死にかけたオンラインゲームを復活させる職人「Valofe」はなぜやっていけるのか?インタビュー要点まとめ

業界

サービスが終了してもおかしくないゲームの運営移管を引き受けたり、一度サービスが終了させたゲームを復活させることで知られるValofe社

Valofeは、「アトランティカオンライン」「ソウルワーカー」「Bless Unleashed Global」「ルニアZ」「C9」といったゲームを運営している。全て他のパブリッシャーから移管されたものだ。

なぜ他のメーカーが諦めたタイトルの運営だけでやっていけるのか。Valofeのシン・ジェミョン社長へのインタビューの要点を以下にまとめた。

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インタビュー要点まとめ

「リパブリッシングプラットフォーム企業」

  • Valofeはグローバルゲームリパブリッシングプラットフォーム会社として定義している
  • 当初は普通のパブリッシャーだったが、2017年からリパブリッシングを始め、それを基盤に会社が成長した
  • 構造的にはパブリッシングと同じだが、Valofeは開発を自社で直接行っている
  • 一般的なパブリッシャーは開発はしない
  • Valofeではソースコードも受け取って直接開発をしている
  • 新作ではなく旧作を対象としているのも特徴
  • リパブリッシングを始めたきっかけは、偶々某開発会社から提案されたこと
  • 営業をしてみると意外とニーズがあった
  • シン・ジェミョン社長が過去にNHNやNeowizで海外セールスを担当していたことが役立った
  • これらのゲームがどの国で上手くいき、どの国で好評だったのかわかっていた
  • このゲームは、あの時あの国でなら上手くいったはず」とピンポイントでマーケティングするのに役立った

移管引き受けの判断基準

  • 移管を引き受ける基準は、コアユーザーがどれだけいるかが最重要
  • 対象地域が韓国である必要はない、ドイツだろうとトルコだろうと構わない
  • コアユーザーがいるならどの国でもリパブリッシングに適している
  • 大手企業でもリソースは限られているので、まだ運営したくても切らければならないタイトルが出てくる
  • Valofeの登場によって、運営だけでなく開発まで移管するという選択肢が生まれた
  • 移管する企業はIPは残せる。Valofeに開発権と運営権だけ渡してロイヤリティを受け取る
  • IPホルダーからすると、赤字のゲームを手放しつつも、権利料を受け取れるので、移管を断る理由がない
  • ロイヤリティは10~15%程度

古いコードを苦にしないValofeという組織

  • 移管されるゲームの多くは10年~20年前の『レガシーコード』
  • ゲームエンジンも今では使われていないものが多く、独自エンジンのゲームもある
  • これらのゲームは多くがC++で開発されているが、C++のプログラマーを獲得するのが難しい
  • 普通のプログラマーは他人が書いたコードを解析することを好まない
  • Valofeには9年間でそれを苦にしない開発者が集まった
  • 古いゲームを分析するノウハウも蓄積している
  • 社員の年齢層は少し高めで、求人の際に「新作を作りたい」と考えている人はあまり採用しない。すぐ辞めてしまう
  • 他社の古いゲームを解析して再び動かせる人達が集まっているのがValofeという会社
「アトランティカ オンライン」

Steamはインフラまでは与えてくれない

  • Valofeの開発拠点は韓国・中国・ベトナムに分散されている
  • 全体で200人程度で、中国だけで100人
  • ドット絵や2Dのような韓国で採用しづらい職種は、中国やベトナムで人材を引き抜き、研修させている
  • 難易度が高い開発や品質が求められるものは韓国で独自に行っている
  • 昨今、全世界のゲームパブリッシング市場が苦境にあり、以前はタイやインドネシア、ドイツなどにパブリッシャーが幾つもあったが、そういった企業の廃業が相次いでいる
  • 開発会社はSteamでサービスを提供するしかなくなった
  • Steamはユーザーを与えてくれるが、インフラやカスタマーサービスは用意してくれないので開発会社が自分達でやるしかない
  • 一方、Valofeは独自にサービスを運営できるインフラを全て持っている
  • 英語圏の運営はフィリピンで行っている。日本にも運営会社がある。香港で中国向けの事業戦略

AI利用により1年かかるものが5日で終わる

  • AIを積極的に使っている
  • 大型のゲームは全体を把握するのに時間がかかる
  • 人間なら1年かかる分析を、AIなら5日程度で完了し、wikiにしてくれる
  • アート部分にも生成AIを導入して効率的に進めている
  • ただし、「ラストオリジン」ではユーザーが嫌うので生成AIアートは使わずに人間が描いている

葬儀屋から治癒師に

  • Valofeは以前、ゲーム業界の「葬儀屋」と呼ばれていたが、最近は「治癒師」と呼ばれるようになった
  • ゲームを引き取って最後を看取るという意味で葬儀屋と言われていた。蘇生はしても殺したことはない
  • 転換点は「ラストオリジン」だった
  • 当初は「Valofeに渡ったらサービスが終わるのでは?」と不安視されていた
  • 積極的にアップデートをし、コンテンツを追加、公式生放送でプレイヤーと対話するなどした結果、「本当にこのゲームは続くらしい」という信頼が生まれた
  • 移管されたタイミングでは、開発リソースがほとんどなくなっていて、アップデートができない場合が多い

運営移管より「復活」の方がやりやすい

  • サービスがまだ継続中のゲームを引き継ぐより、サービスが終わったゲームを復活させる方がやりやすい
  • 運営中のゲームは問題を改善するのが容易ではないので、まずは「このゲームのサービスは終わらない」という安心感を与えるのが重要
  • 一方で、サービスが終了したゲームは、過去の問題点が全てわかっている
  • 課金形態やゲームシステム、バランスなどを根本から直してもプレイヤーがいないので反発がない
  • サービスが終了したゲームには、「どのパッチが不評だったか」、「何をしてユーザーの信用を失ったのか」「どのバグが致命的だったか」という記録がある
  • サービス復活はタイムマシンに乗って過去の失敗を繰り返さないようにするようなもの

復活できないゲーム

  • ユーザーが復活を望むタイトルもたくさんあるが、権利者が「IPを貸したくない」と拒絶する場合はできない
  • IPを本当に大切にするならサービスを続けるべき。眠らせておいたらIPの価値が保たれるなんてことはない
  • Valofeは「ユーザーとの接点を持ち続けてこそ、IPに力が生まれる」と考えている
  • 権利関係が複雑すぎるゲームも復活できないことがある
  • メーカーが既に廃業していたり、権利が誰に帰属しているのかわからなくなってしまっている作品もある
  • ゲームのソースが完全に行方不明なものも復活が難しい
  • 過去に、タイのゲーマー達から必ず復活させてほしいと言われ、現地のパブリッシャーを訪ねたことがあった
  • 有名なゲームだったが、その会社にもソースが残っていなかったので、プライベートサーバーのソースを入手し、リバースエンジニアリングで復元したことがある
  • 技術的には復活可能だったが、権利者が許可しなかったため復活させられなかった

新作より圧倒的に安い宣伝費

  • 赤字状態のゲームでも、移管してから6ヶ月で黒字化できるケースが多い
  • サーバー統合、クラウド最適化、ネットワーク最適化、中国・ベトナムへの開発移管、人員削減などで固定費を減らせる
  • サービスが終了したゲームの復活では、再構築に1年ほどかかる
  • サービス再開から約6ヶ月で開発費を回収できるケースが多い
  • 「R2Beat」というゲームは復活初年度に約9億円の売上があった
  • サービス復活の4~5か月前にフォーラムを開設すると昔のプレイヤー達が集まり、コミュニティが自然発生した
  • UA広告も出すが、新作のように何億もかけてマーケティングはできない
  • リパブリッシングは、適切な作品を選び、最適な場所に向けてだけ宣伝すれば、高ROIのビジネスになる
  • 運営を引き継いでみると、「エミュレーションサーバー」もかなり多く存在することに気づいた
  • IPホルダーから委任状を受け取り、Valofeが代わりに取り締まっている
  • 古いゲームはセキュリティが弱く、エミュレーションサーバーが多いが、積極的に取り締まらないメーカーも多く残念
  • Valofeは積極的にエミュレーションサーバーを排除していく方針

旧作にも注目が集まる理由

  • 「EverQuest Legends」や「Guild Wars Reforged」、その他様々なゲームのクラシックサービスやリマスターが出ているなど、過去のゲームに再び注目が集まっている
  • 映画でも音楽でも、他の分野にも、一定期間が過ぎるとまた脚光を浴びるトレンドがある
  • また、新作の成功率が落ち続けているので、開発会社も安定を追求するために過去にヒットしたものに回帰するのではないか
  • 昔のゲームは売れるかどうかに関係なく、様々なテーマに挑戦していたが、最近は題材が似通ってきたように感じる
  • 昔のゲームの方が新鮮に見える事もある
  • 世界中のゲーム市場がレッドオーシャン化し、自然とリパブリッシングというニーズが存在するようになった

コメント

  1. 匿名 より:

    FEZ・TERA復活させて

  2. 匿名 より:

    TERA、もっかいやりたいよなぁ

  3. 匿名 より:

    三国志オンライン
    復活してくれないかな…

  4. 匿名 より:

    今どき貴重な企業

  5. MMOソムリエ より:

    いくらユーザーが望んでても金に困ってない大手は墓場まで持っていくだろうしな

  6. 匿名 より:

    bless unleashedがストーリーまで追加して更新してんのビビったんだよな…

  7. 匿名 より:

    ここのタイトル1つやってるけど、更新速度遅いから「週20時間も費やせないし月額1000円ぐらいで軽く遊びたい」ぐらいの人はむしろカッチリ嵌まるんだよね

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