7月3日に韓国で大規模なアップデートを控えているMMORPG「TERA」だが、現在多くの悩みを抱えているようだ。同時にそういった問題へアップデートによって対応することも表明している。

本稿では、THIS IS GAMEによるBluehole StudioのTERA運営チームへのインタビューを要約して紹介する。
■部分有料制の定着と新たな問題
年始より日本や韓国、欧米などのTERAの料金形態が基本プレイ無料+アイテム課金制となった。
これによりほぼ全ての地域でプレイヤーの大幅な増加に成功したが、新規プレイヤーや復帰プレイヤーが最高レベルに到達すると新たな問題が発生した。
2年以上TERAを続けて鍛えられたプレイヤーのために用意したダンジョンは、新規プレイヤーにとって難しかった。すべてのダンジョンを攻略するにはこれまでに溜まったダンジョンの数があまりにも多かった
既存のプレイヤーにとっては、実力も理解度もアイテムレベルも低い新規プレイヤーがパーティに入るのは嫌だった
ダンジョンに入場する前から「面接」が行われるようになり、プレイヤー間に溝が生まれてしまった
新規プレイヤーの多くはシャンドラマナイアをクリアせずに辞めていったようだ
こういった二極化を解決するのが課題だった
■顧客分析に焦点を当て、1人、3人、7人ダンジョンを追加
Blueholeは無料化で生じた新たな問題に対処するため、プレイデータの分析から始めた。
多くのプレイヤーはレベルキャップの60に到達していたが、その後は大きく2つにわかれた。
難しいダンジョンに簡単に適応するプレイヤーもいれば、挑戦はしたいがパーティを組むことに困難を経験するプレイヤーや、操作の難しさや装備集めに負担を感じてダンジョンを忌避するプレイヤーもいた。
開発チームは「パーティ募集の難しさ」と「難易度」を大きな問題として認識した。
その結果として大型アップデートにはこれまでと趣の異なるダンジョンが用意された
7人ダンジョン「巨人の森」と3人ダンジョン「古代の地下水道」はパーティ募集が難しい火力職のためのダンジョン。

巨人の森では、大砲やドリル装置で巨人を妨害し、大きなダメージを与えるなど、様々な環境のオブジェクトが配置されていて、パーティ構成の重要性が低くなっているため職業に関係なく、簡単にパーティを組んで挑戦できる。
※巨人の森は某漫画からインスパイアされたのだとか
古代の地下水道では、パーティを構成した後に足りないロール(役割)のNPCにまかせることになる。どのような職業が不足していても無理のない構成。

TERAは元々パーティプレイを目指すゲームだったが、パーティを組むこと自体が難しくなった。
パーティの作成を円滑にしようというのがこの2つのダンジョン。
新たに実装される5人ダンジョンは、一度もプレイしたことがなくても無難に進められるようなライトユーザーのためのダンジョン。

10人レイドダンジョンはボスまでの過程に楽しさを入れるために努力した。
特定のパターンはパズルのように解いて避けて、動く石橋をタイミングに合わせて通ったり、転がってくる石を壊してバフを受けるなど、全体的に遊園地のような方式を選んだ。

■アイテム獲得経路も多様化。バルダーの神殿1人モードも
ダンジョンにいかなくてもクエストを通じてある程度の装備を揃えることができ、新規プレイヤーがレベルキャップに到達した後、既存のプレイヤーとの差を軽減するためにダンジョンの動線も簡単にした
バルダーの神殿には最初から簡単にクリアできるような1人モードも追加した
自分のレベルにあったルートでアイテムを取得する方法に変えた。サブダンジョンの踏破を繰り返しても装備を手に入れることができる道を開いてくれる仕組み
今回のアップデートでTERAが簡単になるというわけではない。
今回のアップデートはライトユーザーを強く意識し、非熟練者がさらに上手になるように企画したのは正しいが、それを強制するつもりはない。
難しいものと簡単なものが混ざった構造。
次のストーリーも準備しており、アルン北部で新たなストーリーの舞台となるエリアが登場する予定。
■半分は失敗に終わった連盟。終わらないコミュニティの悩み
TERAはコミュニティが不足している。多くのプレイヤーが集まって楽しむコンテンツがない。
TERAに沢山のダンジョンがあってもコンテンツ不足と評価される理由の一つだと言われていた。
それを解消するために実装した「連盟」システムだが、結果は芳しくなかった。コミュニティの有効化に失敗した。
連盟も一部のプレイヤーだけ参加し、ほとんどのプレイヤーは加入と脱退を繰り返し、1人ダンジョンの訓練所を楽しむことにいそしんだ。

TERAには過去のMMORPGのようなコミュニティは合わない。プレイヤー層も異なるTERAだけのコミュニティが必要。
その一方で砲火の戦場は好評だという。
連盟はそもそも他のMMORPGで成功した方法を取り入れたようだが、連盟を実装して感じたのは「昔と今では多くの状況が変化した。以前に成功した方法がTERAでは通じない」であるとのこと。
連盟アップデートには収穫もあったようで、連盟で実装された訓練所によってパーティプレイの大きな問題を見つけることができたのだという。
「パーティを組むことがこれほどまでにストレスになっていたのか」ということを感じた。
このことは今回のアップデートの方向性を決めることにも大きく寄与し、1人ダンジョンも本格的に検討するようになったとのこと。

■無料化に合わせた新しいTERAのために
TERAの開発チームが無料化後に感じたもう一つは「配慮」だったという
定額制当時はほとんどのプレイヤーはアクションゲーム好きのコアゲーマーで、プレイヤー達の感心は自然とダンジョンでの戦いに向いていた
無料化後は様々なプレイヤーが集まった。実力も興味も楽しさを感じる所も全て異なっている。今では新しいアバターや開催されているイベントを確認しにログインするプレイヤーも多い。
戦闘だけではなく様々な部分で楽しみを与えなければならない。
MMORPGらしく色々なプレイヤーが集まって、色々な方法でプレイする。誰もがゲームに慣れるための方法を作ることに苦労した。
“これまで、ダンジョンを塔のように積み上げたが、この塔は高すぎて新規プレイヤーは登ることを諦めてしまう。だからエレベーターも作って、階段も設置して・・・そんな感じ”
昨年のハロウィンイベントの反応が良く、限定で提供するアイテムへの関心が高かった。
そこで今回は夏をイメージしてビーチにミニゲーム場を作った

新しい水着も用意。エリーンの水着の名札に自分の好きな名前を入れることができる新機能。
TERAのアバター「制服」は、韓国では児童青少年保護法にひっかかるのではないかと話題になったようで、運営チームは法的な問題がないか確認したほどだったようだ。問題はなかったとのこと。

■既存プレイヤーのための部分
ゲームの生態系のために必ず必要なのがコアゲーマー達。
しかしMMORPGは最終的に人が多くないと面白くない。
今回のアップデートは新規プレイヤーが既存のプレイヤー達のコミュニティに入るための機会だと見てもらいたい
これによりプレイヤー達が一箇所で交わった後には再びTERAの根っからのファンのためのアップデートを行うだろう。
「破滅の魔獣」と「アルゴンの女王 Part.1」で感じたのは、新しい装備があまりにも早く更新されると、既存のプレイヤーが不安を感じて引退するということだった。
だから今回のアップデートからはこれまでのアイテムが一気に無価値になるような状況を防ぐことに努力した。
新たに追加される最上級の装備は、熔嘩凱帝シリーズの装備をアップグレードする方法で入手できる。
“とにかく、既存のプレイヤーと新規プレイヤー両方の心を捉えるために努力するから温かい目で見ていただきたい。本気だ。”
情報元: THIS IS GAME
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