元Blizzard Entertainment社長兼共同創設者のMike Morhaime氏はGamesBeatのインタビューで、World of Warcraftの成功体験とMMORPGの人気衰退について語った
World of WarcraftはBlizzardで最も”ソーシャルな”ゲームだった
Mike Morhaime氏はWorld of Warcraftの成功について、サービスを開始した2004年当時では同社のタイトルではWoWが最もソーシャル体験に優れたゲームだったと語った。
「World of Warcraftに取り組んでいたときのことを覚えています。私が驚いたことの1つは、World of Warcraftの初期の人気でした。
MMORPGを開発する過程において、少なくとも最初の段階では少ない観客にリーチして、そこから成長していく必要があると考えていました。
しかし、World of Wacraftの成長曲線は我々が想像していたよりも遥かに急激でした。
私が学んだのは、WoWには一緒に体験をする人々のグループがあるため、当時のBlizzardの全ゲームの中で最もソーシャルだったという事でした。
ギルドに参加して一緒にコンテンツをプレイするというのは以前のBlizzardのゲームよりも大規模な体験でした。
ソーシャル体験は他の人と楽しさを共有できるというのが中核にあると思います。
利便性の向上によるソーシャル体験の減少
Mike Morhaime氏は、従来型のMMOが以前ほどの人気がない事について問われ、その理由を次のように語った。
従来型MMOの人気衰退はアクセシビリティと時間投資の問題だと思います。
MMOが将来復活しないとまでは言いませんが、ソーシャル体験をさらに感じる事ができるゲームのジャンルは他にもあります。
また、World of Warcraftが長年にわたって進化するにつれ、WoWはあまりソーシャルではなくなったことにも気づきました。
利便性をさらに向上させるために、何度も何度も同じグループの人達と一緒にプレイしなければならない理由を取り除いたからです。私はそれが一部の人達にとってMMOをプレイする理由やプレイし続けたいと思う理由を奪う事になったかもしれないと思います。
補足すると、MMOの利便性の向上で大きなインパクトを与えたのが「クロスサーバーパーティマッチング」だろう。
インスタンスダンジョンやレイドに参加する際に、昔であればシャウトをして人を集め、ダンジョンの入り口まで赴くということが必要だったが、現在のほとんどのMMORPGでは数クリックで申請を終えて後は自動的にパーティが組まれ、インスタンスダンジョンに入場することができる。
これにより、一緒にプレイした人達が「その場限りの付き合い」で終わってしまう事がほとんどだ。挨拶くらいしか会話をかわす事がない場合も多い。
クロスサーバーでマッチングされている場合はこれが更に顕著で、一緒に攻略した人とフレンドになる機会もほとんどないだろう。
ダンジョンに入場するまでの手間や時間は明らかに少なく、アクセシビリティは向上しているが、その代わりソーシャルな体験は減少していると考えることができる。
しかし、時間投資のあり方は20年前とは異なっており、アクセシビリティが高くなおかつソーシャルであるゲームという点では、Morhaime氏が言うように他のジャンルのゲームでも良いということになるのだろう。
Blizzard Entertainmentは2013年にMMORPG「Titan」の開発を中止し、代わりに「オーバーウォッチ」が作られることになった。
このインタビューの全容は動画で見ることができる。
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