オープンワールドRPG『鳴潮』CBT2 レビュー・感想。“粗さはあるが確かな基盤”

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2024年2月19日から開始されたオープンワールドRPG「鳴潮」の第2回クローズドベータテストの感想。

KURO GAMESのオープンワールドRPG『鳴潮』は、miHoYo『原神』の仕組みを部分的に借りながらも、ジャスト回避やパリィ等、タイミング重視のアクションや、武侠を彷彿とさせるようなアクロバティックな戦闘モーション、モンスターの能力を戦闘で使用できる「音骸」、そして多彩なバトルコンテンツによって独自の味付けをして差別化を図ったタイトルだ。

このレビューはCBT2の仕様に基づいたものであり、正式サービス時と異なる点があります。

また、CBT2においてキャラクターボイスは一部を除いて実装前です。

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『鳴潮』は成功できる?

まだ粗いが『成功可能』な基盤

今回のクローズドβテストではキャラクターボイスが実装されていなかったり、一部の効果音がなかったり、テキストが欠落しているなど、随所に”未完成”の部分が存在したが、全体的にクオリティは高く、ゲームの基礎は十分満足できるものだった。前回のテストで不評だったキャラクターモデルも改善されている。

また、『鳴潮』の探索や育成、クエスト、ガチャといったゲームシステムの根幹は「原神」に似たものであり、既に確立された仕組みを使っているだけに、改善すべき箇所をリリースまでに修正し、アクションや独自システムの部分で魅力を引き出すことができれば、ライブサービス型オープンワールドRPGの有力な選択肢になるはずだ。

特に、ストーリーやキャラクターよりも、戦闘等のゲームプレイを重視するゲーマーに強くアピールできるタイトルになりそうだ。

鳴潮の魅力はアクション

「鳴潮」最大の魅力がアクション戦闘であることは明らかで、ジャスト回避で敵の攻撃を避けながら流れるように華麗なアクションを繰り出すことができる。

戦闘で使うボタンの数こそ少ないが、スキルの仕組みはやや複雑で、説明をよく読んで使い方を理解する必要がある。その分単調になりすぎずに楽しさを長く維持できている印象だった。

今回のテストでは、まだ効果音が完全ではなく、戦闘の爽快感が不足しているのは否めなかったが、それでも、鳴潮の戦闘の醍醐味はしっかりと感じることができた。

キャラクター切替時に、「協奏エナジー」が溜まっていれば、退場するキャラが味方を補助するスキルを使用し、出場する後続のキャラが攻撃スキルを使いながら登場するなど、「連続した絶え間のないアクション」を端々に感じることができる。

ジャスト回避をするとリソースが溜まるため、ジャスト回避が戦闘効率に直結する

壁を走って登れる

また、「鳴潮」には武侠ゲームを彷彿とさせるような一面もあり、壁をダッシュで登ったり、ちょっとした段差はパルクールのような動きで飛び越えたり、地上のダッシュにはスタミナを消費しなかったり、探索面でもアクションの魅力を感じることができる。

収集要素・装備・スキルの3つを兼ねる「音骸」

鳴潮の特徴の一つが「音骸」だ。

フィールドでモンスターを倒した時に「音骸」を吸収でき、音骸を装備するとステータスがアップする他、種類に応じた専用スキルを戦闘中に使うことができる。

▼音骸スキルを使った戦闘の一例

音骸スキルでは、モンスターを召喚して敵を攻撃したり、決して馬鹿にならない威力を発揮する。

図鑑もある。

音骸は種類によって装着コストが異なる。大型のモンスターはコストが高く、小型のモンスターはコストが低い。装着スロットは5つあるが、コスト上限があるために、全てのスロットを大型モンスターの音骸で埋めることはできない。

音骸の装備画面

音骸に付与されるステータスはランダムであり、セット効果もあるため、音骸を”厳選”するのが重要な育成要素の一つとなる。

また、アイテムを消費してサブステータスを付与することができ、これもランダムなため、音骸の厳選はやり込み要素だ。

この仕組みは「原神」における「聖遺物」が形を変えたものだが、フィールドにいる雑魚敵、ボス問わず確率で音骸を獲得でき、その際にスタミナを消費することがないのは長所だ。

音骸を集めると「データドック」の経験値を獲得でき、データドックのレベルが上がると報酬を得たり、音骸収集に関する能力もアップする。

高難易度のボス戦「ホロタクティクス」

現時点で、鳴潮には3種類のエンドゲームバトルコンテンツが実装されている。

  • 逆境深塔・・・複数の敵を制限時間以内に倒す。キャラごとに疲労度があるため、同じキャラを延々と選び続けることはできない
  • 深層空想秘境・・・ローグライク。1体のキャラだけ使用し、ステージを進むごとに強化できる。敵は制限時間内に倒す必要がある。
  • ホロタクティクス・・・非常に強力なボスを制限時間内に倒す。現時点で6段階の難易度がある

ホロタクティクスは鳴潮において最も興味深いもので、超強化されたボスモンスターと戦い、制限時間内に倒せばクリアとなる。ホロタクティクスでは同等レベルの敵でさえ、即死級の攻撃を何度も使ってきたり、軽い攻撃がかすっただけでHPが半分以上削られたりと、ジャスト回避があるこのゲームならではの、敵の攻撃パターンをしっかり覚えて挑む高難易度コンテンツだ。

ホロタクティクスでは被撃すると即死するような攻撃も頻繁に登場する

鳴潮の戦闘システムであれば、敵の攻撃を全て回避することも可能であり、チームにヒーラーのキャラクターを入れずに高難易度のコンテンツをクリアすることもできる。

一方で、「ガチャ」のあるF2Pゲームの仕様上、本当に難易度を維持できるのかという課題が残る。「課金しまくればどんな敵も楽勝」になってしまえば高難易度とは呼べなくなってしまい、本末転倒であるが、長期的なパワークリープにより、その結果はどうにも避けられないように思えてしまう。

この他にも、ローグライクコンテンツの「深層空想秘境」は、キャラクターを1体だけ使用する興味深い設計で、難易度こそ高くないが、通常時の戦闘にはない特殊効果やバフを得られたりと、他のバトルコンテンツとの差別化が図られている。

懸念点は「キャラクター」「ストーリー」「世界観」

今回のテストではキャラクターボイスがほとんど実装されていなかったこともあり、ストーリーやキャラクターを完全に評価することはできない。

しかし、これらの点は「鳴潮」のプレイヤー層を限定しかねない要因になる可能性がある。

素晴らしい演出と魅力に欠けるストーリー

鳴潮は前回のテストでの不評を受け、ストーリーを作り直したという。以前は暗く陰鬱とした雰囲気で、黙示録的な世界観やストーリーが強い個性を放っていたが、少し明るい雰囲気に変化した。

メインクエストでは、ハイクオリティなカットシーン(ムービー)が贅沢に使われ、会話シーンもカメラアングルを頻繁に切り替えたり、プレイヤーを飽きさせない演出がされており、力の入れようを感じたのは確かだ。

その一方で、物語自体の魅力は足りないように思えた。

主人公が記憶を失っているよくあるパターンで、特殊な力を持っていて、その力ゆえに、鳴潮の世界に登場する様々な勢力から注目され、各勢力の思惑に巻き込まれていくといったような話だ。また、例によって世界に災いが迫っているようである。

序盤から中国語系のネーミングがされた固有名詞が連発し、まくしたてるように世界観が説明されていくが、すんなりと頭に入ってこない。序盤で、いわゆる「つかみ」になるような展開が少なく、説明過多であるようにも思えた。

すぐにプレイヤーに興味を持たせるような展開を見せるのではなく、ゆっくりと話を広げていくタイプの構成かもしれないが、序盤で出会うキャラクターのことがよくわからないままストーリーが進んでいった。

もしかしたら、ベータテストでは実装されていない、もっと先のメインクエストで面白い展開が待っているのかもしれないが、ストーリー序盤の段階では「演出は優れているが中身が伴っていない」というのが率直な感想だった。

ストーリーを作り直す期間が9ヶ月しかなかったことを考慮すれば、致し方ないとも言える。ボイスの実装でどれだけ印象が変わるか注目したい。

しかし、ここで朗報もある。鳴潮では会話シーンはスキップできる。ストーリーに興味がない場合はスキップしてしまえば問題ない。これはサブクエストでも同じだ。

キャラクターのCGモデリングは前回テストから改善された

9ヶ月以上前のクローズドβテストでは、キャラクターのモデリングに難があると指摘された。その頃から比べるとだいぶ良くなったように感じた。

ただし、一部のキャラクターのモデリングやデザインは「あと一歩」という印象だ。

「キャラクターの魅力をアピールする」という部分に関しては、スマホゲームの人気タイトルと比べると鳴潮は幾分弱い。戦闘アクションはかっこいいが、個性や存在感で特筆すべきキャラはあまり見当たらない。また、キャラクターの物語性を見せていくことも、このジャンルのゲームがヒットする上では重要だ。

中国色が強すぎる?

地名や街、街のBGM、人物名、服装など、『鳴潮』は全体的に”中国色”が強いゲームだ。

一度文明が滅びた後に作られた世界が舞台となっていることもあり、中国が舞台になっている可能性もあるが、ポストアポカリプスの世界観で中国語系の名称が多用されている明確な理由は示されていない。

将来的に異なる文化のエリアが実装されるかもしれないが、少なくともCBT2の範囲は中国色が強かった。

また、今回のテストはキャラクターボイスが未実装のせいか、読み方がわからない固有名詞があまりにも多い。

「桃祈」「淵武」「丹瑾」「熾霞」「白芷」「忌炎」「秧秧」「吟霖」「散華」「鑑心」「凌陽」「今汐」

CBT2に登場したキャラクターの一部だが、これらはまだ良いとしても、ストーリーに登場する概念や道具にも中国語系の名称が用いられており、混乱必至だ。

特定の国の文化色が濃い世界観はどうしても好き嫌いが分かれるが、それだけでなく、ストーリーを楽しめるかどうかにも影響する。

今回のクローズドβテストをプレイした限りでは、『鳴潮』がキャラクターやストーリーを重視する人達の興味を維持できるかどうかという点では、些か疑問を抱かざるをえなかった。

オープンワールドにはあと少し魅力が必要

ポストアポカリプス世界観で、自然の中に旧文明のビルや道路が溶け込んでおり、美しく描かれた世界ではあるが、『オープンワールド』としての魅力は少し物足りない。

ベータテストをプレイしている中で、『世界を自由に探索している』というより『目的を探している』という感覚が強いことに気づいた。

世界を自由に探索して何かを発見したり、驚きがあったり、キャラクターとの出会いがあったり、行ってみたいと思える場所があったり、あるいは景色を眺めているだけでも楽しくなるような、オープンワールドならではの魅力がまだ活かしきれていない。

このゲームの主眼はアクションに置かれているため、必然的にマップ探索よりもバトルコンテンツに気を取られる。このため、オープンワールドを探索することよりも、育成のために『報酬の獲得』を目的とする意識が強くなりがちだ。

フィールドはモンスター、パズル、アトラクション、採集物で満たされているが、空虚さも少し感じるのは否めない。

それでも、「あと少し」と表現したように、鳴潮のオープンワールドが全く駄目というわけではなく、パズルやギミック、アクティビティはある程度充実している。モンスターから『音骸』を得られる独自要素も加えた。また、建造物はいずれもスケールが大きく壮観だった。

『鳴潮』CBT2 良い点・悪い点

CBT2の総評

CBT2ではまだ随所に粗さが見え隠れしているものの、『鳴潮』独自の魅力も感じられ、これからブラッシュアップを続けていけばリリース後に成功を収められるポテンシャルがある

ただし、長期的に大きな成功を収めるには、もう一押しが必要。アクションには魅力があるが、ストーリーやキャラクターは人気を牽引できるほどではない。

良い点
  • 華麗なモーションと絶え間のない流れるような戦闘
  • ダッシュにスタミナ消費がなく、壁も崖もダッシュで登れる等、探索時のストレス要素を減らしている
  • 「音骸」収集のおかげで、フィールドでの雑魚戦にさらに価値を持たせている
  • ストーリーにおける豪華なカットシーン演出や会話時の細かなモーション
  • 迫力のあるボス戦
  • 挑戦しがいのある高難易度コンテンツ
  • 高精細なキャラクターグラフィック
  • 壮観な建築物やランドマーク
  • 高低差のある立体的なマップ構造
  • 多彩なフィールドコンテンツ
  • 比較的自由なパーティ編成
  • クエスト中の会話をスキップできる
  • デイリークエストが1個だけ
  • 凸に使う素材をガチャのマイレージで交換できる(★5キャラも)
  • 武器ガチャにすり抜けがない(★5武器が出れば100%獲得)
  • 120fps対応(※不具合のためβテスト期間中に使用不能になった)
悪い点
  • 取っ付き難いストーリー
  • 戦闘の爽快感がやや不足している(主に効果音)
  • 訴求力の弱いキャラクター
  • 一部のキャラデザとCGモデリングは依然として精彩を欠いている
  • 探索の意欲がわきづらい、やや魅力に欠けるオープンワールド
  • 退屈なサブクエスト
  • 経験値素材・強化素材の入手量が圧倒的に不足しており、課金せずに複数キャラクターを同時に育成するのにはかなりの時間を要する
  • 印象に残らないような眠くなるBGMが多い
  • 背景(地形)のグラフィック品質
  • 全体的にUIの操作がぎこちなくレスポンスが悪い
  • 難読漢字(中国語)の固有名詞が多すぎる
  • 不必要に感じられるほど原神のシステムを踏襲している(世界ランクや育成システム、ガチャ、ダンジョンの仕組み、フィールドのギミック、クエストの方式、スタミナ等)

コメント

  1. 匿名 より:

    果たして市場に劣化原神の居場所は存在するのか否か

    • 匿名 より:

      それはそれ、これはこれでモノごとを見れないって
      何が出てきても二番煎じなど文句ばっか言ってると思うの。
      コレのどこが面白いところなのか、良いとこなのか、この作品が目指すとこはなんなのか
      そういう目線は必要だと思うの。

      脊髄反射で文句言うやつが日本に多いから日本は成長が鈍化してるの

      • 匿名 より:

        そういう目線で評価された上で、それであなたはこのゲームを続けますかと聞かれて続けないとなるのがライブサービスゲームだよ
        買い切りとは違う

    • 匿名 より:

      原神とかどのボスもスキル連打で終わりだからな・・・
      金詰んで承認欲求満たすだけのアプリや。
      チンパンジーが原神のボス倒してる動画があるくらいだからもうゲームっていうか知育笑

  2. 匿名 より:

    別に劣化って訳じゃないんだけど間口が狭いから原神を超える事は無いんだろうなという印象

  3. 匿名 より:

    原神でいいや

  4. 匿名 より:

    そもそも原神自体劣化ゼルダやん鳴潮もワンチャンあるかもしれんぞ

    • 匿名 より:

      原神はやってみると分かるけど、グラとか壁のぼりとか滑空とかの一部要素はゼルダだけど、多くはちゃんとオリジナリティ出せてるからゼルダじゃないと思わせてくれるんよ
      鳴潮はやってて原神と変わらない感覚になるんだったらアウトだよね

  5. 匿名 より:

    色々な部分で後発なのに…と思う部分がある。ボスバトルだけ期待している
    それじゃあパニグレでいいとなるしこのジャンルは並クオリティでは激戦を生き残れないと思う
    まだまだ発表された注目タイトルが出てくる

  6. 匿名 より:

    で、いるリリースすんの

  7. 匿名 より:

    日本にはブルプロがあるから

  8. 匿名 より:

    なんつーか…色々と軽いなぁ

  9. 匿名 より:

    またブルプロが勝ってしまったか

  10. 匿名 より:

    なんて読むの?
    なるしお?

  11. 匿名 より:

    キャラデザCGとか音源製作してる人らからは何とか良い作品を作ろうと
    頑張っているのが伝わって来る。チグハグさが開発内の不協和音を感じさせる

  12. 匿名 より:

    キャラに魅力ないし無理やろ、メインキャラの名前の読み方すら分からんやん

    • 匿名 より:

      日本はまだ同じ漢字語圏で日本語読みに変換できるからまだマシじゃん
      ピンイン表記の中国人の名前ってかなり馬鹿げた響きで糞覚えづらいから外人にとっては地獄だろうな

    • 匿名 より:

      中国は英語表記しちゃだめじゃなかったかな
      だから漢字ばっかな気もする。

  13. 匿名 より:

    中国だけで展開するなら全然いいんだろうけど、世界展開するならローマ字多めにしないと、成功しずらいかもね
    中国語の固有名詞多いと、翻訳する人も声優さんも大変そう

  14. 匿名 より:

    フィールドやギミックが原神まんまで
    また原神の探索やれる?ってなると無理だわ

  15. 匿名 より:

    どんだけ戦闘システム工夫しててもガチャで強いキャラ引いてねの時点でもう

  16. 匿名 より:

    SF感ありながらチャイニーズやんってなるのはピノコニー前のスタレに似てるけどもっとベッタリ感あるな

  17. 匿名 より:

    結局ソロゲーなんだろ?
    ソロゲーだったら買い切りのCSゲーでいい

    ストーリーが途中までしかない周回ゲーはもう結構

  18. 匿名 より:

    キャラガチャゲーって時点でお腹いっぱい

  19. 匿名 より:

    なんだか似た様なゲームばかり、お得意の中身ぶっこ抜いて使い合ってるのかな

  20. 匿名 より:

    高難易度コンテンツが全部時間制限ついてるのが気になるな、結局キャラや強装備揃えないと出来ませんの高難易度は従来のソシャゲから進化出来てないからなぁ、アクション重視で高難易度なら、ソウル系みたいに作ってくれよ、キツキツ時間制限だとテンプレのキャラとコンボリピートするだけでつまらん。

  21. 匿名 より:

    同じような基盤で同じようなアクションしてキャラクターとお話が少し違うだけのゲームしかつくれないんか

  22. 匿名 より:

    DMCチックな戦闘ができる原神かい
    でもさあ、肝がアクションならどうしたってスマホじゃ無理があるじゃんねえ

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