2014年4月22日~5月11日に韓国で第2次クローズドベータテストが行われたMMORPG「黒い砂漠」のレビュー
※これは韓国2次CBTのレビューであり、ゲームの仕様は今後のテストやロンチ時に変わる可能性があります
【良い点】
+ログイン時以外ロード画面が一切ないシームレスなマップ
+インスタンスダンジョンがない
+レベル上げとクエストの分離(一部クエスト除く)
+MMORPGの中でもトップクラスのグラフィックス
+豊かさと活気を感じられる作りこまれたリアルな世界
+マップがひらけており、狭さを感じない
+マップ上に表示されない隠しエリアの存在など探索要素
+3Dで描画されたマップUI(地図)
+草むらで剣を振ると草を刈れるなど、細かな演出とエフェクト
+天候・昼夜の変化とそれに伴うNPCの行動変化
+NPCの好感度や会話システムは新鮮な楽しさがある
+ほとんどのNPCと話すことができ、NPCの個人的な問題や黒い砂漠の世界の問題などに触れることができる
+攻城戦や占領戦がオープンフィールド上で行われる
+次世代的なキャラクターカスタマイズ
+高速かつ流れるような戦闘
+敵はそこそこ手応えがある
+装備にレベル制限がない
+まだ2つの領が実装されていない段階でレベル50までのコンテンツがある巨大な世界
+ファストトラベルがないことや町ごとの倉庫など、リアリティを重視したシステム
+壁を掴んで登るなどのパルクール
+適正レベルの敵が広範囲に何種類も分布しており、狩り場の選択肢が多い
+BGMが良い
+ゲームパッドに対応している
【悪い点】
-攻撃ヒット時の打撃感や爽快感が少ない(主に効果音)
-レベル上げは繰り返しの狩り(Grind)に依存している
-大半のクエストの内容自体は面白みが少ない
-一部のクエストは非常に面倒くさい
-旅の目的がわかりづらい
-オートランの正確さに欠ける
-事実上、キャラクターは職と固定されている
-レベルスケーリングがない
-装備の種類が少ない
-防具が変わっても見た目の変化は小さい
-似たようなスキルが多い
-PvPのバランスは良くない
-現状のPKはGankが横行する可能性がある
-貿易や生産、採集の難易度が高く、手間がかかる(採集1回に30秒40秒かかるなど)
-HUDのレーダーがわかりづらく、どこに採集可能なものがあるのかわからない
-「レベル」がゲームの自由度を大きく妨げている
-CBT2で仕様変更されたハウジングには「ハウジング」としての魅力が少ない
-LODが効きすぎており、調節できない
-クエスト対象の敵の位置が全て表示されない
-プレイヤーキャラクターの動きがスムーズでない
総評:
黒い砂漠は最近のMMORPGの中では野心的で褒められる部分がたくさんある面白いゲームだが、それと同時に「MMORPG」のジャンルには限界があることを強く感じさせてしまうゲームでもある。
一言で言うなら、これがシングルプレイもしくは少人数のマルチプレイゲームであってほしかった。
シングルプレイであれば戦闘をさらにアクション性の高いものにできるし、黒い砂漠の世界とそこに生きる人々のストーリーにも注目でき、レベルに制限されない自由なゲームプレイが可能となるはずだからだ。延々と狩りを続ける必要もなくなるだろう。
もちろんMMORPGにはレイドや攻城戦など大人数で楽しめるものもたくさんあるわけだが、そこはトレードオフであり、どちらかというとこのゲームでは失っている部分の方が大きいように思えて仕方ない。
Pearl Abyssは今まで多くのプレイヤーが夢見てきたMMORPGの世界を見事に作り上げているが、それを活かせるか殺してしまうのか、微妙なラインの上に現在いると思われる。
黒い砂漠はWorld of Warcraft以降のテンプレ化されたMMORPGから脱却しようとしているが、それを具現化させるのはとてつもなく難しそうだ。現状、MMORPGはWOWと同じようでちょっと違うゲームか、それとも従来の概念とは全く異なるゲームを作る挑戦をするのかの二択であり、その中間ではElder Scrolls Onlineの二の舞に終わってしまうかもしれない。
黒い砂漠は日本サービスも決定しているわけだが、今のままでは日本サービスが成功する可能性は極めて低い
日本ではキャラクターのアバターなど他のプレイヤーと差別化された外見を楽しむ人が多いが、こういった要素は今のところ非常に薄い。また、職業ごとに性別とだいたいの外見が決まっており、ベースから大きく変えるということは現状不可能となっている。
PKは勢力間の対立ではなく、比較的自由なPKであるためそこも賛否がわかれそうな部分だと言える。(既に韓国ではかなり議論されている模様)
黒い砂漠のシステムは既存の典型的なMMORPGとは若干異なり複雑なため、どうやってそれをプレイヤーに理解させるのかが課題となるだろう。EVE Onlineがどれだけ優れたシステムを持っていても、日本でヒットさせるのは難しかったのと同じようなものだ。
そしてある意味最大の欠点、日本のプレイヤーの興味を引くことができそうな象徴的なキャラクターがいないということ。こういった部分で日本でのパブリッシングは困難を極めるかもしれない。
欧米では職業の数さえ増やせれば日本よりはまだ先行きは良いかもしれない。
正直、あと2回くらいクローズドベータテストをするべきだと思うほど不安定な状態であり、韓国の掲示板を見ても賛否両論が出ているのでPearl Abyssは慎重に開発を進めていく必要がありそうだ。
とはいっても、黒い砂漠は3週間ではとても足りないくらい興味深いシステムを数多く揃え、間違いなく最近のMMORPGとは別の路線を行っており、この先も目が離せないのは確かだ。
期待度を100とした時のCBT2の評価:
70/100
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