中国のアニメ系ソシャゲ市場に異変?夏の中国市場はスタレや原神でもなく『あの漫画原作ゲーム』に軍配が上がる

業界

近年、中国のゲーム市場でアニメルックのモバイルゲームが人気や収益の面で頭角を現しており、2024年も「鳴潮」や「ゼンレスゾーンゼロ」といったビッグタイトルがリリースされた。

しかし、2024年の夏休みシーズンに、最も利益を上げたアニメ調グラフィックのゲームは「原神」や「崩壊:スターレイル」のような人気タイトルでもなければ、リリースされたばかりの「鳴潮」や「ゼンレスゾーンゼロ」でもなかった。

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2016年にリリースされた「NARUTO モバイル」が中国で8月の売上トップに

2024年8月の中国スマートフォンゲーム市場における、アニメルックゲームの最上位は「NARUTO モバイル(火影忍者手游)」だった。

中国iOS市場におけるアニメルックソーシャルゲームの8月売上

  1. NARUTOモバイル
  2. 崩壊:スターレイル
  3. 原神
  4. ゼンレスゾーンゼロ
  5. アークナイツ
  6. FGO
  7. 鳴潮
  8. 陰陽師
  9. スノウブレイク

中国のスマートフォンゲーム市場全体では「王者栄耀」「PUBGモバイル」「アラド戦記モバイル」といったタイトルが最上位に位置している。アニメ調グラフィックの中でNARUTOが最上位だったという意味だ。

「NARUTOモバイル」は2016年に中国のテンセントからリリースされ、今でも根強い人気を誇っている。尚、このゲームは日本では配信されていない。

近年のトレンドとは一線を画すゲーム内容

NARUTOモバイルは原作漫画のストーリーが完全に再現され、ハイクオリティなCGアニメーションが挿入されるなど、原作ファンはもちろん、NARUTOを知らない人でも楽しめるように設計されている。

格闘ゲーム風の戦闘が特徴だが、本作には「PvP」が実装されている。PvPはリアルタイムと非同期型の自動戦闘の両方があり、ランキングにも対応、このゲームのコンテンツの中核を担っている。

近年主流となった中国産アニメルックモバイルゲームの多くは、PvPは導入せずPvEが中心となっているものが多く、ランキングがあったとしても直接的な対戦は行わないものがほとんどだ。

本格的なPvPを実装していることは、NARUTOモバイルが異なるユーザー層にアプローチすることに一役買っている。

NARUTOが売上トップになった理由はあらゆる面の「安定性」

NARUTOモバイルのデイリーアクティブユーザーは2024年5月時点で1000万人に上るとされている。古参プレイヤーが残り続けるだけでなく、新規プレイヤーも獲得するという非常に健全な状態のようだ。

中国のゲームショー「ChinaJoy」に出展されたNARUTOモバイル

人気を維持し続けている理由には「安定」が挙げられており、NARUTOという世界的な人気作を原作としているため、人気が最低限保証されていることに加え、ストーリーやキャラクターの面でブレがない

近年の中国のアニメ調のスマートフォンゲームでは、バージョンごとにストーリーやキャラクターに対する評価が大きく変わり、それによるユーザーの増減も尋常でないが、NARUTOモバイルは既に完結した原作準拠なため、そのような問題が生じない利点がある。

NARUTOモバイルはY世代(80年代~90年代生まれ)が中心となっており、ユーザーコミュニティが成熟しており、比較的コミュニティの雰囲気や民度が良いというのも、人気が維持されている理由の一つだろう。

また、PvPがメインコンテンツの一つとなっているため、プレイヤーのコンテンツ消費に影響されづらく、ユーザーを維持しやすいというのもNARUTOモバイルの強みとなっている。

過去数年でアニメルックモバイルゲーム市場には数々のメーカーが参入し、ユーザーの分散も著しい。様々なタイトルがユーザーも利益も奪い合う状況の中で、「ベテラン」のNARUTOモバイルが、他のタイトルと異なる魅力で1人抜け出したというわけだ。

もちろん、他の人気タイトルのアップデートが上手くいくことで収益を伸ばしてNARUTOを上回る可能性は高いだろう。しかし、日本の漫画原作で8年も前のゲームが、新しいゲームと互角以上に渡り合っているというのは興味深い話だ。

参考:GameLook

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コメント

  1. 匿名 より:

    人気IPの古いゲームが強いのは日本も一緒だろ

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