中国のNetEaseが自社の開発スタジオで制作したMMORPG「天諭 -Revelation-」の”半オープンベータテスト”が5月22日から開始された。本稿では「天諭」のファーストインプレッションを簡単にお届けする。
どこかで見た要素とキャラクター
当サイトでも「天諭」の話題を何度か取り上げてきたが、本作は2013年に発表された際、”究極のクローンゲーム”と呼ばれた。
ブレイドアンドソウルのような軽功、Aionのような翼を使った飛行、どこかTERAを彷彿とさせる幼女キャラと二足歩行の動物(?)、公式のトレーラーで日本の楽曲が無断で(?)使われているなどなどクローンだと思われても仕方がない。
▼この画像もどことなくAionっぽい
6つの職業とキャラメイク
天諭には6つのクラスが存在する。いずれのクラスもユニークな印象だ。
二本の刀と一本の大剣の両方を使う、二刀流+両手剣の「光刃」
剣を持っているけど3つの元素を扱う魔法職の「玉虚」
召喚士でありながらヒーラーの「霊龍」
二丁拳銃だけでなくライフルも使い、謎のロボット兵器も扱う「炎天」
巨大な盾と槍を持ち、神の力を借りて攻撃するタンク系クラス「聖堂」
ネクロマンサーのように死者の力を使う「流光」
全ての職業で男女の性別を選ぶことができるが、「豪」「烈」「凛」という3つの男性キャラクターと、「魅」「麗」「清」という3つの女性キャラクタータイプが存在し、職業ごとに選べるものが決まっている。
例えば光刃のクラスは「豪」「烈」「麗」の3つのタイプのみを選ぶことができる。詳しくは下記の動画で確認してほしい。
職業を選択した時の演出がなかなか格好良い。
「天涯明月刀」に比べると中国産ゲーム特有の垢抜けない感じがあるものの、これまでの中国産ゲームの中では比較的細かなキャラクターメイキングが可能で、安っぽさはそれほど感じない。ただし、ゲーム内にいるNPCの外見は雑に思える時がある。
東洋ファンタジー
ゲームの世界観は基本的には武侠のような感じだが、ガチガチの武侠モノというよりも、ファンタジーの要素も含まれており、独自の世界観が構築されているようだ。
天諭は独自のゲームエンジンによって開発されているが、グラフィックスの雰囲気はブレイドアンドソウルに若干似ている。
グラフィックスレベルは中国産MMORPGの中では上位にいそうだが、2015年のMMORPG全体を考えると平凡あるいは若干の安っぽさを感じさせる。
ただし、ゲーム世界はうまく作られており、それなりに美しい景観を見つけることができる。開発元は「広大な世界」を魅力の一つに挙げている。
基本はターゲット方式の戦闘
天諭の戦闘は一般的なクリックターゲット+ショートカットキーorスキルクリックあるいは、TPSスタイルから選ぶことができる。
TPSスタイルの場合は画面の中央に十字ポインタ(クロスヘア)が表示され、その中に捉えた敵をターゲットしてスキルを繰り出す。
ノンターゲティングっぽい印象も受けるが、厳密にはノンターゲティング方式ではない。
キャラクターが覚えるスキルには、一般のスキルと「無双スキル」が存在している。
一般スキルはレベルが上がると自動的に覚えるが、無双スキルは秘伝書のようなアイテムを入手して使用すると覚えることができる。
「無双スキル」は派手な演出で威力も高い。
中国のゲームでは珍しく(?)、移動しながらの攻撃が可能。
また、Shift+WASDでローリングやステップのような回避行動を取ることができる。
このあたりはギルドウォーズ2の戦闘にも少し似ている。
TERAやブレイドアンドソウル、FF14のように、ボスモンスターが強力な攻撃を出す際にフィールドに攻撃範囲が表示され、その範囲の外に出れば攻撃を回避することができる。
戦闘そのものはこのゲームの強みになるとは思えないが、堅実に作られていて失望はしなかった。
軽功、飛行、そして馬
天諭にはブレイドアンドソウルのような軽功と、Aionのような飛行システムが実装されている。
さらに非常に便利な自動移動システムや、フィールドのあちらこちらにワープポータルがある。
軽功を使えば、スタミナがなくなるまで猛スピードでダッシュでき、高くジャンプでき、そこから滑空することもできるし、水の上を走ることもできる。
ただし、ブレイドアンドソウルの軽功と比べるとモーションが雑に感じられる。
そして翼を広げて空を飛べば、高速かつ地形に影響されず自由に移動することができる。
さらに、馬に乗って地上を素早く移動することができる。
何故こんなに色々用意されているんだと思わず笑ってしまうほどだ。
Aionと異なり、天諭ではインスタンスゾーン以外のほとんどのエリアで飛行することができる。
さらに、飛行時間に制限がないため、街中でも空を飛んでいる人があちらこちらにいる。
軽功からの飛行も可能でなかなか迫力がある。
下の動画でもわかるように、翼には様々な種類が存在している。
基本的なコンテンツはひと通り揃えている
・メインクエスト、サブクエスト、その他デイリークエストなど様々
・ソロインスタンスダンジョン
・パーティインスタンスダンジョン
・採集・生産
・ギルドハウジング
・PvP
・大規模なPvP
など、MMORPGらしいコンテンツはひと通り揃っている
おそらくエンドゲームではインスタンスダンジョンとPvP、ギルド単位での築城?がメインコンテンツになってくるものと推測される。
狩りによる経験値は非常に少なく、フィールド上にもモンスターがあまりいないため、狩りゲーというよりはクエスト&ダンジョンゲームという感じ。インスタンスダンジョンの中にはパーティを組んでいない他のプレイヤーと共有されるパブリックダンジョンも存在している。
興味深いコンテンツとして、フィールドにいくつか存在している巨大な城をギルドで獲得して、施設を建築したりなど、ギルドで城を管理できるようなものがある。
メインクエスト・ストーリー
天諭では、ゲーム開始からレベル20あたりまではメインクエストに沿って進んでいくことになる。
若干の面倒臭さがあるものの、ほぼすべて素早く簡単に完了できるため、メインクエストはみるみるうちに進んでいく。
メインクエストはチュートリアルも兼ねられているので、ゲームの操作にも慣れることができる。
また、下手なMMORPGよりもたくさんのカットシーンが使われている。
メインクエストのためのインスタンスゾーンで色々な演出が用意されていることもある。
ただし、プリレンダリングムービーに登場するキャラクターのモデリングがなんか気持ち悪かった・・・
便利なガイド
天諭には、これでもかというほど便利なガイドが用意されている。
「どうやってレベルを上げればいいのか」「どうやってお金を稼げばいいのか」「どうやったら強くなれるのか」ということも、レベルにあわせて細かく教えてくれる画面があり、どこに対象のNPCがいるのか(自動移動可能)や、どのクエストを受けたらいいのか、どのインスタンスダンジョンに行けばいいのかなど事細かく書かれている
さらには各レベル帯で開放されるコンテンツやシステムもゲーム内で確認できるため、今のレベルで「何をしたらいいのか」がすぐにわかるようになっている。
こういったやりすぎなほど親切な機能は中国のMMORPGの特徴とも言える。
総評: 単なるパクリ・量産型(?)以上のゲーム
「天諭」がずば抜けたMMORPGかというとそうでもない。
ありふれたテーマパーク型の東洋ファンタジーMMORPGだ。
しかし、どこかで見たモノばかりでいつもの中国のパクリ&量産型ゲームか・・・とあまり期待せずにプレイしてみると、案外出来が良くて驚くというのがこのMMORPGだった。
非常にスムーズに進み、レベル25付近からプレイヤーがどういった手段でレベルアップをするか、クエストをやるのかダンジョンをやるのか、それとも生産や採集に手を出してみるのかなど、ある程度の選択肢が与えられる。
そしてなにより、「軽功」+ほとんどのエリアで可能な「飛行」という面白い組み合わせがある。
「天諭」は全世界で通用するほどではないが、中国産のMMORPGの中ではかなりマシな方というのが率直な感想だ。













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