MMORPG「ArcheAge」の北米・ヨーロッパサービスは2014年の秋に開始されたが、ロンチから数ヶ月、サーバー障害やハッキング、運営面など様々な問題にみまわれた。

これは日本ではほとんど報道されていなかったが、運営会社のTrion Worldsは長いアルファテストと様々なプロモーションを行い、欧米でArcheAgeの期待を高めることに成功していたので、このロンチ時の問題はかなり深刻な影響を及ぼしてしまった。
全世界のオンラインゲームの運営会社はArcheAgeの失敗を反面教師にしなければならない。
海外サイトmake use ofの記事「5 Lessons That Other MMOs Can Learn From ArcheAge’s Mistakes」(他のMMOがArcheAgeの失敗から学べる5つの教訓)を本稿で紹介する。
約束を破ってはいけない
ArcheAgeには領土を支配してギルドで城を築くことができるというシステムが存在するが、運営のTrionは攻城戦や城のシステムを散々宣伝していたにもかかわらず、サービス開始から50日間も実装しなかった。
そして、実装されない理由も一切発表されなかった。
欧米サービスは基本プレイ無料でスタートしたので、そこまで深刻ではないのでは?と思うかもしれないが、ArcheAgeの欧米サービスが「Founder’s Pack」を販売したことが事態を悪化させた。
Founder’s Packは1500円~10000円程度のデジタルパッケージで、「アーリーアクセス」が含まれている。
また、月額制のプレミアムサービス「Patron」というものがあり、これに加入していると経験値や労働力など様々なボーナスを受けることができる。
攻城戦に向けてスタートダッシュを決めたかったプレイヤーたちはこういったアーリーアクセスやプレミアムサービスのために課金をしたが、攻城戦が実装されるのがサービス開始からだいぶ後になるということがわかったのは課金をした後だった。
宣伝されていたゲームの特徴がロンチ時に実装されていない、その理由も説明されない。それを期待していたプレイヤーが課金してアーリーアクセス権を得ていた。
運営は嘘をついてはならないし、理由なく約束を破ることもしてはいけない。プレイヤーの信頼を失墜させる最大級の間違いだ。
ゲーム内の経済はMMOの生命線である
コアゲーマー向けのMMORPGでも、カジュアルゲーマー向けのMMORPGでも、ゲームの経済システムはMMORPGにとって生命線となる。
MMORPG内の経済が一度壊れてしまうと、それを元に戻すのは困難を極める。そしてそれはゲームの死に繋がる可能性すらある。
もともとArcheAgeにはプレイヤーがゴールドを使う場所やものがないと指摘されていたが、ArcheAgeの欧米サーバーでは、ごく一部のギルドとRMT業者、不正利用者がほとんどの土地を占領してしまい、1%の人間が99%の富を占めるというような状況になってしまっていた。
まともにゲーム内通貨を稼ぐことができなくなってしまったり、インフレが起こったり、それによって格差が生まれたりと、経済システムを疎かにすると致命的な問題に発展しかねない。
ハックが可能であるなら、いずれハックされる
ハッキングされてしまうようなプログラムの落ち度が存在する場合、悪意ある利用者は必ずそれを悪用してくる。
ArcheAgeの欧米サーバーはサービス開始後からチートやハックの問題が深刻化していった。ハックやバグ利用の種類は10を超えていたとのこと。
例えば、そのサーバーで空きがある土地をスキャンし、すぐにその土地を獲得できるというツール。
これは先述の経済や格差の問題にも繋がった
この方法で土地を占領し、土地を探しているプレイヤーに高値で売りつけるということをしていたプレイヤーもいたようだ
テレポートハック
ArcheAgeで最も使用されていたチートの一つで、好きな場所へ瞬間移動できるというとんでもないもの。
長距離の移動が必要な貿易を何のリスクもなく短時間で行うことができ、これを多くのユーザーが使ったことでインフレが加速しゴールドの価値が一気に落ちたようだ。
スピードハック
移動速度を自由に上げるチート。あらゆるコンテンツで有利に働く。
下の動画では、撮影者がチートを使っているプレイヤーを追いかけている
こういったチートを可能にするプログラムの脆弱性やコーディングのミスは、単にモラルの問題ではなくゲームを崩壊させることになる。
オンラインゲームには「ハッキングコミュニティ」が存在し、簡単にハックができるとわかると彼らのターゲットになる。
これは開発会社の責任も大きい。
きちんとBANを行なわなければならない
先述のようなチートやハックツール、BOTの不正利用者に対してTrion Worldsはアカウント停止処分を行った。
しかし、この過程で罪のないプレイヤーを大量に間違えて処分してしまった。いわゆる誤BANだ。
何が理由でBANされたのかもわからなかったため、余計にユーザーの不信が積もっていった。
こういった誤BANが発生したのは、不正を自動的に検出して対応をする運営側のシステムの問題だった。
MMORPGにおいて、不正利用者やRMT業者への対応が遅いことがある。これも大きな問題だ。
しかし、全く罪のないプレイヤーがBANされてしまうのも問題がある。そしてアカウント復旧にも時間がかかり、運営は無駄な作業を増やすことになる。
難しいことに、不正をしてBANされたのに不正をしていないとしらを切るユーザーもおり、ゲームのログやスクリーンショット、動画の他には不正を証明するものはない。
最悪なことに、Trion WorldsはArcheAgeのハックツールによる不正利用が多すぎるため、かなり適当な対応をするようになってしまっていた。
下の画像はGMと不正をしたプレイヤーの会話だが、テレポートハックを使ったユーザーのアカウント停止状態を解除し、次に使ったらアカウントを処分すると警告している。
その一方で、「あなたのギルドメンバーにもテレポートハックを使っている人がいるが、もう使わないように」という軽い警告に留まっている。
抜本的な対策が取られるまでArcheAgeはチートが蔓延りすぎて手に負えない状態になってしまっていたようだが、不正ユーザーに対する運営の姿勢、対応はどんなに面白いオンラインゲームであっても命取りになる。
海外ゲームを運営するのには粗さが伴う
周知の事実ではあるが、ゲームを変更したり直したりできるのは開発チームだけである。
現地パブリッシャー・運営会社はローカライズを行い、プレイヤーの意見を聞いたり、問題を調査することはできるが、実際にゲームの開発を行うのは海外の開発会社ということになる。
開発会社が直接サービスを運営しているのに比べ、現地パブリッシャーと海外の開発会社という関係には様々な問題がつきものだ。
プレイヤーからの意見がフォーラムや掲示板、カスタマーサポートに寄せられたら、現地の運営会社内でフィードバックを分析、精査し、開発会社と現地パブリッシャーの連携を取る部門は言語の違う開発会社のスタッフに正しく伝わるように翻訳をし、それでようやくプレイヤーの意見は伝わることになる。
現地パブリッシャーと開発会社のビジネス上の関係において、それが横並びなのか、それとも縦の関係なのか、近いのか遠いのか、どこまで意見が通るのかなど、簡単にはいかない場合も多い。
ArcheAgeの欧米サービスで起きたチートやハッキングの問題は、元はと言えばXLGAMESの落ち度ということになる。しかし、運営会社は「開発会社のせい」では済まされないというのも事実だ。現地のパブリッシャーは、海外のゲームを運営するということにもっと慎重になる必要がある。
参考・引用元: MakeUseOf





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