ネクソン傘下のTHING SOFTで開発されていたMMORPG「ペリア・クロニクルズ」の開発中止が8月27日に明らかになった。

本稿では、「ペリア・クロニクルズ」のこれまでの歴史を振り返る。
2010年 開発会社THING SOFT設立

ネクソンの元CEOが2010年に「THING SOFT」を設立した。
この時点で「セルアニメ風のMMORPGを開発する」ということが明かされていた。
2011年 「Project NT」発表

2011年6月にTHING SOFTは「Project NT」を初公開した。
この当時のMMORPGが慢性的に抱えていたのが「コンテンツ不足」という問題だった。
ペリア・クロニクルズの開発陣は、MMORPGの最初の3ヶ月を「魔の3ヶ月」と呼び、これを克服するためにプレイヤー自らコンテンツを制作できるようなシステムを目指していた。
クエストなどのコンテンツはもちろん、街やフィールドを作ったり、更にはカットシーンまでプレイヤーが自ら制作できるというコンセプトを掲げていた。

2012年 映像初公開。ネクソンとパブリッシング契約
2012年には「Project NT」の映像が初めて公開された。
この映像はネクソンのプレスカンファレンスで公開されたものであり、この時点でネクソンがTHING SOFTとパブリッシング契約を締結したことが明らかになった。
この当時、ネクソンは「マビノギ2」を発表していたが、マビノギ2がマビノギと雰囲気もコンセプトも大きく異なる戦闘中心のゲームだったことから、Project NTが真のマビノギの後継作だと言われるほどだった。(マビノギ2の開発も中止された)
この時点では、Project NTは2013年にクローズドβテストを行うと告知されていた
2013年 正式タイトルが「ペリア・クロニクルズ」に
2013年10月、ゲームショー「G-STAR」を前にして、「Project NT」の正式名称が『PERIA CHRONICLES』に決定したことが発表された。
また、ネクソンはTHING SOFTを買収したことを発表。正確にはネクソンの子会社のNeopleがTHING SOFTの株式を買収した。これにより、THING SOFTはネクソンの「孫会社」という立ち位置になった。

2013年 新規映像・ゲーム情報等一挙公開
2013年11月のG-STARにあわせて、「ペリア・クロニクルズ」の新情報が大量に公開された。
作品の世界観や、戦闘の様子、地形を変えたり建物を配置したりといったサンドボックス要素も詳細に紹介された。
一方で、クローズドベータテストは延期された。
2014年 新規トレーラー公開もベータテストは再延期
2014年には新たなトレーラーが1本公開された。
しかし、ネクソン側は「プレイヤーにお見せできるほど開発が進んでいない」と明らかにし、G-STARへのプレイアブル出展も、クローズドベータテストの実施もなかった。
このタイミングで複数の新規イラストも公開された。




2016年 開発が難航していることが判明
2016年9月、1年以上に渡る長い沈黙が破られた。
ペリア・クロニクルズの開発自体は継続されていたものの、複雑すぎるシステムの設計で問題が生じ、開発が難航したということだった。
一方で、公式Facebookページがオープンし、ゲームの世界観などが説明されるなど、ペリア・クロニクルズは再び動き出したように思えた。

2016年 体験版が初プレイアブル出展
2016年11月、THING SOFTは新たなトレーラーを公開し、さらにG-STARにプレイアブル出展することを発表した。
初めてペリア・クロニクルズを一般のユーザーが体験できる場が設けられたのだった。
しかし、体験版をプレイした来場客の反応は悪く、ネクソンとTHING SOFTは「2017年には必ず改善された姿でCBTを行う」と約束した。
2017~2018年 2年間の沈黙
ペリア・クロニクルズは再び音沙汰がない状態となる。
THING SOFTは「ペリア・クロニクルズ」のリリースが最優先課題だとしていた。
この頃、ネクソンはモバイルゲームの開発に重きを置くようになっており、ネクソンのプレスカンファレンスで発表されるのはモバイルゲームがほとんどになっていた。また、ネクソンのロードマップからもペリア・クロニクルズが姿を消した。
元開発者がSNSで暴露した情報によると、ペリア・クロニクルズが実装しようとしているクラフティングシステムは、ゲームサーバーの処理の限界を超えており、ライブサーバー上で実行不可能だったという。元のコンセプトを完全に実装するには「いったいどれだけ時間がかかるのか予想できない」と内情が明かしていた。
2019年4月 クローズドベータテスト実施発表
2019年4月、再び沈黙が破られる。
THING SOFTはアニメーション映像と共にクローズドベータテストの実施を発表した。
2019年5月 最初で最後のクローズドβテスト
2019年5月9日~12日の4日間、ペリア・クロニクルズのクローズドベータテストが実施された。
しかし、このクローズベータテストは「酷評の嵐」となった。
「本当に9年間開発したのか?」と言われるほど完成度が低い状態だったという。
2019年8月 ペリア・クロニクルズ開発中止
クローズドベータテストへのプレイヤーの反応が決定的となり、8月27日に開発中止が明らかになった。
海外メディアの報道によると、THING SOFTの買収も含めたネクソンの「ペリア・クロニクルズ」への投資は8年間で50億円を超えており、ネクソンとしても許容できない程に膨らんでしまっていた。
こうしてペリア・クロニクルズは世に出ることなく、闇に葬られることになった。



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