League of Legendsが10周年記念の放送を10月16日に行い、多彩なジャンルの複数の新規プロジェクトを発表した。

10月16日に発表されたRiot Gamesの新規プロジェクトは以下の通り
- League of Legends: Wild Rift (LoLのモバイル・コンソール版)
- Teamfight Tacticsのモバイル版
- Legends of Runeterra (LoLカードゲーム)
- Arcane(LoLのアニメ)
- Project A (タクティカルFPS)
- Project F (ハック&スラッシュRPG)
- Project L (LoLの格闘ゲーム)
- League of Legends Esports Manager (LoL管理シミュレーションゲーム)
Blizzardへの宣戦布告?多彩なジャンルへの挑戦
これまでRiot Gamesといえば「League of Legendsの開発会社」でしかなかった。
度々他ジャンルのゲームの噂が出てはいたが、MOBAジャンルに特化した企業というイメージが強かった。
カードゲームやRPG、格闘ゲームなど、全く異なる分野のゲームが出てくることで、そのイメージが大きく変わることになるかもしれない。
Blizzard既存タイトルと競合
今回発表されたプロジェクトの多くは、Blizzard Entertainmentの既存タイトルと競合している。
Legends of Runeterraは「ハースストーン」に、Project Aは「オーバーウォッチ」に、Project Fは「Diablo」にそれぞれ競合すると予想される。
「League of Legends」は絶大な人気があるものの、MOBAジャンルの特性上プレイヤーの好みがわかれるゲームだった。
LoLのキャラクターの人気やIPの知名度を拡大させたいという思惑からすれば、MOBAゲームをプレイしない人にもその存在を認知してもらう必要がある。
Blizzardが「Warcraft」のキャラクターと世界観でRTS・MMORPG・カードゲームを作ったことで成功している前例がある。
そしてRiot Gamesは”わざと”Blizzardのタイトルと競合するゲームを作ってきたように感じられる。
Project Aの発表の時にチート対策の話がされていたり、Legends of Runeterraはハースストーンとは異なるカードの提供方法を導入していたりと、既存タイトルにおけるプレイヤーの不満点への解決策を提示している。
League of Legendsという巨大なタイトルで、eスポーツも含めて様々なことを経験してきたRiot Gamesだからこそできることがあると彼らは考えているのかもしれない。
また、アジアにおける戦略という面では、Riot GamesはLeague of Legendsの段階からアジアのプレイヤーを意識したキャラクターを登場させるなどしており、全キャラクター数も140人を超え、キャラクタービジネスという観点でも非常に強力だ。
Riot Gamesは、BlizzardからPCオンラインゲームメーカーとしてのお株を奪おうとしているかもしれない。
半分はモバイルゲームの発表
今回の発表のもう1つの注目ポイントは、多数のモバイルゲームが発表されたということだ。
「League of Legends: Wild Rift」を始めとして、TFTやLegends of Runeterra、Esports Managerもモバイル版があるゲームだ。
Blizzardが「Diablo Immortal」を発表した時のことを思い出してほしい。
ファンから強い反発があり、SNSやフォーラムで炎上していた。YouTubeの動画には大量の低評価がつけられている。
Riot GamesはTFTモバイル版の発表の動画で次のように「皮肉」を述べている。
It turns out, you guys actually do have phones
(皆さんが実際に携帯電話を持っていることが判明しました)
これは、BlizzardがDiablo Immortalを発表した際にブーイングを受け、「Do you guys not have phones? (皆さんは携帯電話を持ってないんですか?)」と登壇者が発言したことに対するRiotからの皮肉だ。Riot Gamesが「自分たちはBlizzardよりもモバイルゲームで上手くやれる」と暗に宣言しているように聴こえる。
今回Riotが発表した約半分のゲームはPCとモバイルのマルチプラットフォームだったが、LoLのファンからこれといって反発はなかった。
Diablo Immortalの発表は、「Blizzardがボロ儲けするためにDiablo 4より先に中国企業にスマホ版のDiabloを作らせている」、こんな印象を与えてしまっていた。
しかし、今回のRiot Gamesの怒涛の新作発表は、単にモバイルゲームの流行を追いかけているだけではない、自分たちなりのモバイルゲームへのアプローチの仕方があるという強い意志を感じさせた。
モバイルゲーム市場はゲーム企業が無視できない規模であり、Riot Gamesも例外ではない。しかし、Diablo Immortalのようにフランチャイズとそのファンベースの特徴を考慮せずにプロモーションを行うと、時に大きな反発を受けることがある。
そういった面で、今回のRiotの発表は上手かったように思える。
Blizzardのような大企業へと成長するか
Riot Gamesが「League of Legendsの開発会社」という現状に満足せず、「League of LegendsのIPを保有している巨大オンラインゲーム企業」へと成長したいのは明らかだ。
今回、まだ開発コードネーム段階の「Project A」「Project L」「Project F」を発表したというのは驚きで、彼らがこれからやろうとしていることのビジョンを示すためにあえて早い段階で発表を行ったような印象を受けた。
そのためには、MOBA以外のジャンルでも他の企業と真っ向から勝負して、互角、あるいはそれ以上の成績を収める必要がある。
この10年で培ったものを手に、Riot Gamesの第2ラウンドが幕を開けようとしている。
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