日本、韓国、北米、ヨーロッパで基本プレイ無料化が発表されたMMORPG「TERA」だが、1月10日からシステムも含めて完全に基本プレイ無料に移行した韓国サーバーでは大きな成功を収めたようで、同時接続者数は無料化の5倍に達したという。
ゲーム情報サイトTHIS IS GAMEは、TERAの開発元であるBluehole Studioのキム・ナキョン ライブチーム長にインタビューを行った。
このインタビューの中で、日本サーバーの「解放」アップデートが2月13日(水)に実施されることが明らかになっている。
■月額制から基本プレイ無料に変更した後の反応が良さそうだ。成績の話からしましょう。
昨年12月から事実上すべてのサーバーを無料で開放した。以降ユーザーが引き続き増加し、1月4日には同時接続者が無料化前の3倍を超え、今では5倍に近いほどでさらに増えた。新規ユーザー数も無料化前に比べて平均10倍以上、週末には20倍を超えている。
サーバーごとに1,000人程度の待機者がおり、新たに追加されたポポリの友人サーバー以外はすぐにログインしづらいほど。復帰ユーザー、新規ユーザー関係なくたくさん集まってきて、復帰ユーザーは一緒にプレイできるように一つのサーバーに集まったし、他のサーバーは新規ユーザーでいっぱいになっている。
■感想は?
気が気でない。韓国は1月10日に正式に基本プレイ無料化をし、日本は2月13日に正式に基本プレイ無料化となる予定で、やるべきことが多い。無料化以前にもやらないといけないことが多かったが、無料化以降は仕事も増えて家に帰れないほど。第2のオープンベータテストをしている感じというか。
実際には、OBTはそれまでは少し休みながら作業できるが、今は運営をしながら無料化も一緒に準備していたから二倍大変だった。
■それでも気分は良いのでは?
良くないと言ったら嘘になる。ところが「TERA」には過去にユーザー数が一気に増えてもその後一気に減っていくという悩みがあった。そうなると単純に喜ぶことはできない。
これまでユーザーに対して間違えたことをしてしまったことも多く、失策をすればそれだけユーザーが去っていくのがとてもよくわかった。それだけ慎重かつ熱心に働くようになった。
■それだけ慎重になっているのか?
その通り。たとえば、新規サーバーだけでもログイン待機ユーザーが千人以上なのになぜ新しいサーバーをオープンしないのかと言われていた。それでも私達は「ひとまず今後を見なければならない、単純にサーバーを増やすことより今のユーザーの満足度をより高めなければならない」という考えだった。
だからサーバーを増やすより、最大同時接続者数を増やす方法でアップデートを行った。結局、それでも待機人数が増えるなら、そのときはサーバーを増やそうと決めた。
■基本プレイ無料化を決めたきっかけは?
以前からそのようなことをかなり考えていた。基本プレイ無料でもクオリティが高いゲームが多いなら、定額制のゲームが果たしてどのくらい合理的にサービスをすることができるだろうか。無料化を発表したのは一瞬だが、変更する前から内部では多くの悩みがあった
5年前、TERAを開発している時はクオリティが高ければ月額課金制でサービスをする時代だったが、今はタダで楽しむことができる良いゲームがあまりにも多い。だから、昨年夏にオープンした黎明の島サーバーを通して無料化の可能性を確認してみることにした。印象的な状況がたくさん出てきた。
例えば、本サーバーで月額料金をきちんと出すのはもったいなかったが、黎明の島サーバーから月額料金分のお金で課金アイテムを買うのは惜しくないとか、月額課金制では1分1秒を惜しんでプレイしていたユーザー達が黎明の島サーバーではのんびりとプレイできるようになった、などだ。その時思った。「ああ、世の中が変わったんだな。」これが基本プレイ無料の決定的なきっかけだ。
■無料化によってプレイヤーがのんびりできるようなったという部分がよくわからない
このような感じだ。定額制のユーザーはお金を払わなければならないだけに利用時間を惜しがる。だからインスタンスダンジョンに行っても、操作が下手だったり自分の時間を食うユーザーに対してとても厳しくなる。そのせいでTERAでもプレイヤーのアイテムやスキルを確認する「面接」というのが生まれたほどだ。
■それでも決定は簡単ではなかったようだが
その通り。決定は容易ではなかった。一応海外でも大きな問題だったが、韓国で基本プレイ無料にすれば当然海外でもそうなるのが自然だが、無料化後もTERAがうまくいくというコンセンサスを形成するのに長い時間がかかった。
コンセンサス形成のために最も必要なのは目に見える「データ」だと判断した。
黎明の島サーバーを使って数ヶ月にも渡って欲しかったデータを得ることができた。
その結果、今ではほぼ全ての地域が基本プレイ無料化宣言をした状況だ。
■黎明の島サーバーを開いてから半年も経った。遅すぎるという考えはなかったのか?
準備にそれだけ長くかかった。黎明の島サーバーをサービスしながらずっと学んでいた。その結果をゲームにもたくさん加えていった。例えば、黎明の島のサーバーをオープンしてみると、新規ユーザーを迅速に最高レベルまで引き上げて行く方法が必要だった。
だからレベルアップ過程でのアイテム強化確率を大幅に上昇させた。不便だった動線も改善され、ユーザーが提案した部分も一つずつ修正した。無料化しただけで変わった点はなく月額制だけ諦めた、というような声を聴きたくなかったので。
黎明の島サーバーがオープンしてからずいぶん経った後にユーザーが満足する姿を見たし、ちょうど2周年が近づいて来ていたので、象徴的な意味で1月10日に合わせて無料化すると発表した。
■無料化を惜しむ開発者はいなかったか?
惜しむというより心配している開発者は多い。果たして私たちの開発チームが無料化にうまく合わせることができるかという心配だ。今でも一番多く心配しているのが、「正直、我々は某N社のように基本プレイ無料のゲームをたくさん経験しているわけでもないから、ユーザーが呆れ返る部分に接してしまうのではないか?」これだ。
■それだけ基本プレイ無料モデルについての悩みも多かったようだ
内部的に見てどのようなビジネスモデルに持って行かなければならかを非常に悩んだ。TERAは無料化以前にいくつかのアイテムを販売する方法をとったところ、そこでヒントをたくさん得た。さっき言ったように無料化では経験が不足しているだけに一度他の人々が売っていた信頼性の高いアイテムを中心に販売して、ここに少しずつ新しい試みを混ぜてみようと準備中だ。
たとえば、今はペットの販売を開始し新しく装飾パーツ導入を悩んでいる。積極的だが無理ではない方面に考えている。
■今まで毎回アップデートのスケジュールを守れなかったのは?
内部的には夢を大きく見すぎていたと判断した。技術的な問題を見逃していた。サーバーvsサーバーの戦闘だけでもユーザーが私たちの思い通りに動くかどうか、サーバーごとの人員管理が可能かどうかなど、いくつかの問題があった。結局、非現実的な企画が多いとの批判が出てきたので大陸vs大陸の構図に縮小した。
最近、大型MMORPGがますます複雑になり、一つのコンテンツが出た時に予期せぬバグと不正方法がたくさん出てくる。以前のように何か間違いをしてもユーザーが容認する雰囲気でもなく、結局実現可能な企画を確実に持っていくしかない。連盟も似たような状態で継続修正中だ。
■コンテンツの問題でTERAの人気が下火になったというユーザーも多かった
その通りだ。コンテンツ開発速度がユーザーに追いつかなかったのが最大の理由だったと思う。ユーザーの意見の反映は継続してきた。それを怠ったわけではないが、ユーザーが願うほどの開発速度はなかった。規模の大きい開発チームで体験することが多い問題のようだ。
結局、迅速な意思決定と迅速な対応をすること。これ難しかったわけだ。昨年からはライブチームを新たに作成し改善作業とアップデートを同時に進めてきた。
■結局、現在はコンテンツは不足していないということなのか?
私の口からは多いとは言えない(笑)
ただし、やれることは十分にある。2年前OBT時点と比較すれば時間が経ったことを勘案してもはるかに優れた満足度を与えるものだと思う。実際の反応も良い方だ。
■復帰したユーザーたちからの声の中どのような反応が一番嬉しい?
TERAに勝るものはないという声が一番気持ちいい。以前は私たちが客観的なところに立って批判を聞いていた雰囲気だった。グラフィックスのためにコンテンツ開発速度が遅くならざるをえなく、昔のMMORPGのようにむやみにコンテンツを増やしにくい構造だったが、当時は理解してもらいにくかった。
ところが最近は他の大作MMORPGで似たような状況を経験し、「他のゲームと比較してみると、TERAだけが悪いわけではないんだな」みたいな話を聞く。少し遅いかもしれないが、大きな慰めになる。
■それだけ負担も大きいだろう
そうだ。アイテムを一つ一つ出すだけでも用心深い。ユーザーが望むものをどのくらい出すのか、それでいてバランスを崩さないか。これは私たちが解決すべき課題だと思う。
余談だが、日本サーバー限定でエリンのメイド服を販売したが、国内でもユーザーが「なぜ韓国には売ってないのか」という意見が多く出たため販売を開始した。そしたら今度は「なぜエリーン以外メイド服がないのか」という意見が殺到して他の種族のメイド服を作ることになった。
■本当に余談だが、男キャラメイド服は作らないのか?
作らないそうだ(笑)
■ユーザーを集めるのは成功したわけだが、今後どのような計画を持っているのか?
ずっと言っているが、我々は基本プレイ無料での運営は初心者だから、どのくらいのユーザーのメンタルとのバランスをよく守りながら利益を生み出していくかが第1次の課題だ。ゲームの面白さが課金アイテムや開発会社の欲のために飛んで行かないように、楽しくお金を使えるようにできることが重要ではないかと思う。
その次には着実に遊べる事だ。これは連盟の更新がきっかけだ。新しいダンジョン、戦場、大規模なアップデートなどを準備している。良く作ることも重要だが、”早く”良く作って無料化によって集まったユーザーが疲れる前にサービスするのが重要ではないかと思う。
最後にはコミュニティだ。TERAで一番不足している部分だと思うんだけど、連盟のアップデートにはコミュニティを活性化する案がある程度含まれているが、これまで一つしかなかったコミュニティがすぐに息を吹き返すとは思っていない。
プレイヤー間の楽しみをどのように取りまとめるか、ありふれたアジトすらないゲームでギルドに関連するどんなシステムを開発するかがカギだと思う。
基本プレイは無料だから入って来て親しい人々とチャットするだけのようなゲームになってもいいと思う。
情報元:THIS IS GAME
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