思いがあり、何とかこのフィードバックや希望を叶えてあげたいと考えました。
これが、ヴィエラ族を実装することに決めた最大の理由です。

3. FFXIVの世界観/キャラクタークリエイションの幅を広げる獣人族の実装

紅蓮のリベレーターで登場した人狼族は、幸いにもご好評の声をいただき、今後の長い運営を考えても、やはり「単なる美形ではないキャラクター」の実装は、FFXIVの拡大に際して、必要なのではないか、と考えるようになりました。
実際にはもっと以前より、獣系のプレイヤーキャラクターを実装したいと思っていたこともあり、ヴィエラ同様に種族追加が最後になる可能性があるのであれば、世界観やキャラクタークリエイションの幅を広げてくれるであろう獣人族は必要だと判断しました。

これらのキャラクタークリエイションは「個性の幅」であり、単にたくさんの人が使ってくれるかどうか、という観点だけで実装するわけではなく、ふと見た瞬間に、「そこにその存在がある」ことが、世界を作っていく上で重要になると思っています。
2と3の理由がせめぎ合ったため、そうなのであれば、素直に双方を叶えることが、プレイヤー体験として重要だと考えることにしました。
もちろん、それぞれが片方の性別しか使えないとなれば、お叱りをいただく可能性もあり、悩んだ末のことではありますが、ゲーム体験を優先するという判断をしました。

ヴィエラ男女、あるいはロスガル男女に焦点を絞り、どちらか一方だけを実装する方法もありましたが、それよりは、あらゆる面で可能性を広げるためにも今回の形をとることにしました。
漆黒のヴィランズをプレイしていただければエピソードが出てきますが、ヴィエラ族にもロスガル族にも、それぞれ別性別が存在しています。

今すぐには、彼ら/彼女らとの出会いはありませんが、いつか僕たちがさまざまな問題を解決できた日には、もしかすれば、その姿を目にする時がくるかもしれません。
ただし、これは今後必ず実装されるという意味ではないこと、今はそれをお約束できるタイミングではないことを、どうぞご理解いただけますと幸いです。

■少年/少女のようなプレイヤー種族の実装(余談)■

余談ではありますが、こちらも多くのフィードバックを頂戴している、「人間の少年/少女のようなプレイヤーキャラクターの実装」ですが、残念ながら、こちらは倫理的理由で不可能なのです。申し訳ありません……。

現在ゲーム市場を取り巻く倫理問題は年々深刻となっており、ゲーム内でセクシャルなポーズのスクリーンショットを撮影することはもちろん、少年/少女に戦いを強いたり、苦痛の表現を行ったりすることも禁止されつつあります。

たとえ、プレイヤーの皆さんに、その気があろうが、なかろうが、それを見た第三者の審査機関が、「これはNGである」と判断されれば、FFXIVの運営自体を止めなければならなくなります。
この点につきましては、時勢を鑑みた上でご理解いただけますと、大変助かります。

第62回FFXIVプロデューサーレター (2019/05/10)

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