MMORPGは長年かけて改善され、進化してきた。
MMORPGで昔はよくあったが、最近ではほとんど見なくなった問題点のトップ10を、海外のオンラインゲームサイトMassively Overpoweredの記事「MMO problems we don’t really have these days」(最近はあまり見かけないMMOの問題)から紹介する。

1. 長い移動時間
ファストトラベル、拠点移動、空飛ぶ乗り物で高速移動、リターン、スクロールで任意の場所にワープ、さらには自動移動といった便利な移動システムが最近ではほとんどのMMORPGにも存在するが、昔はこれらがない、あるいはもっと限定されたもので、長距離を長い時間かけて移動しなければならないことも多かった。
最近では珍しく、「黒い砂漠」はこれらの便利移動システムを取り入れないゲームデザインを選んでいるが、それ以外のタイトルにはほぼ便利な移動システムが存在している。
2. 頻繁なロールバックと長時間のサーバーダウン
近年でもサーバーの巻き戻しや半日程度のサーバーメンテナンスは存在するが、幸いなことに、丸一日あるいは数日間サーバーがダウンすることはめったに見られない。また、サーバーのロールバックが行われればニュースになるほど珍しいものになった。
問題への対処のノウハウも確立され、何日分も、何週間分もデータが巻き戻されることは少なくなった。
3. ボスが出現するのを見張る
クエストの敵が湧くのを数分「待つ」のは今でも多いかもしれないが、レアアイテムをドロップするボスがフィールドに出現するのを何時間も見張り、リスポーンしたらギルドメンバーを呼んで討伐するという、「camp」をしなければならないゲームも減った。
これは上位1%、いや上位0.01%のプレイヤーのコンテンツと批判されることも多かった。
最近では、討伐に参加したプレイヤー全員が報酬を得られるといった解決策や、そもそもこういったボスモンスターを配置しないという解決策が取られている。
4. 厳しすぎるデスペナルティ
近年のMMORPGのデスペナルティは、少しのゴールドを失うか単に拠点に戻されるか、武器のエンチャントに損害があるという程度だが、昔のMMORPGでは死亡したら何時間もかけて獲得した経験値を失ったり、アイテムを落としたり、重いデスペナルティが科せられていた。
中には、デスペナルティで経験値を失い、レベルが下がってしまうという恐ろしいものもあった。死を回避する緊張感はあったが、多くのプレイヤーにとって歓迎できるシステムでなかったのが事実だ。
5. 恐ろしく醜いグラフィックス
黎明期は、2DグラフィックスのMMORPGもまだ多かったが、積極的にフル3DグラフィックスのMMORPGを作るメーカーも多かった。
しかし、MMOであるため負荷も高く、当時のPCの性能も考慮すると、実現可能な3Dグラフィックスには限界があった。
そのため、不気味の谷現象が直撃するような3DCGが特に欧米のMMORPGに多かった。
2000年代後半にはMMORPGのグラフィックスが大幅に良くなり、昔では考えられないような美麗な映像を堪能することができるようになった。
その一方で、開発の負担は大きくなっており、最近ではアルゴリズムに基づいて自動的にマップ等を作るプロシージャル生成を利用するゲームも増えている。
6. わずかなソーシャル機能
パーティ機能、ギルドの機能、フレンドリスト、ブロックリスト、チャットチャンネル、グループファインダー、パーティ募集掲示板など、ゲーム内のコミュニティを支える豊富なシステムは本当に長年かけて培われたものだ。
昔のMMORPGには本当に簡単なソーシャル機能しかなく、しかも使いづらいという問題があった。
UIで直接操作できずテキストコマンドを入力しなければならないものも少なからず存在した。
その一方で、便利になったがゆえに知らないプレイヤーとの直接のチャットが減り、コミュニティが上手く形成されないという別の問題が浮かび上がっている。
7. 選択肢がほとんどない、たったひとつの料金形態
近年は基本プレイ無料のアイテム課金制のゲームが増えたが、その昔は月額課金制、あるいはパッケージ+月額課金というMMORPGがほとんどで、ベータテストに参加していないと課金する前にゲームを試しに触ってみることすらできなかった。
昨今は、月額課金制のゲームでもお試し期間で序盤だけ無料でプレイできるという仕組みを設けていることが多いため、プレイしてから課金するかを判断できる。
基本プレイ無料のゲームは敷居が低いという利点があるものの、ゲームのバランスを揺るがす”Pay to Win”の課金アイテムの存在が問題となる場合も多く、一概に基本プレイ無料が優れているとは言い難いのは確かだ。最近は、基本プレイ無料だが月額課金制のプレミアムサービスのあるMMORPGも増えた。
8. チャットでアイテムを売る/買う相手を探す
今でもチャットでの売買がないわけではないものの、多くのMMORPGにはオークションハウスのような委託取引所が存在するため、わざわざ取引チャンネルやシャウトで取引相手を探す必要がなくなった。
キャラクターを放置して露店を開くというシステムすら今はレアなものになっている。
「問題」というわけではないが、徐々に減ってきている慣習だと言える。
かつてEverQuestでは、プレイヤー達自ら安全な場所に集まってそこで取引が行われるうちに、その場所がいつの間にか市場のようになっているということもあったようだ。(East Commonlands Tunnel)
9. マップやレーダーがない
今では当たり前のように画面上に存在するレーダーがないMMORPGも少なくなかった。
中にはマップすらないものもあったとか。
10. ステ振りミス
近年のMMORPGでは、レベルアップ時に自動的にステータスが上昇し、さらに職業に合ったパラメータ配分も自動化されているため、何日もプレイした後にステ振りのミスに気づいて後悔する、あるいはポイントの振り直しをするといったこともめったに見られなくなった。
スキルポイントの割り振りはまだ多く存在するが、それでも振り直すために課金が必要というようなゲームは減った。
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