日本サービスも視野に入っているネクソンの新作オンラインRPG「Project NT」のカンファレンスがG-STAR 2012で行われた。既にお伝えしているように2Dアニメのようなグラフィックスが特徴の本作は、G-STAR 2012のダークホースとも言える存在で、注目を集めている。
注目を集める大きな理由は同じくネクソンが発表した「マビノギ2」によるところが大きい。
マビノギ2は「マビノギ」のほのぼのまったりとした感じとは大きく異なり、マビノギ英雄伝に近いスタイルのゲームとなっている。これは「マビノギ」を求めているプレイヤーからすれば期待はずれということになるだろう。
そんな中、本当にマビノギの後を継ぐタイトルがあるとすれば、ユーザークリエイトコンテンツやアニメ調グラフィック、ファンタジーのほのぼのした雰囲気が醸しだされている「プロジェクトNT」はその候補の一つと言えるのだろう。
開発のThingsoftによると、ほとんどのプレイヤーは3ヶ月でゲームに飽きてしまうので、限界のないプロジェクトNTのような特殊なゲームも作ってみたかったとのこと。
プロジェクトNTの最大の特徴が「キラナ」と呼ばれるペットのようなモンスターのような見た目をしたキャラクター。プレイヤーは、このキラナを複数”装着”することができ、キラナの組み合わせでビルドを組み立てることができる。
プロジェクトNTには職業がなく、キラナの選択で魔法を利用した攻撃、ダメージディーラー、ディフェンスといったものが決定するため、ダンジョン攻略の際に、ダンジョンの特性に合わせてキラナを変更することで必要なタイプの戦闘スタイルに切り替えることが可能となる。
そして本作のもうひとつの強みが「感情移入」だ。
MMORPGのプレイヤーがゲームを辞めない大きな理由は「財産」と「友人」であり、プロジェクトNTではプレイヤー間の親密さを表現したり、感性を共有するための豊かな感情表現が可能になっているという。プレイヤーの活動で丘が平地になったり、木を生やしたりといったプレイヤーが一緒に作っていく世界というものを実現している。
■プロジェクトNT 開発元THINGSOFT インタビュー
Q. プロジェクトNTはいつから企画を準備して、開発に突入したのだろうか?
A. 「プロジェクトNT」は随分前から考えていました。ただし、アニメ調にすると考えたのはネオウィズにいた時からです。過去のプロジェクトでアニメ調のゲームを準備したが思い通りにならなくて、さらにじっくり考えました。開発に突入するまでの時間で会社を移して、エンジンやプレイヤーが参加できる部分を1年間リサーチした後、自信を得てからでした。
Q. 今まで大企業にいて、45人程度の小規模な会社を指揮する気持ちはどうだったのか?
A. 私が在籍したいた当時のネクソンは大きな会社ではありませんでした。小規模に分けられたチームが各自で新しいアイデアを出し、風変わりなゲームを作りました。それがネクソンが今の規模になることができた原動力になりました。
現在、THINGSOFTで「プロジェクトNT」を作りながら、過去を色々と思い出します。ベンチャー企業はプレッシャーを考えることより、多様に考えて挑戦することができます。
Q. 再び大きな会社に入って開発チームを作成するつもりはあるのか?大規模な投資が断行されたゲーム開発についてどのように考えているのか?
A. 考えはありますが、THINGSOFTの責任を誰かが負うことができるのなら可能だと思います。
開発会社とパブリッシャーなど余力がある会社は、ポートフォリオが必要だと考えています。
たとえば、大規模なパブリッシャーが1つのゲームにオールインするのは危険です。様々なチームを設けて可能性を追求するネクソンは初期の頃、開発チームから出てくるアイデアが非常に独創的でしたので、これを使って様々な試みをしました。 ネクソンとNCソフト、ネオウィズなどの大企業になると、1つのゲームにオールインするのは無理です。会社の存亡がかかっているため多様にしたいという思いがあります。オンラインゲーム業界を見ても様々な試みを通じて発展するのがいいような気がします。
Q. プレイヤーが作っていくMMORPGを大幅に強調した。直接作成するツールがあったが、プレイヤーが作ったものをシステム的にすぐに反映されることを望むのか、あるいはリネージュのようにプレイヤーが直接新しいコンテンツを作成して開発者がこれを受け入れることにするのか?
A. プレイヤーがゲームに直接新しいものを取り入れられるようデザインしています。例えば、クエストを作ることができるレベルまで行こうと思っています。姫を救うクエストがありますが、プレイヤーが直接参加し、ダンジョンの難易度に入場料を設定して、姫を制限時間に救えばプレゼントをくれるなど、様々な形式を考えています。村もプレイヤーが集まって政治的システムを作成するときの投票にも対応し、自らの政治システムを作っていくなど、多岐に色々な企画を試みましたが、ゲームに組み込むために努力しています。
Q. 「プロジェクトNT」が発表された後、プレイヤーの反応を見ると「マビノギ2」と多くの比較をしていた。実際に「プロジェクトNT」が目指す方向もマビノギのようなファンタジーライフなのか?
A. 私が実際にネクソンでマビノギをプレイして本当に感動したのが歌を作曲や、かがり火に座ってプレイヤーが集まって遊ぶ姿や羊の毛刈りなどがありました。しかし、時間が経って日常業務が楽しみではなく、仕方なくやらなくてはいけないという一つの障害になりました。 マビノギの方向自体は本当に立派だと思います。「プロジェクトNT」はマビノギでやろうとしていた可愛らしさと、プレイヤーが一緒に解決していくという部分はよく似ています。ただし、「プロジェクトNT」は与えられたミッションをまるで宿題のようにクリアしていくようにはしたくありません。楽しく遊んでレベルアップの心配はあまりしない、このような特徴を持つゲームを作ります。
Q. 戦闘で頭を使えばもっと楽になるという話が印象的だった。これは全てのゲームに共通している点だと思うが、NTだけの差別化した要素にはどんなものがあるのだろうか?
A. 他のゲームは戦闘時、決められたスキルを利用し、タイミングの戦いが重要であると考えています。「プロジェクトNT」は、キラナの組み合わせがスキルのビルドになるので、ボスと戦闘をしながらどのようなタイプの攻撃、状態変化などキラナの組み合わせを考えて戦略を設定する必要があります。
Q. トゥーンレンダリングのことを言いましたが、今まで影響を受けた作品はあるのか?また、重要視しているユーザー層は?ユーザーはどのように楽しんだらいいのか?
A. TVアニメをたくさん参照しています。表現と動作、インパクトなど多くの助けになりました。ターゲットユーザー層はネクソンプラットフォームのユーザーとアニメが好きな方々というところまで考えています。ゲームとしては、することが大きということよりも余裕がある形態を考えているので、「時間がなくてゲームができない」というようなゲームは作りたくないです。現在、狩りをしなくても一定レベルまで育てることができるコンテンツを準備しています。
Q. 次世代MMORPGとはどんなものなのか?「プロジェクトNT」は次世代MMORPGと言うことができますか?
A. 現在の次世代MMORPGはコンテンツが停滞し、グラフィックだけが発展しています。NPC、クエスト、狩りなどを誠実に遂行して自分の能力が増加します。
オンラインゲームではない場合、エンディングを見て終えることができますが、オンラインゲームは無限のストーリーをどのように解いていくのかが重要です。「プロジェクトNT」も無限のストーリーをどのように解いていくのかを大切にしています。
そのために、十年前に戻ってじっくりと考えました。その当時のゲームをなぜ面白くできたのかもう一度振り返っています。
その頃を懐かしがる方々がいますが、楽しさで本当に重要だと考えている要素はレベルアップやアイテム獲得よりも一緒に遊ぶ雰囲気でした。ギルドは家族のように、親しいギルドは隣人のように。これからゲームはプレイヤー間の距離と理由を非常に強調しなければならないと思います。
World of Warcraftが教えてくれたコンテンツに従いながら、徐々に堅実なものになっていくのではないでしょうか。
次世代MMORPGとして成功するために、グラフィックスと一緒にこれらの部分の代案を持ってきてこそロングランできるMMORPGができると思います。
「プロジェクトNT」は次世代MMORPGだとは思っていません。ただし、次世代MMORPGになればいいなという思いをいつも持っています。
Q. NTという名称はどこから来ているのか知りたい。Nexon+THINGSOFTという意味なのか?
A. NTは「南無阿弥陀仏」の略では絶対にありませんよ(笑) 仏教に似ている単語があった。ゲーム名は商標権の登録のために準備していますので公開しづらいため、決定したらお知らせします。
Q. コミュニティについて強調をたくさんした。プレイヤーとシステム間の友人関係、機能、NPCとの関係などの他に考えている機能はあるのか?
A. プレイヤーとプレイヤーの関係のコミュニティは政治を直接する部分を浮き彫りにしようとしています。コミュニティはリーダーが率先して先頭指揮しながらギルドを導いていきます。これらの部分がお互いの関係形成に様々な楽しみを作っていくと思います。
MMORPGをするとき、ほとんどの人が友人を連れてきています。
友人はレベルが低く、自分はレベルが高い。してあげられるのは、お金を与えるだけ。
その後、この友人は「なぜこのゲームをしないといけないのか」と考えてしまうことがあります。
「プロジェクトNT」はこのような点をもう一度考えて、新たに作りました。
たとえば、ダンジョンがあります。レベルが高いプレイヤーは友人を保護し、レベルが低い友人は派手な戦闘を見物しながらヒールをしてあげられます。プレイヤーがプレイヤーを惹きつけることになるでしょう。
村の作成をパワーブロガーのようにアピールするリーダーなど、プレイヤー同士が作っていくゲームスタイルを考慮しています。内部開発中だからすべてが確定したわけではありません。
Q. 2Dに固執する印象を受けた。これに固執する理由があるのか?そして、ポケットモンスターと似たような感じがするのだが、キラナはどのような違いがあるか?
A. 2Dを追求するのではなく、トゥーンレンダリングに沿って行なっているという表現の方が合います。
トゥーンレンダリングを選択した理由は、最近のほとんどのオンラインゲームがすべてリアル志向の3Dだからです。
ポケットモンスターとの違いを説明すると、アニメの主人公はモンスターを持ち歩き、必要な時に使うツールとして扱っています。しかし、「プロジェクトNT」は、キラナが自分の体に憑依し、一緒に戦闘が可能で、スキルと1対1のマッチングになりますのですべてが違います。
Q. 「プロジェクトNT」は唯一G-STARで体験版がプレイできないゲームだ。今公開する意味は?
A. 今回のG-STARで粗雑なものを公開するよりも、動画を編集し良い姿を見せるのが良いという判断をしました。
それと、アニメ調グラフィックの方のゲームを知らせようという目的と、秘密裏に開発していたので、まだ「プロジェクトNT」について知らない人が多かったという理由で出すことになりました。
今回の公開を皮切りに追加人員の確保に多くの支援をしてくださったら良いでしょう(笑)
また、2013年にCBTを開始するというのを知らせるのが良いという判断の下、出ることになりました。
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