海外メディアのTHIS IS GAMEが東京ゲームショウ2022で日本のゲーム業界関係者にモバイルゲーム等のトレンド変化について取材している。
所属するメーカーや組織を代表してではなく、完全に個人の意見を求めたため、取材は匿名を条件に行われている。
業界関係者A:
日本でソーシャルジャンルがこれ以上の人気を得ることはないでしょう。これは、ユーザー間の競争を通じた売上構造では生き残るのが難しいという意味です。「Fate/Grand Order」や「ウマ娘」などは確かなファン層を持っているゲームですが、これらのゲームはIPの力に依存しています。こういう強力なIPを新たに作ることができるのなら(ソーシャルジャンルの人気が)どうなるかわかりませんが。
業界関係者B:
東京ゲームショウ2022の現場でも、出展タイトルのほとんどが一人で楽しめるか、オンラインゲームでもソロプレイが十分に可能なコンテンツがあるゲームがほとんどだと思います。なぜなら、今の日本市場がそのようなゲームを望んでいるからです。お金を使うにしても、(他者との競争ではなく)一人でコンテンツの大部分を体験できるゲームを望んでいる傾向があります。
業界関係者C:
物理的な時間の問題です。少なくとも、今や日本のユーザーはどこでもゲームを遊べますが、いつでもプレイできる環境ではありません。一日の中でゲームができる時間は限られています。少し前までは競争中心のゲームでもお金で解決できる部分がありましたが、今は違います。お金はいくらでも使うことができますが、ソーシャル性に対する疲労感が大きすぎます。
取材を行ったTHIS IS GAMEは、コロナ禍前に東京ゲームショウに来た時と比較して、「競争方式のソーシャルゲームの人気下降は顕著」だと分析している。いわゆる「札束で殴り合う」系のソーシャルゲームよりも、課金したら課金した分の着実な利を得られ、その満足感が他者との競争によって阻害されることが少ないゲームが日本のモバイル市場の現在のトレンドだという。
競争中心のモバイルゲームでは、荒野行動やPUBG、Apex Legends Mobile、Among Usのように、課金で有利にならないタイトルは人気がある。一方、ここ2~3年で登場した、「PvPを主軸としたモバイルゲーム」のうち、課金で圧倒的に有利になるタイトルの多くはほとんど話題にもならならずに消えている。
韓国等で利益を上げているモバイルゲームはこのトレンドと真逆の方向を行っているものも多く、リネージュシリーズ等は「課金してPvPで勝つ」ゲームの典型的な例だ。取材をしたTHIS IS GAMEは、韓国のNCSOFTが以前に「リネージュW」の発表を東京ゲームショウで行った事について日本のトレンドを考慮していない「時代錯誤」なものだったとしている。
NFTゲームについての意見
業界関係者D:
まあ・・・楽しければ上手くいくかもしれませんが、トレンドに合ったゲームでない限り、お金を稼げるからといってプレイするかはわかりません。お金を稼げるというのは結局、暗号通貨の価値によってヒットするかどうかが決まりますから。そして、NFTゲームはユーザーのニーズというより、企業やビジネス側のニーズではないでしょうか
業界関係者E:
ゲームの楽しさという不変の要因ではなく、変動する外部要因によってユーザーがゲームを続けるとは考えにくいです。競争をするソーシャルゲームや、Play-to-Earn (P2E)ゲームでも上手くやっていける国もあるとは思います。日本でもP2Eに興味のある人もいますし、NFTゲームに参入するメーカーもいますが、現在の日本市場の傾向を考慮すると、ゲーマー中心では人気や利益の面で大変ではないでしょうか
日本でもNFT/P2Eゲームの話題や広告をよく目にしたり耳にするようになっているものの、業界関係者の反応は微妙だったようだ。
ソース: THIS IS GAME
コメント