Diablo IIIのゲームディレクターであるBlizzard EntertainmentのJosh Mosqueira氏はGDC 2015で、Diablo IIIの失敗とそこからの復活への道のりに関して講演を行った
▼講演の模様を収録した動画
2012年5月に発売されたDiablo IIIはその高い期待とは裏腹に、ロンチ時にはサーバー障害でログインできず、ログインできるようになったら今度はドロップするレアアイテムが拾ってみたらゴミばかり、レジェンダリーアイテムを拾っても自分のキャラが装備できない、あとはオークションを眺めているばかりという惨憺たる状況だった。
開発チームは何が問題なのかを把握するところから始め、一番の問題は開発がユーザーの心理を理解できていなかったという点だと判明した。
Diablo III ロンチ時に問題だった原因には次のようなものが挙げられている。
- どんなに良い話でもストーリーモードを100回も繰り返しやったらストーリーに意味はない
- 開発チームは高難易度が良いと思い込んでいたが、高難易度がプレイヤーにとって壁になると、プレイヤーはさらに効率重視するようになった
- 「ファンタジー」が「効率」に負けてしまっていた
- 開発チームは「ランダム性」が一番だと思いこんでいた
- 大量にアイテムがドロップしてもゴミばかり
- レアアイテムがドロップしても自分が装備できるものがなかなか拾えないのでオークションハウスばかり眺めるようになってしまう
- レアリティが高いのに、レアリティが低い装備より性能は低いというわかりづらいアイテムシステム
- ストーリーを見せないようにするため、ベータテストの範囲が短すぎた
- ベータテストでエンドゲームのフィードバックを得られなかった。実質、ベータじゃなくて体験版だった
こういった問題点を解決するきっかけは、コンソール版の発売だったという。
コンソール版にあわせて開発した難易度を選択できるという仕様は、現在のDiablo IIIの難易度選択システムの元になっている。
また、PCに比べてコンソールではテレビとプレイヤーとの距離が遠いため、ユーザーインターフェイスやHUDを視覚的にわかりやすいように調整が行われた。
こういったコンソール版の開発の中で培われたノウハウがPC版にもフィードバックされたようだ。
拡張パック Reaper of Soulsで変更・改善されたこと
- ストーリーと関係なくどこにでも行けて敵を倒せる「アドベンチャーモード」の実装
- 好きな難易度を選べるようなシステム
- アイテムのレアリティ=強さになるように調整。同じレベルならレアリティが高いものほど強い
- アイテムのツールチップを横に並べて比較するのではなく、一つのツールチップの中でステータスの変化がわかるように
- 一度にドロップするアイテムの数を少なく、しかし良い物がドロップするように
- レジェンダリーアイテムは本当に「伝説」といえるような強さに
- オークションハウスの廃止
オークションハウスの廃止は最大の課題だったようで、開発陣はこのオークションをどうにかよく出来ないか考え努力したが結局上手くいかず、最終的にオークションを廃止するという案が通り、オークションがなくなったことでゲームはBlizzardが望んでいるものに近づいた。
こうして、Diablo IIIは拡張パックの発売と共に復活を遂げることに成功した。
Josh Mosquieraディレクターは、「難しい状況でも諦めずに自分たちのチームを信じて同じ失敗を繰り返さないようにしなければならない。そうすれば単に売り上げだけが良いゲームではなく、ユーザーから愛されるゲームを作ることができる」と語った
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