2012年春頃にNVIDIAのコントロールパネルに追加された機能で、熱心な人以外にはあまり知られていない「Adaptive VSync」(適応垂直同期)という機能について。

垂直同期をONにすればフレームレートがリフレッシュレートにロックされてティアリングが出なくなり、さらに無駄なフレームを生成せずにGPUロード率を下げて節電にもなるわけだが、このAdaptive Vsyncとはどんな機能なのかを本稿で紹介する。
Adaptive VSync・・・フレームレートに基いて、垂直同期のオンとオフを切り替える機能
Adaptive Vsyncは簡単に説明するなら、フレームレートがモニターのリフレッシュレートに届かない時に、垂直同期を一時的にオフにし、可能な限り最大のフレームレートを維持するという機能。
垂直同期をOFFにしていると、リフレッシュレートとフレームレートが同期しないため、動きの激しい場面などでスクリーンティアリングが発生しやすくなる。
通常、垂直同期をONにした場合、モニターのリフレッシュレートが60Hzだとすると、毎秒60フレーム以上を生成できている場合は60fpsで安定するが、50fpsしか出ていない場合、垂直同期のために45fpsや30fpsまで強制的にフレームレートが制限されることになる。
60→45→30→60→45のようにフレームレートが激しく変動するとかなり鬱陶しく感じることになるが、その問題を解決するのがこのAdaptive Vsyncという機能だ。
▼通常の垂直同期がONの状態
ティアリングはなくなるが、60fpsに届かない場面では垂直同期をするためにフレームレートが大幅に落ちてしまう。
▼通常の垂直同期がOFFの状態
リフレッシュレートと同期していないため、場面によっては一つの画面に複数のフレームが混ざったティアリング現象が発生し、映像がちらついて見える。スクリーンティアリングの例(Wikipediaより)
▼Adaptive VsyncがONの状態
フレームレートが60fpsに届かない場面では垂直同期がOFFになるため、フレームレートの大幅な低下が防げる。
ということで、ティアリングは嫌だけどPCのパワーを最大限発揮させてほしいという人にとってはオススメの機能だ。特に、オンラインRPGのようなCPUバウンドのゲームで垂直同期をONにしている人はフレームレートの過剰な変動を減らすという意味で有用かもしれない。
もちろん、常にリフレッシュレートを超えるパフォーマンスを発揮できている場合なら、普通の垂直同期と同じくティアリングを防ぐことができる。
ただし、シューティングゲームやアクションゲーム、格闘ゲーム、リズムゲームのように1フレームの判断が命取りになるような場合は垂直同期自体が不要ということも多い。
■設定方法
NVIDIAの最新ドライバをインストールする。
NVIDIAドライバダウンロード
NVIDIAコントロールパネルを開く
※デスクトップ右クリック or スタートメニューの検索窓に”NVIDIA”と入力して選択、コントロールパネルから選択など
画面左の[3D設定の管理]を選択し、下の方にある[垂直同期]から[適応]を選択し、画面下の適用ボタンをクリックして設定完了。
リフレッシュレートの半分のフレームレートを上限としたい場合は適応(ハーフリフレッシュレート)を選択。60Hzのモニターを使っているなら30fpsになる。
NVIDIAコントロールパネルの設定はこれで終了。
各ゲームの設定で垂直同期(Vsync)の項目をOFFにする。ゲームによっては起動前に設定したり、起動してからゲームオプションの中にあるものなど様々です。(これをやらないと意味がありません)
一部のゲームでは、マイドキュメントの中にある設定ファイルをいじらないといけないことがあります。
フルスクリーンでないと正常に動作しないことがある。
入力遅延に関しては垂直同期だけでなく、レンダリング前最大フレーム数やトリプルバッファリングの設定やWindows Aeroも影響することがある。
■こんな人におすすめ
- リフレッシュレートが120Hzのモニターを使っている
- 垂直同期をオンにしているが、プレイしているゲームが60fpsで安定しない(30~60fpsの間を行ったり来たりする)
- ゲームをなめらかな映像でプレイしたい ※これが最も強い理由の一つとなる
- ハーフリフレッシュレート(30fps)に固定したい
◆欠点
- リフレッシュレートに届かないゲームではGPUロードが常に100%近くなることがある
- その場合、GPU温度や消費電力は高いままになる
- リフレッシュレートに全く届かない場合は垂直同期がOFFなのと変わらない。(その場合はハーフリフレッシュレートを選択したほうがいいことも)
- 場面によってはティアリングが発生する
- 垂直同期時の入力遅延問題 ※これを気にする人はそもそも垂直同期自体OFFにしたほうが良い
▼Adaptive Vsyncの紹介動画
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