MMORPGの動画を投稿しているJosh Strife Hayes氏は、「The Truth About MMO Content Creators (MMOコンテンツクリエイターの真実)」という動画で、コンテンツクリエイターがMMORPG関連の動画を作りたがらない理由について解説している。

MMOの動画を投稿しているJosh Strife Hayes氏
ユーチューバーがMMORPGの動画を作りたがらないということについて、簡単にまとめると以下のような理由が挙げられている
- MMOはファンの数が他のジャンルと比べて少ない(再生回数を伸ばしづらい)
- そのゲームのプレイヤーから反発を受ける可能性がある
- 複数のMMOを幅広くプレイすることも、一部のゲームに特化することもユーチューバーとしてはデメリットが大きい
- MMORPGは攻略に長い時間がかかる
- アップデートの度に攻略動画を作り直さなければならない
- どれだけ高品質な動画を作っても時間の経過と共にほとんど視聴されなくなる
- 序盤と終盤で体験が大きく変わるためレビュー動画を作りづらい
- 「自分が楽しむためにプレイする」のと「他人を楽しませるためにプレイする」という葛藤がある
Josh Strife Hayes氏は動画の中で次のように述べている。
なぜMMOのコンテンツクリエイターは増えないのか。
MMOジャンルはゲーム業界の中でも極めてニッチで、視聴者数も少なく、動画コンテンツを作ることに深い情熱を持てる人もそれほど多くないからです。
また、動画投稿者による批判的な意見は、しばしばそのゲームのファンからの反発を招き、危険にさらされる可能性があります。
MMOを広く扱うチャンネルは、たくさんのゲームを取り上げることができ、投稿者の個性に依拠することができますが、その代償としてゲームの細部まで触れられないことがあります。
しかし、特定のタイトルを専門的に扱うチャンネルは、そのチャンネルの成功やユーチューバーとしての成功も、選んだゲームの寿命に結びつけてしまうことになります。
どんなMMORPGも、投稿した動画がベテランのプレイヤー達に受け入れられるようになるまで非常に長い時間がかかりますし、動画を作ったとしても、予め決められた賞味期限があるのがわかっているので、より簡潔で下らない動画を作ってしまいがちになります。
動画がすぐに陳腐化するとわかっていた場合、動画制作に費やす時間と得られる再生回数を考慮すると、そうした方が合理的だからです。
しかし、そのような安易な動画は、序盤と終盤で、あるいはパッチごとにゲームプレイの体験が変化するMMOの設計の本質と相反するものです。つまり、寿命は短いが充実した質の高い動画を作るか、役に立たない陳腐な動画を作るかという選択を迫られるのです。
非常に奥が深く、要求の多い、時間のかかるゲームを、消耗の激しい分析的な方法でプレイし、メモを取りながら、動画を撮ることになります。そして、おそらくゲームプレイの大部分は非常に反復的であるのにも関わらず、動画制作者はその体験を楽しいものに見せようとします。
では、レビュー動画を投稿するのはどうでしょうか?
ゲームの序盤から中盤までを客観的に眺めて概要を説明してほしいのか、それともベテランプレイヤーにエンドコンテンツを見て評価して欲しいのかは人それぞれです。どちらのレビューも正当ですが、両方共極めて異なるものだからです。
すなわち、動画制作者である我々と視聴者の皆さんは、その動画が誰を対象としているのか、現実的な予測をしなければならないということです。
そして、私たちの動画コンテンツに期待できる「深さ」について正直に話すと、動画制作者は質と量のバランスを取る必要があります。質の高い動画を投稿しなければ視聴者はあなたのチャンネルを気に入ることはありませんが、動画の数を出さなければYouTubeで生計を立てることはできません。
この動画を見てまだMMORPGの動画を投稿したいと思ったのなら幸いです。
この動画はあなたを怖がらせるために撮ったのではなく、あなたが実際に経験することになる真実の背後にあるものを少し見せ、奇妙なキャリアにあなたを歓迎するように意図されています。
あなたが熱心なMMORPGプレイヤーなら、MMORPGの動画を投稿してください。私たちも私もあなたが必要です。
動画制作者がMMORPGの現役プレイヤーから批判を浴びやすい理由
Josh Strife Hayes氏は、他のゲームジャンルと比べてMMORPGの動画が現役プレイヤーから反発を受けやすい理由を動画の中で次のように説明している。
MMOは何百、何千時間もプレイすることを前提として作られています。
MMOは数年にわたる体験であるため、複数のゲームに完全にコミットすることは困難です。もしあなたがWorld of Warcraftを週7日、毎日8時間プレイしているなら、エルダースクロールズやギルドウォーズ2、ルーンスケープといった他のMMOも毎日8時間プレイする時間を確保することはできなくなります。
つまり、どんなMMOでもハードコアプレイヤーは、1つのゲームに専念していることが多く、他のゲームに手を出すことはあっても、メインのゲームほどよく知りません。
彼らはそのゲームのあらゆる側面を知っており、事実上そのゲームの重鎮です。
極端なプレイヤーにとって本当に危険なのは、そのゲームがゲーム以上のものになったときです。その人にとって、MMOが人物特性やライフスタイル、極端な場合は生命線になりかねません。
MMOは夢中になりやすい性格を利用できるように設計されています。実生活で反社会的な性格や社会的な問題を抱えているプレイヤーがMMOの世界に引きこもり、MMOの世界が現実よりもリアルになり、自分が遊んでいるMMOに対する批判やレビューが彼らに対する個人攻撃だと思い込んでしまうことがあるのです。
どんな趣味にも有害な過激派は存在しますが、MMOというジャンルは何千時間もプレイし、第二の現実に没頭できるように設計されています。絵画やランニング、料理などの趣味も夢中になることができ、その上に人格を形成できますが、MMOのように全く別の現実を作ることには繋がりません。
このため、ハードコアプレイヤーはゲームのサブカルチャーの中で深く孤立し、ゲームが世界で最も重要なもののように感じ始めてしまうことがあります。
そのような「ソーシャルバブル」の中にいるプレイヤーは、そのゲームがいかに重要であるか、あるいはそのゲーム内での地位が他のプレイヤーにとっていかに重要であるかという認識を徐々に歪めていくことになるのです。
レビュアーやユーチューバーが現れ、そのゲームの動画を制作しますが、レビュアーが既にそのゲームを何千時間もプレイしているような筋金入りのファンでない限り、過激なプレイヤーはその動画を見て「私のゲームを批判する権利はあなたにあるのか?」と感じてしまうことがあります。
自分たちと同じように経験豊富で熱心なプレイヤーからの評価や批評を聴きたいと思うのは、ゲームコンテンツの観点からは理解できることです。
ハードコアプレイヤーより費やした時間が少ないレビュアーからのレビューは即座に切り捨てられてしまいます。
趣味はもちろん大切で、様々な趣味を持つことで人生において様々なことを経験できます。しかし、趣味は常に自分の人生を充実させるものであるべきで、趣味が人生そのものになってしまったり、趣味に囚われるべきではありません。 仮想世界に長時間いると、バーチャルと現実の境界線があいまいになることがあります。
ゲームの中で達成したことを誇ってはならないとまでは言いませんが、それを現実での有意義な人生の進捗と混同してはなりません。
誰かにとってMMOの仮想世界が社交の場になったり、あるいは誇りや達成感を得られる主な手段となった場合、ネガティブなレビューには罵詈雑言や、場合によっては危険な反発を受ける可能性があります。
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