海外のPCゲーム専門情報サイトPC Gamerの「The biggest MMO failures in history」という記事を紹介。
海外サイトが選んだ、ゲーム史に残る失敗を経験したMMOとは?
Motor City Online
2001~2003
Test Drive UnlimitedやThe Crewのような、オープンワールドのレースゲームが登場するよりも遙か昔にEAが制作したのがMotor City Onlineだった。
RPGのような経済システムを取り入れたり斬新と言えば斬新だったものの、ゲーマーのニーズとは一致せず。
また、本当に自由にドライブができるフィールドが存在せず、月額課金制で敷居が高く、さらにラグによって対戦相手の車がワープするといった問題もあった。
2003年にサービス終了。EAのMMO失敗の連鎖の始まりである。
Earth and Beyond
2002~2004
EVE Onlineよりも前に、ファンタジーではなくSFや宇宙探索の要素をMMORPGに取り入れたゲームで、宇宙船を操作して探索をすることができた。EVEよりも控えめだがEVEよりも親切なゲームデザインだった。
商業的には成功とは言えなかったが、ゲーム自体にこれといった大きな問題もなく、突如としてサービスが終了した。
当時のEAの管理構造がゲームを終了させたと言われている。
Earth and BeyondはWestwood Studiosの最後のゲームであり、同社はこの後EAに吸収されることになる。
Star Wars Galaxies
2003~2011
スターウォーズ ギャラクシーズは、2003年当時としてはリアルで豊かなグラフィックスと壮大なサウンドトラック、巨大な世界、複雑なスキルシステム、ゲーム内の経済、サンドボックスのアプローチが高く評価されたMMORPGだった。
複雑すぎると批判されてもいたが、非常にユニークであったため、ゲーマーから特に愛されていたMMORPGの一つに数えられる。また、商業的にも当時としては十分な月額課金者を得ることができていた。
しかし、2005年に悪名高い「NGE」(New Game Enhancements)システムが導入された事が転換点となる。SWGのユニークな職業システムも、ユーザーインターフェイスもスキルシステムも戦闘も大きく変更するアップデートだった。
NGEは複雑と批判されたゲームシステムを簡素化するアップデートだったが、既存のコミュニティはこれに反発。
結果、ベテランプレイヤーたちがゲームを去ってしまうという月額制のゲームとしては致命的な事態を招いた。
SOE(現Daybreak Game)の社長であるジョン・スメドレー氏は、後にこの変更について謝罪、開発チームがファンの意見に耳を傾けなかったことを後悔していると明かした。しかし、時既に遅しだった。
SOEとルーカス・フィルムのライセンス契約が切れた2011年にサービスを終了した。
The Matrix Online
2005~2009
大ヒットした映画「マトリックス」の世界観を再現したオンラインゲーム。
2005年以前のMMOと比較すると、戦闘は流動的で、マトリックスの映画のアクションをなんとかオンラインゲームに上手く落としこむことができていた。
マトリックスのゲームということで注目を集めたものの、実際には少し変わったぱっとしないMMOであったため、徐々にプレイヤーが離れていった。マトリックスオンラインは、中途半端な成功ではMMOを維持していくのは難しいという良い例だと言える。
サービス終了の直前のお別れイベントでは、サーバーの不具合に見まわれ、最後のシネマティックエンディングはラグに見まわれ、マトリックスオンラインの生き様そのものを反映した最後だった。
Tabula Rasa
2007~2009
ウルティマシリーズの生みの親であるリチャード・ギャリオットが関わっているということで注目を集めたSF-MMORPG。
TPSのような戦闘スタイルをMMORPGに持ち込み、一定の評価を受けた。
しかし、エグゼクティブ・プロデューサーのギャリオット氏とパブリッシャーのNCSOFTとの間の軋轢が、開発の過程でゲームを内側から蝕んでいった。
ギャリオット氏はTabula Rasaをグローバルタイトルにしたいと考えていた一方で、NCSOFTはTabula Rasaをアジア市場でもヒットできるようにしたいと考え、両者の考えが食い違った。
まだ欧米で成功する前からアジア市場を意識させられ、数百万ドルと数年間を無駄にしたとギャリオット氏は語っている。
ゲームが発売されると、大量のバグや中途半端な部分が目立つことになり、Tabula Rasaは商業的な成功を収めることなく、2009年にサービスが終了した。
ギャリオット氏はNCSOFTに開発会社を解雇させられたが、NCSOFTはギャリオット氏に辞意があったと主張、ギャリオット氏はNCSOFTが契約違反をしたとして訴訟、最終的にギャリオット氏が勝訴し2800万ドルの賠償金を得ることになった。
Hellgate: London
2007~2008
ロンドンを舞台にした終末モノのハクスラ系アクションRPGで、かつてBlizzard EntertainmentでWarcraftやDiablo、Starcraftといった数々の名作のプロデューサーを務めたBill Roper氏の新作として大きな注目を集めた。
世界各国でのリリースが予定され、多額の予算がマーケティングやマーチャンダイジングに費やされた。しかし、HellgateにはプランBがなく、まさに全てを賭けていたのだった。
Hellgate自体はそこまで悪いゲームではなく、ロンチ時にバグやサーバーの問題に悩まされることもほとんどなかった。
ただ単に、期待されていたほど面白いゲームではなかったというだけだった。ゲームの評価も中途半端なものだった。
2007年10月に北米サービス開始後、なんと2008年8月に開発元のFlagship Studiosが破産し閉鎖。
欧米でのサービスは終わりを迎えたが、その後韓国のハンビットが権利を買収し、基本プレイ無料の「Hellgate London: Resurrection」として韓国で2008年にサービスを開始した。そして日本でも2010年にサービスを開始し、2013年にサービスを終了した。
Vanguard: Saga of Heroes
2007~2014
ヴァンガードは、エバークエストのデザイナーだったBrad McQuaid氏が設立したSigil Games Onlineが開発したファンタジーMMORPG。2007年当時のMMORPGとしては珍しく、マップがゾーンに分かれておらずロードなしで各地域を移動でき、さらにインスタンス空間も存在しないゲームデザインだった。
もともとマイクロソフトとの契約の下に開発されていたゲームだったが契約が破綻。その後、今はなきソニー・オンライン・エンタテインメントが権利を買い取り、開発が継続された。
かつてSOEでエバークエストを開発していたBrad McQuaid氏とSOEが再び手を組む。注目はさらに高まった。
しかし、SOEがリリースをあまりにも急ぎすぎたため、山のようなバグが残っており、とてもゲームがプレイできる状況ではなかった。ゲームの最適化も酷い有様だった。
2007年にはGameSpyから「最もがっかりしたゲーム」という不名誉な賞を受賞。さらに、MMORPG.comから2007年のワーストMMOに選定された。
長年かけてゲームのバグは修正されていったが、ゲームが人気を取り戻すことはなかった。それでも、2014年まで7年間も続いたのは奇跡的だと言える。
Warhammer Online: Age of Reckoning
2008~2013
Dark Age of Camelotの開発を担当したMythic Entertainmentが手掛けるということで、”WoWキラー”との呼び声も高かった本作。
大勢のプレイヤーが一緒になって攻略するパブリッククエストのような斬新なシステムを取り入れたWarhammer Onlineだったが、本作が強調していたRvRや大規模なPvPよりも全体的にしっかりとしたMMORPGの体験を求めているプレイヤーが多かったようで、Warhammer Onlineは大きな成功を収めることはできなかった。
ウォーハンマーの権利を保有するGames WorkshopとEAの契約が切れた2013年、サービスが終了した。
FINAL FANTASY XIV
2010~2012
2009年のE3で電撃発表され、その翌年にはもう発売されたファイナルファンタジー14だったが、とても2010年のMMORPGとは思えないようなユーザーインターフェイスとレスポンスの悪さ、退屈なゲームデザイン、魅力のないフィールドなど、スクウェア・エニックスのイメージを地の底まで落とし、ファイナルファンタジーシリーズの終焉ではないかと言われるほどの失敗作だった。
現在プロデューサーの吉田直樹氏ですら初めて旧FF14を見た時はその酷さに驚愕したと語っている。
月額課金制だったが、ゲームのあまりの惨状に一時的に無料化され、開発チームも見直されて、「新生エオルゼア」としてゲームを作り直すことになった。同時に旧FF14の改善も行われた。
一度ゲームサービスを終了させ、同じ世界でストーリーを継続させつつも、あらゆる部分を見なおして「新生」させ、地に落ちていた人気も回復させるという離れ業をやってのけたことは、海外の多くの業界関係者を驚かせた。
MMO史に残る失敗と復活劇の両方を経験したFF14は稀有な存在だと言える。
APB: Reloaded
2010~
「グランド・セフト・オート」や「クラックダウン」のクリエイターらによって開発されたAPB(All Points Bulletin)は、オンライン版グランド・セフト・オートとも呼ばれ期待されたが、フタを開けてみれば酷い操作性とバランスの悪さが目立つ結果に。海外メディアのレビューでは平均58点というかなり低い評価。「ゲームがまだ未完成のように思える」という理由だった。
開発元のRealtime Worldsが経営難で危機的状況に陥り、2010年6月のサービス開始後、わずか3ヶ月でサービスが終了することに。
その後、K2 NetworkがAPBの権利を150万ポンドで買収したことで開発会社が一命をとりとめ、2011年に「APB: Reloaded」として不死鳥のごとく舞い戻ってきた。
しかし、課金アイテムによってバランスの悪い状況にあり、ゲーム本来のポテンシャルは活かされていないようだ。
そして2013年にはグランド・セフト・オートVのマルチプレイヤーで「グランド・セフト・オート オンライン」が本当に登場してしまった。
2016年にはPS4版とXbox One版のロンチも予定されているが・・・
引用元:PC Gamer
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