「TERA」 のサービス終了から学べること。『パーティ向けコンテンツ』取扱の難しさ

MMORPG「TERA」のPC向け日本サービスが4月20日をもって終了することになる。

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思慮なく実装されたパーティ専用コンテンツが新規の定着を阻む

TERAは2011年にサービスを開始したが、ちょうどその時期から、MMOにおけるソロ向けコンテンツへの需要が高まっていた。

2012年にリリースされた「Guild Wars 2」では、パーティを組んでいなくてもフィールドにいる他のプレイヤーと協力できるような仕組みが設けられた。また、「Guild Wars 2」においてインスタンスダンジョンの攻略は強制されなかった。

2014年にリリースされた「エルダースクロールズオンライン」もソロプレイヤーに比較的親切なゲームだ。また、2015年の「黒い砂漠」もかなりソロフレンドリーなMMOとして設計されている。

そしてつい最近、「ファイナルファンタジー14」は、今後の10年に向け「ひとりでもみんなでも遊べるRPG」を目指すとの方針を示し、成長過程のほとんどのダンジョンをコンテンツサポーターシステムにより1人でもプレイ可能にしている。
FF14 次の10年に向けて「“ひとり”でも“みんな”でも遊べるRPG」を目指す

サービス開始当初のTERAはパーティプレイ重視のMMORPGであった。特に韓国サービスが開始された頃は、フィールドにエリートモブや中型モンスターが多数配置され、全体的にパーティでの攻略が推奨されるゲームだった。
しかし、TERAはその後アップデートを重ねる度にソロコンテンツを増やしていったように、ソロプレイへの需要を無視できなくなっていたのは確かだ。TERAを初期だけプレイした人に説明すると、中型モンスターはどんなクラスだろうとソロで簡単に攻略できるように仕様が変更された。

パーティ向けコンテンツだったものを後になって仕方なくソロでも攻略できるように変更するのは、最初の設計段階で長期的な目線が欠けていたということだ。

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「パーティを組むことがこれほどまでにストレスになっていたのか」

かつて2013年に「TERA」のディレクターがインタビューでそう述べている。

TERAは「連盟」のアップデートを行った際、「訓練所」という1人用のインスタンスコンテンツを実装した。この1人用コンテンツは、開発チームの予想を超えるほど人気が高く、Blueholeはそこでソロコンテンツへの需要を確認したようである。
TERA 開発元インタビュー「連盟は半分失敗に終わった」 今後の課題は二極化の防止

当時のディレクターは、「昔と今では多くの状況が変化した。以前に成功した方法がTERAでは通じない」と述べている。

World of Warcraftでは、高難易度のレイドを仲間と共に練習を重ねてクリアしていく過程で攻略チームやギルドの中に結束力や絆が生まれると考えられていた。これは事実だったがそれを真似た他のMMORPGはWoWと同じ様にはいかなかった。

そんな「World of Warcraft」ですら、近年はソロコンテンツをかなり重視している。
Blizzardに13年間勤務したゲームデザイナー、ソロ体験を重視しようとする「WoW」の現状に不満を持ち退社

ファイナルファンタジー14は、パッチ2.xの頃は4人用のインスタンスダンジョンにも比較的高い難易度を設定した。しかし、現在ではFF14のインスタンスダンジョンは難易度の低いカジュアルコンテンツに位置付けられており、その方向性は明白だ。メインストーリーの過程で障害となるような難しいダンジョンを設けてしまうと、カジュアルプレイヤーにストレスを与えてしまうからだ。

パーティ専用のコンテンツに一定以上の難易度を設けると、「パーティメンバーの選別」が始まることになる。その事は新規プレイヤーや復帰プレイヤーが定着しづらくなる原因になっている。

ベテランプレイヤーはなるべく効率的にコンテンツを攻略したいので、初見の人や不慣れな人を歓迎しなかったり、装備が一定の水準を超えていない場合はパーティに入れないという選別が行われる。TERAにおいて、ベテランプレイヤーと新規・復帰プレイヤーの溝は全く埋まらないまま、長い年月が経過して人が減り続け、サービス終了に至ったと考えるのが妥当だろう。

この溝を埋めようとして、強力な装備を無償で配布するような事をするMMORPGも散見されるが、本末転倒である。

特にTERAは長年に渡るアップデートにより、レベルキャップまでの過程をほとんど省略した。新規プレイヤーはずっと一人でプレイしてカンストした後、急にパーティプレイを要求されることになる。そして、それまで体験しなかったようなストレスを感じ、ゲームを去っていくのだ。

フレンドやギルドメンバー同士と、あるいは自然な流れで自らパーティを組んで遊ぶようになるのと、パーティを組んで攻略せよと強制するのでは、同じパーティプレイでも全く別物だと言っていい。

新規が増えず、プレイヤーが減っていくのであれば、既存のプレイヤーから大きな利益を上げる他なく、Pay-to-Winの重課金ゲームに成らざるをえない。

テーマパーク型MMORPGはコンテンツ不足から逃れられない

TERAは初期の頃から「コンテンツ不足」に悩まされたゲームだ。

かつて、「エバークエスト」シリーズ等で知られるSony Online Entertainmentの社長だったジョン・スメドレー氏は自身のブログで「コンテンツ主導型のMMOは持続不可能」という意見を述べたことがある。
SOE社長 「コンテンツ主導型のMMOは持続不可能。業界が目指すべき場所ではない」

まるでテーマパークのアトラクションのように、クエスト、ダンジョン、レイド、ハウジング、ミニゲーム、PvP等、様々なコンテンツが実装されており、プレイヤーはゲームから提供されたものを攻略していくのがテーマパーク型MMORPGの特徴だ。

テーマパーク型MMORPGの弱点はコンテンツ不足に陥りやすいということであり、プレイヤー側のコンテンツ消費速度に開発側のコンテンツ実装速度が追いつかないために発生する。

ダンジョンやレイドのようなコンテンツをリッチなものにしようとすればするほどコストが嵩み、開発期間が長くなるものの、プレイヤーはそれをほんの数日、あるいは数時間で攻略し終えてしまうためだ。

少なくとも2011年の段階では、プレイヤー達のコンテンツ消費速度はTERAの開発チームの想定を大幅に超えていたように思える。

Blizzard Entertainmentは、”アップデートがあった時だけ一時的に「World of Warcraft」に戻ってくるサイクルは問題ない”という考えを示した。20年前は、「なるべく月額課金を続けて長くプレイし続けてほしい」というのがMMORPGの常識だった。しかし考え方は変化し、「遊べるコンテンツが尽きたら次のアップデートまでは他のゲームをやっていてください」というのが近年のテーマパーク型MMOのスタンスだ。
「アップデートがあった時だけ一時的に戻ってくる“サイクル”は問題ない。」WoWリードデザイナー

しかしTERAの場合、メインストーリーの内容が取るに足らなかったり、レベルキャップまでの過程が省略されすぎていて味気なかったりと、プレイヤーに「また戻って来たい」と思わせる魅力が希薄だった。TERAは「次のアップデートでまた復帰したい」と思える環境が十分に構築できていなかった。

エリーンのおかげもあり(?)、数多のMMORPGの中ではTERAはまだ上手くいった方だ。TERAより短命に終わったMMORPGは多い。しかし、TERAも2010年代のMMORPGとしては根深い問題を抱えていたように思える。

TERAの海外サービスはまだ継続しているが、ひとまずハンゲーム時代から11年続いたTERAの国内サービスは幕が下りることになる。

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