10月14日、Actoz Softはスクウェア・エニックス開発のMMORPG「ファイナルファンタジーXIV」の韓国サービスに関するプレスカンファレンスを実施した。吉田直樹プロデューサー兼ディレクターに対して韓国メディアが行ったインタビューの要点をまとめた。
吉田直樹プロデューサー兼ディレクター インタビュー要点まとめ

Q. パーティマッチングシステムは韓国のオンラインゲームでもヒーラーとタンクを見つけるのが大変ということが多かったが?
- 世界中の他のゲームでも同じ。皆がDPSをやりたがるため
- タンクやヒーラーは責任が大きいから忌避される傾向があるのは事実
- 強要することなく確実に報酬を提供し、自然に誘導する方法を使っている
- バトルやコンテンツのバランスはどんなゲームにも負けないくらい備えておいた
- すぐにマッチングするよりも、マッチングしたときに楽しむことができるバランスが重要だと考えている
Q. グローバルサーバーから韓国サーバーに移行できるようにする計画はあるのか?
- MMORPGは経済が非常に重要
- 韓国サーバーをオープンする時にグローバルサーバーから多くの財産を持ったプレイヤーが入ってきたら経済が破綻してしまう
- 技術的な問題もあるが、韓国サーバーオープン後6ヶ月間はグローバルサーバーからの移転はないだろう
- 韓国サービス開始時の韓国版クライアントと、グローバル版クライアントのバージョンが違うので韓国版にはまだ存在していないアイテムがあるという可能性もある(韓国ロンチ時はバージョン2.3)
- いずれバージョンが追いついた時には考慮するに値する
- 北米サーバーでプレイしているユーザーなどが、同じ言語を使ってプレイしたいという気持ちは理解するし肯定的に検討する
Q. 韓国向けの衣装や乗り物などのローカライズコンテンツを追加する予定は?
- 韓国の伝統衣装を例に挙げるなら、ファイナルファンタジーの世界観に合わせてデザインを変えて追加してみる程度のことは検討している
- 世界観を壊さないことを重要に考えている
- ベヒーモスというモンスターは中国版で姿を変えて実装したことがある
Q. ギルド(フリーカンパニー)の最大人数を512人にした理由はあるのか?
- MMORPGを20年間遊んできたが、昔はプレイヤーが少なかったので、コミュニティの結束力が強かった
- ギルド内の仲間意識も強く、ギルド間の交流も活発だった
- 世界中で多様なゲームが登場したことで、プレイヤーごとの好みが分かれるようになった
- 数千人規模のギルドがあっても、好みの違いでコミュニティが壊れてゲームを辞めるという人をたくさん見た
- FF14は色んな方向で楽しめるゲームなので、ギルドリーダー1人が管理できる人数は512人程度が限界だと判断した
- グローバルサーバーでも512人満員というのはあまり見なかったし、少ないという意見もあまり見なかったので適切ではないかと思う
Q. ギルド戦(GvG)コンテンツのようなものはないのか?
- 今はない
- ファイナルファンタジーというゲームはプレイヤーが大きな敵に立ち向かうのであって、プレイヤーがプレイヤーと戦うという認識は世界的にあまりない
- PvPが上手ではなかったり、嫌いだという人も多数存在する
- ただし、私がPvP好きだったり、中国や韓国のユーザーはそちらを好む傾向があるのである程度実装することになった
- ウルヴズジェイルやフロントラインといったコンテンツを実装してから、PvPに楽しさを感じるプレイヤーも増えた
- 今後、ギルド同士の戦いか、ギルドランキングなどを追加していく予定はある
- 余談だが、日本ではPvPとPKを区別できないプレイヤーも多い
- フロントラインを多くのプレイヤーが楽しめるようにするため、もう少し力を注いでいきたい
Q. 韓国のMMORPGをプレイしたことはあるのか?
- リネージュ、リネージュ2、TERA、Blade & Soul、ArcheAgeあたりはやってみた
- MMORPGは全世界のゲーマーが一緒に楽しめるゲームだと考えており、どこの国で作ろうが私たちのライバルだと思っている
- MMORPGのプロデューサーは皆同じ考えではないだろうか
Q. 旧版で一度失敗し、リニューアルして成功した事例が世界的にも珍しかった。プロジェクトを開始する時の心境はどうだったのか?
- 一度失敗したゲームをリニューアルして、アップデートをしながら再開発をするという難しい作業だった
- 誰もやりたくないだろうし、私ももう二度とやりたくない
- FF14を任される前はファイナルファンタジーシリーズを担当したことがなかった
- リニューアルすることを決定し、調査をすればするほど深刻な問題が多かった
- 何をしても「これより悪くなることはないだろう」と思った
- まともなものにしなければ、旧版を酷すぎると感じた人がファイナルファンタジーに再び期待することはないと思った
Q. 韓国のプレイヤーが慣れやすいようにチュートリアルシステムを追加する可能性は?
- 中国サーバーでも同じ話が出た
- 親切すぎて何も考えなくてもクエストを進行できるような傾向がアジアのゲームにはある
- 「このNPCはどんな問題があってクエストを与えてきたのか?なぜこのモンスターを倒さなければならないのか?ここはどこだ?」といったことは何もわからない状態で、ただクエストだけを進める印象を受けた
- 便利な方法で楽しんできた方々はこれが当然だと考えるかもしれない。そういった方々にはFF14の前半部分は難しく感じる可能性もある
- 映画を例にすると、冒頭30分を早送りにしたら映画の内容は理解できないだろう
- MMORPGは進めば進むほどシステムが複雑になるので、クリックだけで進行した人がどのくらい理解するのかは未知数
- 目的も分からない状態でゲームを終えることよりは、冒険を実際に楽しんでもらう形が重要だと考えている
- ソーシャルゲームやカジュアルゲームが好調だが、中にはしっかりとしたゲームをやりたいという人もいると思う
- グローバルバージョンでも不便さを感じたユーザーの意見を取り入れて、ある程度改善する余地はある
- クリックではやく進みたいのは理解するが、私達のゲームは文学や映画のようにストーリーを気遣って作った
- 特に前半は集中して楽しんでくれたら嬉しい
Q. 韓国ではRMT業者が活発だったり、BOTの問題も大きい
- 人気のあるMMORPGはどこでもそういった問題がある
- グローバルサーバーもBOTや業者などを継続して摘発している
- RMTを防止するため、極端にお金を集める行為ができないようにしたり、他にも強力な対応をしている
- 業者もお金を払ってプレイしているのであえて処罰しない会社もあることは知っているが、私たちは善良なプレイヤーの方が重要だと思うので積極的に行動している
- 中国版にあわせてBOTを撲滅させる作業をしていて、韓国でオープンする頃にはBOTやチートの防止がもっと強化されると思う
- アカウントを処分して終わるのではなく、取引履歴を調査し、会社を追跡して抗議する形態を取っている
Q. FF14が韓国の次に進出する市場はどこが良いか?
- 国に関係なく全世界のユーザーに楽しんで欲しい
- 個人的な希望があるとすれば、ドバイでファンフェスティバルを開きたい。石油王を募集している
- ロシア、中南米、台湾なども無視できない市場
- かといって無理に広げるのではなく、今回のActoz Softのように本当に情熱を持っている運営会社がいるかどうかを確認することが優先だと考えている
- 私は日本人で、開発チームも日本にいるので、韓国市場を完全に理解するには無理がある
ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼアの韓国サービスは2015年に予定。2015年上半期にはクローズドベータテストを行う予定で、韓国サーバーは中国同様に独立しており、料金は定額制になるとのこと。
ソース: inven
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