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FF14新生エオルゼア 正式サービス時のゲームデザインについて吉田Pからの説明が公開

8月27日発売予定のPC/PS3用ソフト「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」に関し、プロデューサー及びディレクターの吉田直樹氏から正式サービス開始時のゲームデザインの説明が公式ベータフォーラムに投稿された。
単純にファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼアがどうなるかだけでなく、MMORPG全体に言及した非常に読み応えのある内容となっている。
長文なのでそのままコピーするが、ベータテスターは
フォーラムで直接見たほうが見やすいだろう。

FINAL FANTASY XIV: 新生エオルゼア 正式サービス時のゲームデザインについて

■FINAL FANTASY XIV: 新生エオルゼア 正式サービス時のゲームデザインについて■

新生FFXIVプロデューサー/ディレクターの吉田です。
皆さん、新生FFXIVの様々な要素について、多数の熱いコメントありがとうございます。
βテストフェーズ3にて、旧FFXIVをご存じない方、他のゲームからの移動や、プレイを検討されている方、
初めてMMORPGに触れる方など、情報量と知識量に大きな差が生まれている状況です。

ここで今一度、新生FFXIVのゲームデザインについて、ざっくばらんな投稿をしておきます。
ただ、MMORPGという巨大なゲームのデザインに関わる話であり、多分に複雑ですし、超長文でもあります。
「楽しけりゃそれでいいやー」という方は、読み飛ばして頂いて全く問題ありません。
もしゲームの根幹にかかわる部分で、疑問があり、フィードバックしてみようかな、
と思った方は、お暇な時で構いません、じわじわ読んで頂けると、いくつかの疑問は解決すると思います。

繰り返しになりますが、超長文です。2時間くらいの講演ができるレベルですので、
どうぞ、読み進める際には、ある程度、文字の洪水に飲み込まれることをご覚悟くださいませ。
MMORPG序盤→MMORPGビジネス→コンテンツデザインと話しは進みます……。

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    • MMORPG廃人の吉田とプロデューサ兼ディレクタの吉田

      ここから先は、どちらかというと「MMORPG廃人プレイヤーの吉田」と、
      「MMORPGプロデューサ兼ディレクターの吉田」双方の視点でコメントさせて頂きますので、
      視点を切り替えつつ、ご確認いただければと思います。

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    • 廃人プレイヤー吉田から見たMMORPGの序盤

      既にオンラインゲーマー歴20年近い吉田ですが、それでも新作MMORPGは必ず触ります。
      その時に必ず思うのが「一気に最高レベルにしてくれるコマンド欲しいなあ(/lv all 50とか)」という欲求。
      チャットシステム、パーティシステム、コミュニティ機能など、MMOの基礎には完成形があり、
      ある程度どのゲームでも同じものが用意されています。
      他のオンラインゲーム経験者が迷わないよう、インターフェースもスタンダードになっており、
      特に覚えることがほとんどないので「さっさとレベルカンストにして、エンドコンテンツ遊ばせてほしい」と思ってしまいます。

      もちろん成長システムやスキルシステム、過程も大事なのですが、
      それはレベルカンストしてからでも確認できるので、ゲームの序盤、スキルが少なく、
      スキルがひとつ、ふたつしかない状況では「打てる手が限られる」ので、飛ばしてしまいたくなるのです。

      例えば、つい昨日まで夢中になっていたゲームがあるとします。
      レベルもMAX、すべてのロールで最高のギア(装備)を集めてあり、ランキングでもトップ。
      ゲームにログインすれば沢山の仲間から声をかけられ、キャラ名も結構知れ渡っています。
      モンスターとの戦いでは、常に生死ギリギリのコンテンツを仲間と一緒に目を血眼にしてプレイ。
      大規模レイドがあれば、率先して人を集め、レイドのリードをこなします。サイトも巡回、常に情報は最新。
      プレイヤースキルが低いなんて言われたく無くて必死。廃人ってそんなもんです。
      (チョコボいきなり戦死、新よし逃げしといてアレですが……)

      ところが今日から始める新しいゲームでは、一切の経験や財産がゼロに戻ります。
      ヒリつくような戦いも無ければ、バトルで使えるスキルの選択肢もA→Bか、B→Aの2-3通りから開始。
      敵とのシビアなかけ引きも登場せず、広大なMAPを走り回って世界を見るくらいしかありません。
      しかも多くのゲームをこなしてきたおかげで、ある程度もう効率化の手段も予測がついてしまい、
      あとは膨大な時間を「予測がつく行為にあてていく」という、気の重い状態が待ち受けています。
      「さっさとレベル50にしてくれりゃあなあ」と思ってしまう吉田がいます。
      それができないなら、せめて「もう少し序盤から難易度高くていいんだけどな、じゃなきゃアクション性。その方が燃えるし」と思ってしまうこともしばしばです。これじゃ飽きるぜ、とも。

      ここで注意が必要なのは、飽きるのはあくまで自分と同じレイヤーの人、もしくは近似値の人だということ。
      「バトルこそ最終的にMMORPGの大部分だよね」、と気付いている人だということです。

      廃人は極端な例としても、ゲーム歴の長い方、腕に覚えのある方は、新しいゲームをプレイする際、
      「どうも気乗りがしないなあ」とか「ダルいなあ」と思ったことがあるのではないでしょうか?
      特にMMORPGの場合、最初に出会ったMMORPGにのめり込んだ経験が強ければ強いほど、
      「燃え尽き症候群」にかかりやすいと思います。吉田のMMO廃人仲間にも結構多いです。
      もう二度とあんなにのめりこめない、一生分の情熱を使ってしまった、という話。
      なので序盤がダルい、何をしてもダルい、続かない。でももう一回火をつけてほしいんだよ!とも。

      もう1点、燃え尽き症候群とは別に「ふるさと比較症候群」もあります。MMORPG特有ですが。
      新作MMORPGが出て、βテスト~無料期間までは一部流行するものの、結局のところみな
      元いたMMORPGへ戻っていく現象。最近ではWorld of Warcraftによく見られます。
      WoWの場合「WoWのアップデートスケールはやっぱり凄かった」「WoWでできることが、このゲームではできない」などなど。
      長期間同じゲームにハマれば、当然比較も出ますし、人間はこういう場合、特に保守的にもなります。

      ご両親の都合で転校や、会社都合での転勤を経験された方ならわかると思います。
      「早く前と同じ環境に戻りたい」。環境が変わることはストレスです、地位も経験もゼロスタート。
      少しでも以前の環境と似ていた方が良いに決まっています。

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    • プロデューサー兼ディレクターから見たMMORPGの序盤

      しかし、MMOを開発、運営する立場で、客観的に見た場合、見える景色は一変します。
      よく思い出すのは「初めてMMORPGをプレイした時のストレスや敷居の高さ」です。

      MMORPGを敬遠される方とも良くお話をしますが、MMORPGの一般的なイメージは……

        • ゲーム廃人がプレイするもの(自分とは関わりのないゲーム)
        • ネットがないと遊べないので面倒(ストレス)
        • チャットしなきゃいけないので面倒(ストレス)
        • パーティ組めないと何もできない=人と関わらないと何もできない(ストレス)
        • ストーリーとかなさそう(期待薄)
        • ウィンドウ多すぎてわけわかんないゲーム(理解不能)
        • 覚えること多くてプレイできない気がする(恐怖感)
        • 用語とかわけらからん(難解)
        • いきなり殺されたりするんでしょ?(誤解)
        • めんどくさそう(漠然とした不安)

      などなど、しかし実はどれもMMORPGにはよく当てはまってしまいます。

      先ほどのMMO廃人から見た序盤で書いた「MMORPGプレイヤーにとってにあって当たり前のもの」が、突然「MMORPG未経験プレイヤーから見ると越えなければならない障壁」になってしまいます。

        • オンラインプレイ環境(現代では相当敷居下がりましたが)
        • チャットシステム
        • パーティシステム
        • パーティコンテンツ
        • リアルタイムバトルシステム
        • 長期間ゲームを続けるための最低限のUI
        • リンクシェルやフリーカンパニーなどのギルドシステム
        • クラフト/ギャザリング
        • トレード
        • マーケット
        • リセットの効かない成長システム

      どれもMMORPGには不可欠ですし、だからこそ面白い。でも、逆に大きなマイナス点でもあります。

      新生FFXIVは、11年前のFFXIがそうであったように、今の世代のプレイヤーに、
      FFを通じてMMORPGに触れてほしい、という思いが強くあります。
      旧FFXIVで大きな失敗をしたからこそ、触って頂ける方には、特に序盤ストレスは与えたくありません。
      どうしてもMMORPG経験者の方はバトルシステムにフォーカスされがちですが、

        • 広大なフィールドを自由に歩きまわること
        • 見知らぬプレイヤーがそこらじゅうを走り回っている世界
        • ウィンドウには大量の文字が流れ
        • あらゆるものがリアルタイムに動いている
        • NPCと会話をし
        • モンスターと戦いを始める
        • アイテムを手に入れたら着替えてみる
        • レベルが上がると新しい行動を覚える
        • テレポやデジョンなど移動のための知識
        • 新たなエリアへの進出

      MMORPGは「世界をまず楽しむゲーム」だと思います。
      吉田のMMORPG初体験はUltima Onlineですが、個々のシステムには特に気が回りませんでした。
      広大な世界があり、見る人はどこかの国のプレイヤーで、英語もよくわからず、
      ウィンドウひとつひとつ確かめて、フィールドに出たらニワトリを素手で殴り……
      その直後にPKされましたが(笑)
      しかし、とてつもなく魅力的な世界でした。こんなゲームあったのか、と。

      ですので新生FFXIVでもその感覚をとても大切にした序盤にしてあります。

        • カッコいい、可愛い、勇ましく、逞しい高品質なキャラクターを作成して
        • 美しく、広大で、昼と夜が絶え間なく移り変わる世界があり
        • 行きかう人々はネットの向こうにいるリアルのプレイヤーで
        • でもNPCと話せば物語は進み
        • MAPを見ながらよちよち歩きをして
        • 恐る恐るモンスター殴ってみると意外にも簡単に倒せて
        • 思っていた以上に、他人と積極的に交わることを強制されず
        • 独りでも物語をサクサク進められて
        • 移動をするたび世界は広く、やっぱり美しい
        • やがてFFらしいクリスタルの物語がはじまり
        • 一介の冒険者から次第に要人に認められ
        • 世界を股にかける冒険が、飛空艇と共にはじまる

      これでファイナルファンタジーとして、MMORPGの序盤は十分だと思うのです。

      ようは「新生FFXIVの”エオルゼア”という世界に住めるかどうか、なじめるかどうか」がとても大切です。
      「思っていた以上に簡単で、思っていた以上にすごそうだ!」で十分なのではないかと。

      そう思って頂けなければ、シナリオクリアはおろか、UIの使い方や、チャットの方法、
      チャットを打つ勇気、パーティを組む気力なんて出てこないと思うのです。
      この伝達方法には本当に悩みましたし、今も悩んでいます。
      テキストHow Toよりも動画が良くないだろうか、しかしアップデートコストが高い。
      How To出し過ぎても、やらされてるゲーになってしまう、とにかくシンプルにするしかない。
      とりあえずボタン押せば進むくらいじゃないとダメだろう、などなど……。

      初めてMMORPGに触れる人にとって、個々のシステムは「魅力的な世界の一部分でしかありません」
      後にそれがMMORPGの7割を占める、超重要なものだったことに気づく時が来るとしても、
      ゲーム開始当初は、そんなことに思いも至らないし、考えもせずに序盤は進みます。
      それよりもなによりも「自分もこの世界で暮らしていけそうだ」と思って貰うことの方が、はるかに重要です。

      Lv15までの序盤、オンラインゲームに慣れていないうちから、パーティを強要する要素も入れませんでした。
      結果的に見ず知らずのプレイヤーから、ガンガン話しかけられたり、指示されたりすることも無いようにしてあります。

      (エンドコンテンツはちょっと別ですが)

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    • MMORPGビジネスとチャレンジ

      大型MMORPGのローンチは年を追うごとに、その難しさを増しています。
      UO/EQと続いたMMORPGラッシュは、BlizzardのWorld of Warcraftで一度頂点を極めます。
      ですが、そのWoWとて最初からうまく事が運んだわけではなく、当時はあまりにも簡単な導線に
      「こんな簡単なクエストお使いゲームは冒険じゃない」とまで言われました。
      エンドにあると言われていた、2派閥間のPvPもバランスがめちゃくちゃで、
      遊ぶ物がないじゃん、とも言われました。今じゃ考えられないですが。

      しかしBlizzardはギブアップするどころか、運営2年目より方針をユーザーコミュニティ重視に切り替え、
      その容易なゲーム導入と、厚いシナリオ、導線、エンドコンテンツの充実から、
      一気に「MMORPG未体験ユーザー」を増やし独り勝ち状態となりました。
      WoWは既存MMORPGプレイヤーの取り込みで勝ったのではなく、新規開拓で勝ち、
      結果「既存MMORPGプレイヤーを全部取りこんで」いきました。

      どちらか一方をとったのではなく、粘り強く双方にアピールし、もともとのBlizzardファンを中心に、拡大路線を踏襲しました。11年前のFFXIも規模は違えど同様だったはずです。

      「MMORPGはサービス業である」と言ったのもBlizzardで、ゲームデザインに絶大な自信を持っていたBlizzardがこの発言をすることは、当時のBlizzardファンにとって、とてつもない衝撃でした。

      2013年に入り、ユーザー数が減った減ったと騒がれていますが、今なおWorld of Warcraftは、
      MMORPG業界の絶対的王者に変わりはありません。

      以降、2007年にMMORPGラッシュがあり、さらに昨年も大型ラッシュがあって今に至ります。

      MMORPGのローンチの難しさは主に3つ存在します。

        • コンテンツのボリューム
        • 質の高いユーザーインターフェース
        • 独自の目新しい要素

      実はこの3つをクリアしてローンチするのは、並大抵の難しさではありません。
      多数のMMOPRGがローンチにチャレンジする中、やはりコンテンツボリュームを長期運営中の
      他MMORPGと比較され、非常に苦しくなるケースが後を絶ちません。
      さらに、前述したように「ゲーマー」と「初MMORPG体験者」では、真逆と言ってよいほど、
      ゲーム序盤の印象が異なります。そこで「大きく難しさを増すのが独自性」です。

        • できるだけMMORPGゲーマーに訴求したい
        • できるだけ多く新規プレイヤーも取り込みたい

      最近のMMORPGはアクション寄りにシフトしつつあるのが実状ですが、吉田個人としては、
      月額課金型の長期運用を目指すMMORPGにとって、逆効果かなと思っている要素のひとつです。
      (MMORPGの1ユーザー当たりのライフサイクルを短くする場合は別です。むしろ正解)
      前述したとおり、MMORPGはとにかく慣れるまでの障壁が高すぎ、かつアクション性を出すと、
      確かにエキサイトではある反面、バランス面でとてもピーキーになりがちで、
      一般的なプレイヤーの場合、何百時間とそのバトルを毎日繰り返すのが、非常に難しくなってしまいます。
      また、バトルコンテンツもバランス面から量産し難くなり、結果的にコンテンツボリュームにも影響を与えます。
      そのため、お客様の総プレイ時間を低く見積もり、新規のお客様の回転率を上げ、
      顧客単価によって維持するフリートゥプレイモデルこそが、この方針とマッチするビジネスモデルだと思います。
      (いわゆるアイテム課金、マイクロトランザクション)

      新生FFXIVはファイナルファンタジーのナンバリングタイトルであり、長期の安定運用と、
      皆さんへの安定したアップデートとコンテンツの提供を目標としているゲームです。
      ですので、旧FFXIVのアップデートと並行して、ゼロから新生FFXIVの開発を行う決意をした際、
      一番最初に決めたのが「アクション性を極力なくすこと」でした。

      最近のMMORPGでは、インターネット回線の強化により、
      オフラインのスタンドアローンゲームのような、防御や回避スキルを持つことも実現可能となりました。
      それを知りつつも「FFをオンラインでプレイするお客様には合わないだろうな」と思ったこと、
      「できるだけ長期間安定してプレイして頂きたいな」と思ったことから、極力アクション性は無くしました。

        • 視覚化された範囲攻撃から移動でそれを回避すること
        • 攻撃位置を適切化することでダメージ向上につながる仕組みがあること
        • 特定のルートを辿るスキルを実行することで組み合わせの余地を入れること
        • 終盤ではTP/MPのコストを考えつつ最大ダメージを出すことに執着できること
        • コンテンツクリアのために極力ジャンプを必須としないこと

      ここまでを目標にコンテンツとバトルシステムを構築しています。
      単純に思えるかもしれませんが、レベルキャップ到達後のエンドコンテンツでは、
      これに装備の状況も加わってくると、相当プレイヤースキル差が発生します。
      この中で楽しんでいただくことを、まず新生FFXIVの最初の目標にしよう、とゲームデザインを始めました。

      FFXIVのコンテンツやバトルにアクション要素が存在しないのは、これが理由です。
      繰り返しになりますが、当時FFXIがMMORPGの面白さをFFユーザーを通じて伝えようとしたように、FFXIVを通じて、今の世代のプレイヤーにもう一度MMORPGの面白さをお伝えしたいと思っています。

      「じっくり、焦らず、ゆっくりでもプレイできますよ」と。

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  • お使いゲーなのか、導線ゲーなのか

    さて、新生FFXIVはWorld of Warcraftによって確立された、
    クエスト消化型のゲームデザインが採用されています。
    ですが、これは何もWoWに限った話ではなく、古くからRPGでは町単位に小さな話をクリアし、
    結果それが大きな奔流に繋がっていくという、一般的なゲームスタイルでもあります。

    ところがMMORPGの世界は広大で、単なる通りすぎるだけの消費型ゲームでもありませんし、
    多くのクラスやジョブが存在するため、全世界を冒険して貰おうと思うと、クエストの数が膨大になります。
    当然人によっては「もう文字なんて読みたくねー、クリックしたら終わりでいいよ」と思う方もいますし、事実WoW以降、かなり多く議論されてきた話題でもあります。

    でも、世界を知ってもらうためには、積み重ねのクエストの方が無ければ、お伝えすることもできないし、なにより「コツコツ遊ぶ」「気がついたら前に進んでいた」「止め時がわからん」というように、

    プレイヤーに遊んでもらう上で、メリットも非常に多いのです。

    そこで「単なるお使いゲー」にならないよう、新生FFXIVではメリハリをつけることにしました。
    しっかりと骨太なシナリオを用意するのは当然です、ファイナルファンタジー最新作なので。
    ただし、いわゆる導線に配置されているサブクエストは、セリフのラベル数も極力減らし、
    最悪連打でテキストを飛ばされてもいい、くらいの覚悟で作ろう、と。
    飽きが来そうなギリギリで、主要キャラ達が登場するクエストは、マークをつけて明確化し、
    カットシーンのコストをかけ、さらに大きな節目ではボイスも入れて、盛り上げを作ろうというメリハリです。
    クラスクエストもジョブクエストも、ボイスこそ入れていませんが、同じ考えで作られています。

    残念ではありますが、MMORPG廃人は、レベリングもコンテンツもトップ集団となるべく、テキストなんてすっ飛ばしです。マウス連打。
    でも、MMORPG初体験の方にはきっと新鮮なはずだと思うのです。
    「なんかすごい勢いでクエスト出てくる」「終わったと思ったら次」「MMOってパーティでやるもんじゃないの?」
    色々思っていたMMORPGのイメージと、良い意味でのかい離が発生してくれればな、と思っています。

    こうした序盤のゲームデザインはレベル15のクエストインスタンスバトルを経て大きく変わります。
    冒険者である皆さんが、世界に必要とされ始めた頃から、仲間たちとの出会いが発生するように、
    あえてメインのシナリオ導線にパーティでのダンジョンアタックを入れてあります。
    経験者がダルくてマウスやパッドを投げるギリギリ+αくらい。

    「どうせなら独りで全部クリアできたらいいのに」という声があるだろうというのも理解していますが、MMORPGビジネスは、一人でも多くの方に長くプレイしていただく必要があります。

    そのためには人との出会い、強力なコミュニティが必要不可欠です。
    だからこそ、パーティコンテンツをメイン導線に組み込むことにして、
    その代りパーティ編成のストレスをなくすよう、自動マッチングの「コンテンツファインダー」を用意しました。

    もちろんレベル15までの過程で、飽きられてしまっては元も子もないのですが、
    これまで書いてきたように、MMORPGの序盤は「誰でも前に進める」ことこそが必須と考えており、ここで脱落する方は、おそらくこの先の展開にもご満足いただけないと思いますし、

    好みがある以上、それで良いのだと考えています。
    序盤はある意味、ワーワーしているうちに、駆け抜けてしまったわー、が理想です。

    他のMMORPGでは開始2時間もすれば結成できるギルドシステム。
    新生FFXIVではフリーカンパニーと呼んでいますが、これがグランドカンパニー入団後じゃないと、
    結成できない、というのも他のMMORPGと違うところです。
    とにかく初めてMMORPGに触れる方には、ギルドの説明が難しい。
    覚えることの多すぎる序盤、フリーカンパニーの誘いが飛んでくると、もうわけがわからない。
    でも、早くフリーカンパニー結成したい方々は、序盤なんぞ軽々乗り越えて、
    あっという間にそこに到達してくれると思っています。いずれのプレイヤーにも成立して頂くため、
    上級者にはややご不便をおかけしますが、意図的にそんなデザインにしてあります。

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  • 新生FFXIVのパーティコンテンツデザイン

    正式サービス時から遊べるシナリオは盛り込めるだけ、大いに盛り込みました。
    どうぞ、MMORPGプレイヤーの皆さんも、初めてMMORPGに触れる皆さんも、
    FF最新作としてのストーリーを楽しみつつ、飛んだり跳ねたり、気楽にプレイしてください。

    パーティでのダンジョン攻略も、パーティ集めの必要がないよう、
    コンテンツファインダーという、パーティを自動で作成する仕組みを用意しました。
    (βテストフェーズ3の第3回目のテストから、このコンテンツファインダーの負荷試験を行います)
    その分だけ、レベル50までのレベル上げを兼ねたダンジョンの難易度には相当気を使っています。

    Lv10にはギルドオーダーという「パーティプレイの基礎を学ぶコンテンツ」が用意されており、
    ダンジョンよりも難易度の低いコンテンツで、気軽にパーティプレイのトレーニングが可能です(導線は調整予定です)。
    レベル15からの2つのダンジョンは、初めて顔を合わせるプレイヤーで構成されたパーティでも、
    全滅の憂き目にあうことなく、ワイワイやっていたらクリアできたー!という難易度に。
    3つ目ではちょっとギミックが発生、その後のシナリオによる蛮神との戦いでは、
    「巨大なボスバトルでは、倒すまでに明確な攻略方法がある」というのを知っていただきます。
    ステップバイステップで、MMORPGの基礎を楽しめるよう、導線設計にはこだわっています。

    恐らくこれまでエンドコンテンツでキリキリしていた旧FFXIVのレガシーの方や、
    他MMORPGを経験された方だと、レベリング中のコンテンツは拍子抜けするくらい簡単だと思います。

    ただ、知識差のある方同士がコンテンツファインダーでマッチングされ、パーティを組み、
    かつ楽しんでクリアできることこそ、まずは最重要

    この難易度はシナリオが進むにつれ、じわじわと上がっていきます。
    それと並行して覚えるクラスのウェポンスキル、魔法、アビリティ、クラスの役割の明確化、
    敵の背後に、サイドに、アビリティを上手く組み込み、しっかり戦わないと徐々に全滅回数が増えます。

    このバランスと難易度の上昇、コンテンツクリアのための明確な攻略設定、必要装備設定が、
    目に見えて理解して頂けるよう、コンテンツのデザインにはかなり気を配りました。
    同時にそれはバトルシステムの根幹を極力シンプルにした大きな理由でもあります。

    MMORPGのバトルシステムは、イコール、バトルコンテンツデザインになるからです。

    さらにクラフター、ギャザラーという製作や採集クラスに手を出すと、ゲームはさらにまったり進行となり、コツコツ毎日やる要素は、各クラスのレベリング中にも沢山登場します。

    それぞれのスタイル、それぞれのペースで、のんびりエオルゼアの世界を楽しんで頂きたいと思います。

    そしてメインシナリオにまずは最初の大きな節目が訪れる頃には、キャラはレベル50となり、
    ジョブチェンジし、オープニング冒頭の意味が明らかになっていると思います。

    クエストやシナリオのテキストを読み、他のクラスに浮気をせず、まっすぐプレイを続けて約60~80時間、世界一長いスタッフロールを見終わってからもエオルゼアでの冒険は続きます。

    強大な敵、それに対抗するための装備集め、ある程度差が出始めるプレイヤースキル。

    次々エオルゼアに召喚される蛮神、ハウジングシステム、バハムートのその後、クリスタルタワー、
    大規模PvP、カンパニークラフト、色々予定がいっぱいです。

    本格的に「エオルゼアに住む」ことが始まるのは、むしろエンディングの後です。

    この頃にはいくつものクラスやジョブがレベル50となり、攻略方法、効率的なスキルの使い方、
    研究熱心な方の猛烈な解析が始まると思います。
    その分だけ、とにかくゲーム序盤もバトルの基礎もシンプルにしてあります。
    議論の対象になるGCDの長さは考える余地、高レベルで装備が整うと2.5秒のGCDもさらに短くなり、エンドではその暇も無くなるくらい手数が増えますので、廃止することは考えていません。

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  • 最後に

    まだまだ書けることは山のようにあるのですが、それこそ本になってしまいそうなので……。
    長くなってしまい恐縮ですが、新生FFXIVはこんな風にしてデザインされたゲームです。
    すごい理屈の塊に見えますが、プレイする上では、こんな理屈どうでもいいと思いますので、
    繰り返しになりますが、まずはなによりも、楽しんでいただくことを最重要視して貰えると幸せです。

    吉田や運営チームはフォーラムだけでなく、TwitterやFacebook、ブログや日記サイトを巡回し、
    多くの視点でβテストフェーズ3の感触を確認しています。
    また、フォーラム上のポストにある単純な「いいね」の数だけで判断したりもしていません。
    フォーラムの性質上、異を唱える意見が多く「プレイ人口に対して書きこむ人の割合」
    データから客観的に見て、ピックアップに偏りがでないようにするのも、運営チームの大切な仕事だからです。

    ゲームに好き嫌いがある以上、普遍的に相容れない意見も存在します。
    Aを採用すれば、Bの採用が不可能になるものも多く、そのチョイスを見誤らないためにこそ、
    皆さんのフィードバックをとても重要に考えています

    先日公開させていただいた、β2までのフィードバック対応リスト、対応させて頂いたものもあれば、
    明確に意思を持って対応しなかったものもあります。
    「MMORPGはサービス業である」
    この対話の積み重ねこそが、MMORPGの運営でとても大切だと思っていますので、

    採用された、採用されなかった、俺はこう思う、こうあるべきだ!だけでなく、
    もう少し肩の力を抜いて、対話を楽しんで頂きたいなと切に願います。
    書き込む前に、眉間に皺が寄っていないか、どうかもう一度ご確認を。
    スクエニはこれまで、割と閉鎖的な会社だったので「ここで一発物申す!」という方も、中にはいらっしゃると思います。
    もちろん真摯に受け止めさせて頂きますが、まずは楽しむことを前提にお願いいたします。

    繰り返しになりますが、初めてMMORPGに触れる方は、深く考える必要はないです。
    楽しんでそこに到達できるよう、バランス調整も、贅沢なカットシーンも用意してあります。

    序盤のバトルについてぶっちゃけると、序盤TPの最大を低くして、コストを気にするバトルも
    実はテストしてみました。でも、やっぱり雑魚でそれを繰り返すのは、本当にダルかったのです。
    1対1では圧倒的勝利と実践テストを、レベル5付近から敵のスキルを避けた方が効率が良くなり、
    クエストインスタンスバトルでは、正面から殴り合うだけでは死にます。

    ピリリとスパイスを、というのは吉田も良くわかります。それこそさじ加減だろう!とも。
    しかし、前述したとおり、バトルだけがMMORPGの序盤ではありません。
    世界があって、人がいて、リアルタイムに時が流れ、バトルをして、ギャザリングして、クラフトして、
    チャットで終わる日もあれば、新規キャラメイクだけで終わることもあるかもしれません。

    世界そのものを楽しんで貰えるよう、特に序盤のバトルは要素のうちのひとつと割り切っています。
    (レベル15のクエストインスタンスバトルは、もう少し難易度下げるつもりです)
    割り切りが下手くそ、と言われれば、それはもう吉田の能力の問題です。

    βフェーズ3はレベルキャップが35に設定されている分、ブレイフロクスのダンジョンは、
    製品版のバランスより、ちょっとだけキツ目に調整してあります。
    凝っているダンジョンでもありますし、腕に覚えのある方は、どうぞ挑戦してみてください。

    いずれのプレイヤーにもご満足いただけるようにすることは、途方もなく高い目標ですが、

    これからも精一杯の努力を続けますので、末永くお付き合いくださればと思います!

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ちょうど11000文字くらいになりましたのでこの辺で……。

引用終わり

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