10月17日から23日まで韓国で初のクローズドβテストが行われたMMORPG「黒い砂漠」の開発者インタビューが行われた。
次の大作MMORPGになるポテンシャルを秘めている本作の最初のCBTの手応えはどうだったのだろうか。本稿でインタビューの内容を紹介する。
開発元Pearl Abyss&販売元Daum インタビュー
Q. 1次CBTを終了した感想を教えてください。
Pearl Abyss キム·デイル代表:満足しているのは技術的な問題が少なかったという点です。私たちはゲームを開発し、開発者の立場としては難しい試みをたくさんしました。”シームレス”方式で開発しましたし、攻城戦もありましたし、チャンネルシステムではなく、多くのプレイヤーが空間を共有できる構造です。この状態でさらに複雑な戦闘が成り立っています。開発する前から難しい構造だと思っていました。このような要素が1次CBTでプレイが可能な程度に実装されたという点にも満足しています。
満足できない部分はゲームプレイに関する説明が不足していたのと、不便な部分がいくつかあったという点でした。その中で大変残念だったのは攻城戦システムです。本来私どもが考えた攻城戦システムがありましたが、プレイヤーの方々がこれを全て行うには一週間では足りなかったようで、既存システムを簡略化させて1次CBTに実装しました。プレイヤーの方々はその部分について物足りなさを感じていたようです。ただし、その状態のままリリースするということはありません。
Daum ホ・ジンヨン本部長: 私たちはここまで大きな規模のゲームをサービスした経験はありませんでした。開発元であるPearl Abyssはとても上手くやりましたが、私どもがこの規模のゲームをサービスした経験が不足しているだけに、プレイヤーのフィードバックを熱心に聞いて反映することで解決していきました。開発会社の色は維持しながらプレイヤーのフィードバックを確実に受け取って、伝達して調整するつもりです。私どもはゲームではない他の大規模サービスは何度も行ってきましたので、今回の1次CBTでそこまでの無理はありませんでした。しかし、今回募集したテスター数は多くありませんでした。次のテストではより多くの人々を対象にして、顧客センターのような部分も着々と準備していきます。
Q. 1次CBTの評価を点数で表現するなら?
キム·デイル代表:全体的に振り返ってみると、私どもが目標としていた部分が正しく実装されたので、個人的には99点をあげたいです(笑)
ホ・ジンヨン本部長:私どもも99点をあげたいです。
Q. 1次CBTで予想できなかった反応はありましたか?
ホ・ジンヨン本部長: “既存の慣れた方式のゲームとは違って、プレイするにつれて徐々に没入感が増していく”という反応が多かったのが意外でした。私たちはこのような反応が出てくるとは予想していませんでした。慣れた方式のゲームをプレイしていくうちに、そういった方式のゲームに飽きた人が多いようです。
Q. 1次CBTで多く指摘された部分は何でしたか?
キム·デイル代表:最初は反応を見て少し戸惑いました。ゲームプレイを全く理解できなかったという反応もあったし、”スカイリム”みたいだという反応もありました。実際、黒い砂漠のゲームシステムを短期間で学習することは難しいです。ですので内部的にガイドのようなものを作ったりもしますが、開発する中で具体的な内容が頻繁に変更されます。だから細かなガイドは後で作ることにしました。全体を見て、「ゲーム自体が難しい」というのと「ガイドが不親切」という意見にわかれますが、このような意見を今整理しているところです。
ホ・ジンヨン本部長:序盤のゲームプレイが親切でない部分を多く指摘されましたし、1次CBTとして見るとインターフェイスはまだ完成されていないと理解している方もいた・・・。しかし、思ったより多くのプレイヤーが壁を簡単に超えました。「このような方式でも大丈夫みたいだ」という意見がたくさん出たことは肯定的な信号だったと思います。
Q. これから変更しなければならないと決めた部分は何ですか?
キム·デイル代表:プレイヤーの立場から”不親切だ”と感じる可能性のあるものの中には、私たちが意図的にそうしたものもあります。当社のゲームのコンセプトがあり、むやみにすべての部分に手を出すことはできませんが、基本的な説明が足りない部分は修正するでしょう。CBTを一度実施したからこそ、どこに説明が必要なのかが把握できます。
Q. 説明がもう少し必要だと判断した部分の例を教えて下さい
キム·デイル代表:例えば、
1. NPCとの親密度をどのように上げて、上げた親密度をどのように活用するか
2. 探索ノードがゲームプレイにどのような影響を与えるか、探索ノードにどのようにアクセスするか
3)地域貢献度でノードを取るか、アイテムに交換するかのどちらを選択するのが適切かどうかについての説明
4)探索ノードはキャラクター基準ではなくアカウント全体のキャラクターたちが共有していること
5)テントを張って縄を結んでおくと、馬のスタミナが満たされるということ
6)ロバにニンジンをどのように与えるのか
などです。
全体的に振り返ってみると、ゲームを進めていく中でプレイヤーが”選択”をする必要があり、そのような部分の説明が足りなかったようです。
そして最も残念だったのはスキルの説明をしてくれるスキル映像がなかったという点でした。実際にスキルを説明する最も良い方法は映像です。文章だけではわかりづらいですから。
Q. 1次CBTのテスターは隠し要素や説明をしていない要素をどのくらい把握していましたか?
キム·デイル代表:私たちが想像した以上に隠し要素をうまく見つけていました。攻城戦が始まる前にあちこちを歩き回ってきたが、探索ノードを取ってNPCを買って、色々なものを生産しているのを見て驚きました。様々な地域の探索ノードを撮影したスクリーンショットを掲示板に上げているのにも驚きました。上手く適応してくださって本当によかったと思います。私たちは特定の要素の説明をするのかしないのかの悩みではなく、プレイヤーたちがこのような部分を攻略して知っていく過程で”楽しさを見いだせるか”を心配していますが、この部分は次のテストでさらに詳しく調べることができそうです。
Q. 開発関係者に最も人気のあったクラスは何でしたか?
キム·デイル代表:Pearl Abyssのスタッフはそれぞれ自分が作業したキャラクターをプレイする傾向がありました。ほとんどのスタッフは全クラスプレイしたようです。私は”ソーサラー”でずっとプレイしていました。実際には”ウォーリアー”は攻撃力最強の戦士にしたかったです。ウォーリアークラスに”回転斬り”というスキルがありますが、これをストリートファイターで言うところの昇龍拳のような絶対スキルにしたかったのですが、プレイヤーの方々はあまり理解してくれませんでした。だから、なぜ”戦士が弱い”と言われるのかを理解するために、個人的にもう一度育ててみます。
ホ・ジンヨン本部長:Daumの内部的にはウォーリアーが最も多かったです。1次CBTに参加したテスターの中で最も多かったのはソーサラーでした。
Q. 今はレンジャーは女性、ウォーリアーは男というようにクラスと性別が固定された状態です。今後クラスごとに男性/女性の選択を可能にする計画はありますか?
キム·デイル代表:そのような計画はありません。その部分もかなり悩みました。女戦士が出てきたら男戦士と同じスキルを使わざるを得ないのか?という質問がありました。ストリートファイターではリュウとケンが微妙に違います。同じような男性キャラクターでもそういった微妙な違いがあるのに、男戦士と女戦士が同じスキルを使うというのは変だと思います。もちろん、クラスの目的や役割は似ているかもしれませんが、クラス名は別のものにするつもりです。
Q. 次のテストで新しいクラスが追加される予定はありますか?
キム·デイル代表:難しいと思います。新規クラスの準備はしていますが、既に公開したクラスの完成度を高めることが先決です。ちなみに開発中の新規クラスは4つです。
Q. MMORPGは戦闘だけを強調すると最大レベルに達してから長続きさせるのが大変です。何か長期的に遊べるコンテンツが必要です。そのような部分への懸念はありますか?
キム·デイル代表:黒い砂漠を開発する前から非常に悩んだ部分です。プレイヤーが長く遊べるように作るものの、深みのあるゲームを作るには何からすべきか?と考えました。その結果出てきたのが探検と貿易です。実際、MMORPGを戦闘だけで続けていくには限界があります。攻城戦も、最初は興味を持ってプレイすることはできるでしょうが、長期的にやり続けると疲れてしまいます。それか、色々なシステムをあれこれと追加することもできます。とにかく我々はプレイヤーが長期的に続けられるゲームを作ろうとしています。
例えば、釣りだけでも何らかのコンテンツがずっと続くように準備中です。”親密度”が攻城戦に影響を与える要素も開発されていますし、取引もそうです。プレイヤーが特定のパターンだけでゲームをするのではなく、あれこれと多様にプレイできるようにしています。奥深さがあり、ゲームのいくつかの要素が有機的に連結されているゲームを作りたいと思います。
ホ・ジンヨン本部長:私どもも”黒い砂漠”を長続きするゲームにするために努力しています。
Q. 黒い砂漠を開発する中で最も苦労した点は何でしたか?
キム·デイル代表: 黒い砂漠は今まで世に出たゲームとは別のプレイパターンを示さなければならないという悩みがありました。別のパターンとは、例えばペルリア村で必要な知識を全て得て、そこにいるプレイヤー皆と親しくしたり、貿易でお金をたくさん儲けて攻城戦をするギルドを支配するといったプレイを指します。1次CBTでもこのような姿がある程度見られました。最初はただレベルアップだけしていた人が途中でゲーム内の財貨が必要であることを感じて”お金を稼ごう”という気持ちで貿易をして、後ほどもっと楽に狩りをしているという人もいました。私が望む姿に近いです。
Q. 1次CBTはゲームパッドでも動作しました。ゲームパッドで遊ぶ人の割合を集計しましたか?
ホ・ジンヨン本部長:私たちはゲームパッドのデータまではチェックできません。1次CBT初期のプレイヤーの方がゲームパッドに関連するバグレポートのようなものを送り続けてくれたので私たちは緊急に対応をしたりしました。ちなみに黒い砂漠は日本のサービスも意図されています。日本ではMMORPGをゲームパッドでプレイする人も多いので、この部分をもっと改善していくことでしょう。
Q. 1次CBT以降のスケジュールについて教えてください。
キム·デイル代表:まだ具体的な日程が確定したわけではありませんが、2014年の頭くらいに2次CBTを実施することを考えています。2次CBTの結果を見て3次CBTをするかOBTをするかどうか決定するようにします。今年のスケジュールで残っているのはG-STAR程度です。G-STARで大会のようなことを行うことも考えています。1次CBTが終了したばかりなので、G-STARで新しいコンテンツを公開するのは難しいです。
Q. 今後の国内PCオンラインゲーム市場の展望は?
キム・デイル代表:ゲームが面白ければそれ自体で意味があると思いますし、それだけでも勝負することができると思います。そして、2013年末に次世代コンソールゲーム機が発売されれば、その後はゲーマーの見る目が大きく変化するのではないかとみています。そのため、PCオンラインゲーム市場も次世代のコンソールゲーム機が発売されるとその周期に合わせて動くようになるのではないかと思います。
ホ・ジンヨン本部長:今、(韓国)国内PCオンラインゲーム産業が萎縮してはいますが、良いゲームに対する需要は十分に存在すると考えており、黒い砂漠の1次CBTによってそれが確認できたと思います。また、10月に多くのMMORPGが出て、その中には意味のある成果を見せてくれたゲームもあります。一方、ゲームを公開する企業の数は減少しました。これからは似たり寄ったりなゲームが出てくるというよりは、ある程度の規模があるゲームだけが出てくるのではないかと予想しています。
ただし、PCオンラインゲーム市場は今いる強者が市場をしっかりと占有しているのを見ると、新しいゲームが成功するのが難しい構造でもあります。このような状況で黒い砂漠がMMORPG市場で一線を画すゲームになることを願って、そうなれるように努力しています。現在急成長しているモバイルゲームはアクセスは簡単なんですが、モバイル端末でMMORPGを楽しむことはまだ時期尚早だと思います。
Q. 黒い砂漠でモバイルとPCが連動するコンテンツは用意されていますか?
ホ・ジンヨン本部長:それも考えていますが、今はPC版を開発することに集中しています。
Q. 最近個人的に楽しんだゲームは何ですか?
キム・デイル代表: GTA5を買いましたが、3時間プレイしてそっとしまっておきました。黒い砂漠のCBTを控えていましたので… 今度の次世代コンソールは買わないかもしれません。その後他のゲームはできませんでしたし、黒い砂漠を楽しみました。本気で。CBTからは攻城戦もやりました。
Q. 黒い砂漠のコンソール版も出すのでしょうか?
キム·デイル代表:わかりません(笑)
Q. Pearl AbyssとDaum Communicationsの関係はどうでしたか?
キム·デイル代表:とても気楽でした。これまでのゲーム開発する中で、このようなもてなしを受けたことはありませんでした(笑)。サーバーの問題が一度だけありました。サーバーの準備も完璧にしてくれたし、認証もほぼ完璧でした…だから楽に作業が進みました。
ホ・ジンヨン本部長:ありがとうございます(笑)
Q. 最近政界ではゲームを「4大中毒」に含める発言がされています。ゲーム開発会社の代表として言いたいことはありますか?
キム·デイル代表:私はゲームのために自分の人生を捧げていると思います。子供の頃に勉強した理由もゲームからだったし、大学に進学することになったのもゲームからでした。ゲームには肯定的な部分もありますが、それはほとんど知られていないようです。
Q. 最後に黒い砂漠を一言で表すとなんですか?それと、1次CBTでつけた99点を定義するとしたら?
キム·デイル代表:黒い砂漠は人生のゲームです。開発者としてもそうだし、プレイヤーとしてもそうです。99点は、完璧に向かって行く最後の橋頭堡だと思っています。
ホ・ジンヨン本部長:黒い砂漠はゲームの未来です。
ソース: Ruliweb
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