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1080pと900pの差はどのくらいあるのか。画面サイズと視聴距離と解像度

アサシンクリード ユニティのコンソール版が900p@30fpsにロックされるというニュースは瞬く間に広がり、物議を醸すこととなった。
ACU_900vs1080issue.jpeg
PS4とXbox Oneが発売されてから、マルチタイトルの両バージョンの解像度の違い(1080pと900p、900pと720p)などは度々比較されてきたわけだが、解像度の違いはどの程度体感できるのだろうか。

画面解像度

ASUS 液晶ディスプレイ 28型ワイドLED(3,840×2,160 (4K UHDTV)) PB287Q

一般的な液晶ディスプレイやテレビでは、その製品の最大解像度(ネイティブ解像度)よりも低い解像度の映像を表示した場合、画面の粗さが目立ってしまうため、最大解像度での表示が推奨されている。

しかし、映像側がディスプレイのネイティブ解像度に対応していない場合も当然存在する。
例えばDVDは480iが標準であり、1080pのモニターにそのままドットバイドットで表示すると画面の中央に小さく表示されるため、再生プレーヤーやテレビのアップスケーリング機能で拡大表示することになる。

下の画像を見ていただくとわかるように、解像度の差というのはこれほどの違いを生むため、低解像度の映像をディスプレイのネイティブ解像度まで引き伸ばした場合に粗く見えるのは当然なわけだ。

resolutioncomparison_1080p720p.png

内部解像度(レンダリング解像度)

内部解像度という呼び方は通称だが、コンソールの場合、実際にレンダリングされる解像度が表示解像度とは限らない。
例えばPS3の「ファイナルファンタジー13」は1280×720でレンダリングされ、最大1080pにアップスケールされる。
また、PS3の「メタルギアソリッド4」は1024×768でレンダリングされ、最大1080pにアップスケールされることになる。

これは720pの映像を1080pのモニターに映すのとは意味が異なる。
一言で1080pといっても、ネイティブ1080pなのか、アップスケールされた1080pなのかなどの違いがある。

▼右の900pを1080pにアップスケールしたイメージは、左のネイティブ1080pよりもぼやけた印象を受ける
upscale_ryse_pc.png

900pと1080p

話題の中心となっている900p
900pは16:9、正方形比率ピクセルでは1600×900のことを指すわけだが、1080p(1920×1080)と比較すると60万画素以上少ないことになる。

900pのイメージが1080pにアップスケーリングされた場合、足りない部分は擬似的に補完されることになり、ネイティブ1080pよりも少しぼやけた映像となることだろう。

下の2つはファイナルファンタジーXIVの1080pと900p(1080pにアップスケールされたもの)のスクリーンショットだ。
画像クリックで拡大


(DualShockers)

画像をクリックしてフルスクリーンに拡大して比較してみてほしいが、普通のゲーマーは「この程度の差なの?」と思うことだろう。しかしそこに差は確かに存在している。1080pの方が細部もくっきりとしている。

下の2つのGIF画像は1080pにアップスケーリングされた異なる解像度のゲーム画面を比較したスライドショーだ。
「バットマン アーカムビギンズ」 1080p vs 900p vs 720pの比較GIF
「The Witcher 2」 1080p vs 900p vs 720pの比較GIF

見た目の差は少ないようでも、ハードウェアへの負荷にはそれなりの違いが生じる。
それがネイティブ1080pで動作できず900pで動作させる理由の一つではあるのだろう。

▼アサシンクリード4 ブラックフラッグのPS4版(1080p)、Xbox One版(900p)の比較動画


フルスクリーン, 1080p画質設定での視聴推奨。

それほど深刻な差が生まれているだろうか?

ではこの解像度の差はどういった時にはっきりと感じることができるのだろうか?
それは画面サイズと視聴距離によって変わってくる。

画面サイズと画面からの距離

SHARPによると、画面からの最適な視聴距離は「画面の高さの約3倍」であるという。

最適視聴距離
24V型→約90cm
27V型→約1.0m
32V型→約1.2m
40V型→約1.5m
46V型→約1.7m
52V型→約1.9m

しかしよく考えてみてほしい。

40インチのテレビから1.5m離れるというのは何もおかしなことはないが、平均的なPCモニターのサイズである24インチで推奨された90cmの距離を取ることは、キーボードやマウスなどの関係もあってだいぶ無理がある。

PCモニターの場合どうしても画面に近くなるわけだ。その距離は60~80cmくらいだろう。
つまり推奨距離よりも近く、その分画面の粗さというものも認識しやすくなるはずだ。
それだけの距離に近づいても900pと1080pではあの程度の差しか見えてこないわけで、これが最適距離の90cmだったらどの程度認識できるのだろうか?

下の画像は視聴距離、画面サイズごとにその恩恵を認識可能な解像度を示したグラフだ。
距離の単位はフィートが用いられている。

このグラフによると、40インチのテレビを使っている場合、5フィート(約1.5m)まで近づいた時に1080pの恩恵を全て受けることが可能となる。それよりも離れると1080pである恩恵は徐々に減っていく。逆にそれ以上近づくと、粗さが見えてきてしまうというわけだ。

もし、40インチに最適な1.5mという距離で50インチ以上のテレビを視聴する際は1080pですら粗く見え始め、1440pや4Kといったさらなる高解像度が推奨されると考えることもできる。さすがに50インチで1.5mだと近すぎると感じるかもしれないが

tv_resolution_chart.png

下のグラフは上のグラフと同じものではあるが、より近い距離が拡大されている。

概算ではあるが、900pを1080pにアップスケーリングしたゲームを40インチのテレビでプレイする場合、2m程度離れていると1080pと900pの差はわかりづらいと予想される。
一方、24インチのディスプレイに900pの映像をアップスケールして表示する場合、1.2mほど離れると違いがわかりづらくなるようだが、PCでこれは遠すぎるので、やはりPCゲームを24インチでプレイする場合は1080p以上が最適なのだろう。

viewdistance720vs1080-625x1000.png

ゲームであれ映画であれ、画面解像度は画面のサイズと画面からの距離によってその恩恵は大きく変わってくる。このことを理解しておきたい。

ただし、解像度が高い方が画面内の情報量は多くなるので横や縦の可視範囲が増えたり、MMO等でHUDやUIのスペースのような別の恩恵を受けることができる。

5760×1080は1920×1080の3倍の情報を含んでいる。

60fps VS. 30fps

この記事を読んでいる人にとっては説明するまでもないが、1秒間に生成されるフレームの数をframes per second(fps)という単位で表現する。また、これをフレームレートという。

PS3/Xbox 360/Wii世代の多くのゲームは30fpsすなわち60Hzのモニターのハーフリフレッシュレートで動作していた。
しかし30fps固定でもフレームレートの低下が起こるなど、垂直同期を取るのもやっとだったわけだ。

30fps出ていればある程度快適で垂直同期も取れるので、60fpsを目指したらフレームレートの変動が激しくてスクリーンテアリングも発生するなんてことよりはマシなのだろう。

30fpsと60fpsの比較サイト

上記サイトでは、30fpsと60fpsのゲーム動画を比較してみることができる。
人間の目は30fpsと60fpsの差を認識することができる。
格闘ゲームなどは60fpsであることは必須に近い。ゲームプレイという点では60fpsの方が明らかに快適だ。

ほとんどの場面で60fpsは恩恵を与えるが、時に60fpsがデメリットとなることもある。
それはカットシーンなどのストーリーテリングに関する場面や世界の雰囲気を見せたいようなゲームだ。

60fpsは時にぬるぬると滑らかに動きすぎるため、そういったシーンではあまりにも人工的に見えてしまうことがある。
映画的な演出をしたい作品はあえて30fpsにしていることもあるだろう。

映画やアニメを60fpsで視聴したら違和感が大きくなることだろう。

しかし今回のアサシンクリード ユニティのコンソール版の900p@30fpsはそれとは異なり、ハードウェアの性能とグラフィックス品質の妥協点として設定されたように思える。

来る4K時代ではどうなるのだろうか。

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