MMORPG「Tree of Savior」 第3次クローズドβテスト 感想・レビュー

IMCGAMESが開発中のMMORPG「Tree of Savior」の韓国第3次クローズドβテストの簡単な感想とレビュー。
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■良い点

・ドット絵風のグラフィックスとキャラクターのモーションが洗練されている

Tree of Saviorのキャラクターのグラフィックは2Dの原画を元に一度3DCGで開発し、それを2Dに変換した後に再加工するという複雑な工程を経て作られている。

キャラクターの動き、装備の外見、色使いなど、実際にゲームをプレイしてみると、近年スマートフォンゲームなどで見られる似たようなグラフィックスとは別次元のものだと実感できる。

懐かしさを感じるグラフィックスだが、非常に洗練されていて美しい。単純に見ていて楽しい。

・BGMの使われ方がユニーク

SoundTeMPを始めとして、ドイツのSymphonixなど、複数の音楽制作グループや作曲家がTree of Saviorに楽曲を提供している。
トランスミュージックがフィールドの曲に使われていたりと、ファンタジー系のRPGではあまり使われないような曲が聞けたりする。
普段はBGMをオフにして自分の好きな曲を聞きながらMMORPGをプレイするという人も耳を傾けたくなるかも?

▼Tree of SaviorのBGMの一つ「Pristinee」

・イラストレーターMaggiによる独特なアートデザイン

Tree of Saviorのアートディレクターであり、イラストレーターでもあるMaggiによってデザインされたキャラクターや、フィールドの景観などを含めて全体がアートのようになっている。
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・ボス戦は気分転換になる

範囲狩りと非常に単調なクエストを繰り返すことになるこのゲームだが、わりと高い頻度でボス戦が発生する。

普通にプレイしている中で受けたクエストで発生するボス戦や、パーティを組んだ時に受けられるパーティイベントで発生するボス戦など様々だ。

過去のCBTでは簡単すぎると言われていたが、3次CBTでは難易度を少し上げてきたようでちょうど良い難易度だった。ボス戦は気分転換に最適だ。

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ボス戦やイベント時にはフィールドがシームレスでインスタンス化し、他のプレイヤーやモンスターが画面から消えてボス戦やイベント戦に集中することができる。

【8/8追記】
インスタンスダンジョンが実装されました。
インスタンスダンジョンにいるモンスターは獲得経験値とゴールドのドロップが多いとのこと

・製作レシピはほぼ全てドロップ

Tree of Saviorでは全てのプレイヤーが無条件で製作をすることができるが、製作に必要なレシピは基本的にモンスターからのドロップや宝箱からの入手になる

一部のレシピはNPCが売っているが、素材用のレシピとレベル40の装備のレシピだけだったので、需要の高い装備のレシピはドロップになると思われる。

レシピのドロップはランダム。
製作で手に入る装備は良いものが多く、レシピの入手というのはこのゲームで非常に重要になりそうだ。

製作した装備に自分で名前をつけたり、説明を書いたりできる。

なお、アルケミスト(錬金術士)やパードナー(免罪符売り)のクラスは特殊な製作が可能。

・ユニークなクラス
オープンベータテスト時には約80種類が予定されているTree of Saviorの職業。

パーティプレイ前提のものや、不思議なスキルばかり覚えるクラス、敵をゾンビにして味方として戦わせるクラス、戦闘の準備に全力を投じるクラス、店を開設するスキルを覚えるクラスなど、覚えるスキルがかなり特殊なものがあって面白い。

▼「オラクル」は、敵が落とすアイテムを調べたり、敵が落とすアイテムを変えたり、モンスターを同じレベル帯の別のモンスターに変えたりするような特殊なスキルを覚える
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▼武器や防具の能力を一時的に上げる鍛冶屋を開店したり、ベースキャンプを設置してパーティメンバーが倉庫を使えるようにするスキルを覚えるサポート・製作系クラスのスクワイア

ユニークなクラスは悪い点にもなるので後述する。

ちなみにクラスチェンジはクラスレベルが15になると可能。キャラクターレベルは関係ない。

・ゲームパッドに対応している

意外にもゲームパッドに対応しており、すっかりおなじみとなったクロスホットバーが採用されている
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実際にゲームパッドで操作してみたところ、悪くはないがあまり快適ではなかった。
移動や戦闘の操作はスムーズだが、ステータスウィンドウやマップを開いたりといったシステム面の動作に最適化されていなかった。

今後の改善に期待したいところ。

・モンスターの占有なし

パーティメンバー以外でも、モンスターに攻撃したプレイヤー全員に経験値が入るようになっている。ただし、獲得経験値も分配されることになる。

あまりに混雑していてプレイヤーが多い場所だと手当たり次第に殴っていればいつの間にかクエストは終わっている。

ファーストアタックのことを考えなくてよいのでモンスターの取り合いにはなりづらい。
しかし、基本的に範囲狩り中心なので、プレイヤーがたくさんいる場所で狩りをするのは非効率的。パーティーを組んだり別の場所を探すほうが良い。

・あえて表示されないサブクエストのアイコン

近年のMMORPGなら、クエストを受けられるNPCの頭の上にマークがついているが、Tree of Saviorではメインクエスト以外は基本的にNPCに話しかけてみて初めて受注できることが判明する。

あえて不便にすることで探索の面白さを引き立てようとしているとのことだ。

サブクエスト自体はやってもやらなくてもOK
3次CBTではクエストを完了すると経験値やお金が貰えるのではなく、使うと経験値が手に入るアイテムが数個貰えるという仕様だった。

範囲狩りをしていた方がレベルの上がりが速いというのもあるからか、Tree of Saviorはクエストゲーという感じがほとんどしないのはこのためなのかもしれない。

ちなみにクエストを完了すると、BackspaceキーでNPCのところまで戻ることができる超便利機能がついている。

・メッセンジャータイプのチャット

LINEやSkypeのようなメッセンジャー系のチャットウィンドウは意外にもMMORPGでは珍しい

ウィンドウの中に吹き出しがでるためとても読みやすい。
また、発言者のキャラクターの顔も表示されたり、予め用意された絵文字をチャットに入力することもできる。

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・ゲームプレイを通じて分かれていく個性

クラス選択やアバター装備はもちろんだが、キャラクターの見た目についてもTree of Saviorには独自の考えがあるようだ。

通常、キャラメイクの際に髪の色や目の色を変えられるオンラインゲームがほとんどだが、Tree of Saviorのキャラメイクでは、髪型は変えられるが髪の色や目の色を変える項目は存在しない。

これは実装されていないのではなく、ゲームをプレイしてアチーブメント(実績)等を達成する中で髪色を入手してそれを適用することができる仕様だからだ。

▼ゲームをプレイする中で髪色が入手できる仕組み

・達成度を他のプレイヤーと比較できる

最近のMMORPGには必ずといっていいほどアチーブメント(実績・業績・レコード)が存在し、プレイヤーが達成したものが記録される。

Tree of Saviorでは、アイテムの収集度やモンスター発見度、製作レシピの獲得、マップの踏破などが記録され、アチーブメントの獲得状況に応じてポイントが獲得できる。

このポイントを元に作成されたサーバー内のランキングを見ることができ、自分の位置も確認できる。

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・戦闘の爽快感はそれなりに良い
・パーティメンバー募集機能が充実している
・シンプルでわかりやすいユーザーインターフェイス
・ネタのようなアイテムがある(武器「ダンベル」など)
・動物の耳からお面、ゴーグル、帽子など、頭につけるアバターが豊富
・ログアウトしても店を開設したままフィールドに残ることができる(一部クラスのスキル)

▼スクワイアのクラスのスキルで武器の能力を一時的に強化できる店を開設しているプレイヤー
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■悪い点

・転職時のクラス選択は初心者やライトユーザー泣かせ

Tree of Saviorでは、クラスチェンジが可能になったときにただ単に新しい職業を選べば良いわけではない。

筆者は初期職ウィザードの後、パイロマンサーに転職したが、2回目の転職(ランク3)では再びパイロマンサーを選択した。
これは、パイロマンサーの2周目に覚えるファイアピラーのスキルを覚えたかったのと、パイロマンサーのファイアボールやファイアウォールのスキルをもっと強化したかったためだ。
加えて、ランク3の他のクラス「サイコキノ」「リンカー」は、どちらかというと補助系クラスで、覚えるスキルも有用なのかどうか判断がつかなかったからだ。

CBTの仕様では一度転職をすると後には引き返せないので、”転職ミス”はかなり致命的だったりする。
Tree of Saviorでは、クラスレベルが15になると転職ができるようになるが、それ以外の時には転職は出来ず、低いランクの他のクラスに転職することはできない。

よくわからないまま、補助系や製作系のクラスを選んでしまったがために狩りがしづらくなっても、クラスレベルが15になるまで耐えなければならない。中盤あたりではクラスレベルを15上げるのは容易ではない。

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高ランクの転職時に、あの時別のクラスを選んでいれば・・・と後悔することになる人も出てくることが予想される。
そういう意味で現行の仕様だと行き当たりばったりでクラスを選ぶと痛い目に合うかもしれない。

また、クラスバランスがめちゃくちゃだという意見も聞かれる。

・一部のクラスはクセが強すぎる

先述の通り、覚えるスキルが偏っていたり、攻撃スキルを一つも覚えないクラスも存在する。そういった特殊なクラスは面白いかもしれないが、ゲームの進行に支障が出るほどなら選ぶのが躊躇われる。

後悔しないようにクラス選択を慎重にしなければならないが、そのせいで転職の選択肢がかなり限定され、多様性が失われるという懸念がある。いわゆるテンプレ化だ。

そういったクラスを選ぶ面白さもあるが、後悔しても元には戻せない。

過去に紹介された「スクワイア」「センチュリオン」などはパーティプレイ前提のクラスだ。
Tree of Savior 職業「スクワイア」「センチュリオン」の情報が公開

・レベルごとに細かく分けられたゾーン方式のフィールドマップは魅力に欠ける

下の画像を見ていただくとわかるように、Tree of Saviorのマップは推奨レベルが設定され、細かく分けられている。
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ゾーンの種類がたくさんあるのは良いのだが、拠点となる街が今のところ1つしかないこともあってか、冒険している感じがあまりしない。他にも街があると信じたい。

クォータービューということもあるのかゾーン1つの広さは大したことないので、MORPGでレベルごとにステージが用意されるのと本質的にはあまり変わらないのではないかと思う。

・狩りの単調さと成長速度

序盤は次々にレベルアップするが、中盤に差し掛かるとレベル上げが単調で疲れてくる。
今回のCBTでは途中から獲得経験値が3倍程度に増え、一部のボスモンスターは獲得経験値99999とカンストしていた。

クローズドβテストで作業ゲーをやらせるのかとプレイヤーから不満の書き込みが続出しており、そのために獲得経験値が増えたのだと思われる。つまり、当初予定していたレベルアップのペースはプレイヤーが不満に感じるものだったということだ。

経験値が3倍になってちょうど良いくらいの感覚だったので、成長の速度が遅いと飽きが来るのが早いかもしれない。かといってどんどんレベルが上がってしまうとあっという間にカンストしてゲームの寿命が短くなりそうなので難しいところだろう。

レベル300やレベル500という話も出てきているが、レベルキャップ200の3次CBTでは超高レベルの成長速度の具合というのはわからない。

・チャンネル数が適切ではない
明らかにプレイヤーがマップ内に多すぎるのにチャンネル数が十分でないゾーンがかなりの数あり、ゲームの進行に支障が出る。複数のパーティが同じ狩場に入り乱れる状況が何度かあった。

改善するのはそれほど難しくはないだろう。

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・画面内に他のプレイヤーがいる時のフレームレートの変動が激しい

動作環境が低いゲームにも関わらず、十分すぎるほどの性能のPCでプレイしても、プレイヤーが画面内に数人いて戦闘をしているとフレームレートが急激に落ちる。最適化不足なのか。

・マウスモード、ゲームパッドモードのいずれも快適さに欠ける

Tree of Saviorは基本的にキーボードの矢印キーで移動し、Zで攻撃、Xでジャンプ、Q~P、A~;でスロットに登録したスキルやアイテムを使用する。
したがって、マウスに手を触れるのはアイテムを買ったりする時やスキルポイントを振ったりする時など限定的だ。

3次CBTで実装されたマウスモードはまだ開発初期段階であるため、動きがぎこちなくて戦闘がワンテンポ遅れるような印象だった。

ややアクションゲーム寄りの操作が必要になるので、クロスホットバーを使うゲームパッド操作は慣れないとかなり面倒臭い。クロスホットバー以外はゲームパッド用のUIがないので、キーボード操作用のUIを無理やりゲームパッドで操作している印象。こちらもまだ改良が必要だと思った。

キーボード操作とゲームパッド操作の両方が可能なオートモードもある。

・ステータスポイント、スキルポイントの割り振り

いわゆるステ振りやスキルポイントの割り振りが存在する。

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ステータスポイントの割り振りにはメリットよりデメリットの方が多いように感じる。
魔法職がSTRを上げまくることはないだろうし、物理攻撃主体のクラスがINTにポイントを振るなんてことはありえない。
結局テンプレ化すると予想される。

また、スキルポイント制のため、有用性の低いスキルにポイントを振らないように気をつけなくてはならない。今回のCBTではバランス調整のパッチの度にスキルポイントがリセットされたが、それがなかったら途中で萎えていたかもしれない。
これらのポイントの初期化はタダではできそうにないので考えものである。

・キャラメイク時にボイスの選択肢がない

総評: 苦痛にも楽しさにもなり得るゲームプレイ

もしレベルアップのペースが今回のCBT後半くらい速く、もっとたくさんのチャンネルを用意してくれるのであれば、それなりに楽しいゲームになる。ただし、グラフィックスや音楽は昨今の他のMMORPGと一線を画していて魅力があるが、コンテンツや戦闘そのものには新鮮さはない。パーティを組んだ時だけ発生するイベントがあるなど、範囲狩りの効率を考えてもパーティプレイ重視のゲームと言ってもいいだろう。

今後Tree of Saviorの成長バランスがどうなるのかはわからないが、成長のペースが遅めだと飽きがくるのは意外と早い。また、マップの構造や戦闘システムが前時代的で人によっては単調で退屈に感じる可能性がある。

Tree of Saviorはカジュアルゲームのような雰囲気だが、中核にあるのはハードコアなレベリングゲームという印象。もし正式サービスでも一度転職したら後戻りできないという仕様であるのなら、ライトユーザーには若干厳しそうな、特殊なスキルばかり覚えるクラスが存在しているのが怖い。

今のところPvPであったり、レシピ集めだったり、アチーブメントのコンプリートだったりがエンドコンテンツになってきそうだが、現時点では最終的にレベルキャップ後に何をすることになるのか曖昧だ。

最近はすぐにレベルキャップに到達してそこからのエンドコンテンツはインスタンスダンジョンやデイリークエスト、PvPを繰り返すというのが主流だが、Tree of Saviorは昔のMMOのようにレベリングが常にメインコンテンツになるべきなのか否か。

とはいえ、単にクラスがたくさんあるだけでなく、転職の際に同じクラスを最大3回まで修練することができたり、明らかに戦闘向きではないクラスがあったりと、サブキャラクターを作る価値は大いにありそうだ。

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時代に逆行した、2015年では不親切なMMORPG、作業のような狩りと微妙なクエスト・・・これだけのマイナス要素にも関わらずレベル100までプレイできたということにはわずかな希望が見えた。少なくとも次回のテストで何が変わったか見てみようという気にはさせてくれた。

この第3次クローズドベータテストのクライアント基準で評価するとTree of Saviorに過度な期待は禁物だが、悲観する必要はないだろう。

過去のCBTで「好みに合わなければ見向きもされないゲーム」と言われていたが、今回のCBTであえてサブクエストのアイコンを表示させないようにしたりというように、迎合して平凡なMMORPGになってしまうよりもTree of Saviorのアイデンティティを確立させていったほうが正しいのではないかと感じた。

過去のクローズドベータテストの海外メディアのレビューも参考にするのをおすすめする。

MMORPG「Tree of Savior」 1次CBT 海外メディアレビュー
MMORPG「Tree of Savior」 2次CBT 海外メディアレビュー

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