ゲームの模倣(パクり)における、著作権侵害か合法かの境界線は曖昧だ。
ゲーム業界自体、既存の人気タイトルを真似つつ、独自の要素を取り入れることで進化を続けてきただけに、酷似したゲームだとしても、よほど悪質でない限り訴訟に至ることは少ない。
近年、モバイルゲームの台頭もあってか、ゲームシステムや全体的な構造がほぼ同じで、以前ならパクりだと問題視されていようなゲームであっても、モラル的にはエンドユーザーには受け入れられる傾向が強くなったようだ。
これは最近、海外メディアの記事に書かれていた印象的な一文だ。
「プレイヤーはゲームが面白ければパクりかどうかは気にしない」
人気沸騰の「スイカゲーム」は中国の「合成大西瓜」を真似たもの
最近人気沸騰中のニンテンドースイッチ用ソフト「スイカゲーム」だが、このゲームも他作品の模倣である。
スイカゲームは2021年4月に、「Aladdin」というプロジェクター向けのアプリとして発売され、2021年12月にニンテンドースイッチ版が発売された。
一方、2020年後半から2021年初頭にかけて、米兜科技というメーカーが開発した「合成大西瓜」というカジュアルゲームが中国のネットユーザーの間で大人気となった。
当時、「合成大西瓜」を模倣したゲームが大量発生し、「スイカゲーム」もその中の一つだったと考えられる。
「スイカ」がパズルの中心となっていることも、ゲームシステムも殆ど同じだ。
それでも、システムが酷似している「スイカゲーム」を「合成大西瓜」のパクりだと非難する人はほとんどいないだろう。
和解に至った「荒野行動」という事例
2017年にリリースされたスマートフォンゲーム「荒野行動」は、近年の「面白ければパクりでも問題ない」という風潮を作ったタイトルの一つだろう。
2017年は「PUBG」がバトルロイヤルゲームの火付け役として大ヒットした年だ。
その年末に中国のNetEaseからリリースされたのが「荒野行動」で、誰が見ても「PUBGを模倣したゲーム」だった。当時はまだPUBGのモバイル版は存在しなかったため、NetEaseが先手を打ったのだ。
2018年、株式会社PUBGは、NetEaseの「荒野行動」が「PlayerUnknown’s Battlegrounds」の知的財産権を侵害しているとして、配信差し止めを求めてアメリカで訴訟を提起した。
訴えられたNetEase側は「著作権侵害は一切ない」「ゲームのシステムやジャンルを1つの企業が独占することはできない」と反論した。
訴訟の提起から約1年後、最終的に両社は合意に至り和解した。和解案の詳細は明かされていないものの、「荒野行動」はサービスを継続することに成功した。
PUBGと荒野行動がこれだけ似ていて、訴訟に至ったにも関わらず、配信の差し止めに至らなかったという事実は、模倣ゲームの著作権侵害の「線引き」についての認識に対して大きな影響を与えた可能性がある。
盗用でも問題なし?「Dark and Darker」
異なる争点で話題となったのが「Dark and Darker」だろう。
「Dark and Darker」は、ネクソンが開発していた「Project P3」という未発表のゲームのデータを、元社員が盗用したとされており、法廷闘争の渦中にある。
しかし、「Dark and Darker」の米国における訴訟は棄却されたため、裁判が継続中の韓国以外では普通に販売され、サービスが提供されている状況だ。
ネクソンがIronmace社を相手に訴訟を起こした際、ユーザーから批判されたのはIronmaceではなく、むしろネクソンだった。
まさに「面白ければパクりだろうと気にしない」が体現されたような事例だ。
そんな「Dark and Darker」を模倣した新作ゲームも続々と登場している。
「Project Mugen」のモーションがほぼ「スパイダーマン」
発表されたばかりの新作オープンワールドRPG「Project Mugen」だが、トレーラー内で紹介されている移動シーンが、「Marvel’s Spider-Man」の「ウェブスイング」に酷似していると指摘された。
「Project Mugen」がリリース前のゲームであるだけに、余計な揉め事を避けるためにモーションを変える可能性も高そうだが、スパイダーマンを開発したInsomniacやSIEがこの件で訴訟を起こすことも考えにくいだろう。
ユーザーの印象がどうなのかということに尽きるが、「Project Mugen」が面白いゲームと評価されれば、スパイダーマンのような移動をしていても問題なく事が運ぶのかもしれない。
あの人気ゲームにそっくり?「カラーウォーズ」
一昔前の話ではあるが、Xbox 360用に開発されていた「カラーウォーズ(Color Wars)」というソフトがある。
このゲームは2012年に発売される予定だったが、開発会社が潰れてしまったため、発売には至らなかった。
知らない人は「『スプラトゥーン』のパクり」のように感じるかもしれないが、このゲームはスプラトゥーンより3年も先に発売される予定だった。
結局、「カラーウォーズ」は発売に至らなかったので特に問題にも発展しなかったが、昨今の流れからすれば、仮に「カラーウォーズ」が発売されていたとしても、任天堂を相手に訴訟を起こしても主張が認められず敗訴になる可能性が高いだろうし、「面白ければパクりでも問題ない」というロジックに従って、スプラトゥーンのプレイヤーも特に気にしなかっただろう。
アウトな事例は?
著作権侵害が認められたケースも多数存在する。
グラフィックのデータや、キャラクター等のデザインを他の作品からそのまま流用している場合は完全な著作権侵害だ。
FF11のキャラクターを無断利用?
かつて、「カオスサーガ」というブラウザゲームが存在したが、このゲームに「ファイナルファンタジー11」のデータが無断で使用されていることが発覚し、リリース1日でサービスが終了する事態となった。
同様に、他作品のデザインと一致するグラフィックアセットを使用している場合は著作権侵害となる可能性が高い。
他作品と誤解させるようなゲーム
2023年6月にニンテンドースイッチ向けにリリースされた「The Last Hope」というサバイバルゲーム。
プロモーション用の画像やキャラクターの外見等が「The Last of Us(ラストオブアス)」に酷似しており、海外メディアから「恥知らずな盗作」とこき下ろされた。
トレーラーはソニー・インタラクティブエンタテインメントから著作権侵害の申し立てを受けYouTubeから削除された。その後、「The Last Hope」はニンテンドーeショップからも削除され、販売停止となった。
アセットの盗用はしていないものの、他のゲームと誤認させて購入させる意図があり、悪質なものと判断されたケースだ。
「見た目は少し違う・中身は全く同じ」で著作権侵害となった例
2014年に中国で作られた「臥龍伝説」というカードゲームが、Blizzard Entertainmentから知的財産権の侵害で訴えられた。
「臥龍伝説」は三国志を題材としたオンラインカードゲームだったが、システムは「ハースストーン」を完全コピーしており、カードの能力まで全て同じであったりと、見た目が少し違うだけのハースストーンと化していた。
この事例では、Blizzard Entertainmentが勝訴し、「臥龍伝説」の開発会社には約2億円の損害賠償命令が下った。
システムの模倣で損害賠償命令に至った例
Webzen社が2020年にリリースしたスマートフォンゲーム「R2M」が、「リネージュM」のコンテンツやシステムを盗用しているとして、リネージュシリーズを制作するNCSOFTが2021年に訴訟を提起した。
ソウル中央地方裁判所はNCSOFT側の主張を受け入れ、不正競争防止法違反でWebzen側に約1億円の損害賠償の支払いを命じた。
▼R2MとリネージュM
ただし、損害賠償の支払いは命じられたが、著作権侵害は認められなかった。
著作権侵害が認められなかったのは、NCSOFTの「リネージュM」も、それ以前のゲームのシステムやルールを利用・改変したものだと判断されたためだ。
一方で、「R2M」が「リネージュM」のシステムを総合的に模倣したことで、NCSOFTの経済的利益を侵害しており、公正な商取引や競争の秩序に反しているとして、不正競争防止法違反と判断された。
この裁判で、Webzen側は「ゲームのルール自体は著作権保護の対象ではない」と反論していた。
面白ければ許容されやすくなっているが…
他の作品を模倣したゲームは、以前よりもユーザーに受け入れられるようになっていると感じるが、何かを完全にコピーして利用するなど、一線を越えてしまっているものは裁判に発展している。
それでも、「荒野行動」のように裁判沙汰になってもしぶとく生き延びるゲームもあるだけに、ギリギリのラインを攻めるメーカーは今後も現れそうだ。
コメント
ブルプロ…
特許認めてもらえばいいだけ
誰でも考え付くようなしょうもないアイデア()をパクりパクられとか片腹痛い
コロンブスの卵とか知らなそう
特許があるか無いかが全てだな
議論にすらならない
ゲームは昔から既存のものを時代に合わせて少しずつ洗練させて進化させて来たものだろ
開発者は当然それはわかってるだろうしユーザーだってわかってる
キャラクターやガワとかの比較的自由度が高い部分は著作権で守られるべきだと思うが
ドラクエもウルティマやウィザードリィを真似てると散々言われてるし
今に始まったことじゃないよね
パクリに寛容というより大多数の人は知らずにプレイしてると言うのがしっくりくる
後から知っても好きになってしまったものを中々非難できないし
バトロワはH1Z1時代でもうええわってなったな
後発も結局やってる事同じだしより優れたチートを使ってる奴が
勝つってのも変わらんしな。不毛of不毛
中国、韓国がパクリだーって叫ぶとお前の国そのものが、あらゆる製品パクってるやん……って思うわ
シャドバ出たばかりの頃に面白いからパクられるって反応で終わらせた会社あったよな
問題ないモノなら公式の反応はそんくらいの温度感が正解だと思うわ
このおかげで暴れ回るバカは現れなかったわけだし、反応NGなどは古い考えでしかない
問題ないなら皮肉で返すくらいのユーモアさはゲーム会社には必要だよ
大手資本を抱えた企業がやるのはどうかと思うけどね
大手同士の争いならまだしも、弱小とかインディーレベルのAutoChessとかRiotがTFT出して完全に廃れたわけだし
Valveの1コンテンツではあったけど開発したの個人レベルだったわけで
資本を持った企業が個人レベルの手柄を資本力で横取りみたいなのは感情論としては嫌い
合成大西瓜とやらもパクリゲーじゃんw
面白ければパクる、売れていればパクる、光るものがあればパクる
天下の任天堂もスクエニも零細インディーも基本的に使えるアイディアはパクるよ
これはゲームに限らず映画やドラマ、プラットフォーム、電子機器、あらゆる製品で同じことが起こっている
アイディアなんて価値はなくて、それらを形にする力が重要
企業であれ個人であれパクる側からパクられる側になれば上出来、チュートリアル終了だ
さあ良いもの作ろうぜ
神ゲーはどんどんパクれ。
それはやがてパクりじゃなく「ジャンル」になる。
スト2のパクリが溢れた結果、格ゲーというジャンルを築いたように。
ただしちゃんと
どこかしらを進化させるなり上位互換にしろ
劣化パクリや下位互換にしかなってないパクりはゴミ。
スイカゲームってパクリだったのか
日本終わってた・・・
50年以上前からガワと多少システムが変わったパクリゲーなんていくらでもあるし、その多少の差異が積み重なって洗練されてくわけだしなぁ
ドラクエタイプのUIのRPGなんかその典型でしょ
プレイヤーはゲームが面白いかどうかでしか損得の秤が動かないから、粗製乱造にならなければ悪いとは言われないだろう
面白くなければ別のを遊ぶ選択肢が増えて良いまであるかも
ゼロからのアイデアで、しかもそれが面白いものなんて、天才しか作れないしね。すべてのコンテンツは何かしらからのパクリとも言える。「パクリだ!」と騒がれるのは、単にコピーされた要素の割合なんだろうよ。
ただインディー界隈はパクリや流行りに便乗した粗製乱造ばかりでさすがにうんざり
久々にストア起動したときになんか良さそうな新作来てないかなーって見るともはや検索妨害レベルなんだよ
そろそろインディーを別タブに分けるとかしてほしい
そりゃチーターだらけの世界みてるとモラルも糞もそんなのはもうないよw
アイデアには著作権がない様ですが、それをゲームに落とし込んでいる以上、それは表現と言えるのでは。
流石にルールは殆ど分からない上、作者自身も「スプラにパクられる物は何もない」と明言してるColor Warsとスプラの件をパクりの例として出してるのは場違いだろう…….
パクリに関して理解度思った以上に高い人いっぱいいてなんか安心した
昔は質のいいパクリでもパクリってだけで安易な評価する人たくさんいたから…
だから何?
パクリはパクリ