海外ブログのLvl-42によると、ガチャやロックボックスといったランダムでアイテムが取得される仕組みを使う事で、課金アイテムとして直接購入するよりも理論上では1500%高い収益が見込めるという

近年のスマートフォンゲームでもはや当然のものとなった『ガチャ』のようなランダム型の課金に疲弊し、「高くてもいいから直接販売してくれたらいいのに」という人もいることだろう。しかし今回紹介されたデータを見ると、直接販売はしない理由を察する事ができる。
海外ブログLvl-42は、アイテムをガチャやロックボックスのような確率型で販売した時と、課金アイテムとして直接販売した時の必要費用の差に関する理論値を算出した。
「ロックボックス」というのは基本的にはガチャと同じで、中にランダムにアイテムが入っている箱の事。海外のゲームではガチャよりも一般的。
今回検証では、MMORPG「Guild Wars 2」が使用された。Guild Wars 2のWikiにはユーザーからの情報を元に各アイテムのドロップレートが掲載されているため、これが活用された。
Bank Accessという比較的レアリティの低い課金アイテムは、課金アイテムショップでは1個0.44ドルで販売されているが、この課金アイテムはロックボックスでもランダムで排出される。
Wikiのデータでは、Bank Accessは18.2%のドロップレートとなっている。
209個のBank Accessを入手するために必要な費用は以下のようになる。
■直接購入
1個の入手費用: 0.44ドル
合計購入費(209個分): 91.44ドル
※複数個セットで販売されている■ロックボックス(ガチャ)からの排出
1個の入手費用: 6.36ドル
開けたロックボックスの数: 1067個
ロックボックスの合計購入費: 1328.42ドル
このデータによれば、Guild Wars 2において「Bank Access」という課金アイテムを入手しようとした際、これをロックボックスで入手しようとすると、課金アイテムとして直接購入するよりも理論上は14倍以上の費用がかかるという計算になる。
運営側からすれば、直接販売するよりもロックボックスで販売した方が14倍儲かるということになる。
このBank Accessは排出確率が高いアイテムだが、同ゲームにおいて排出確率が非常に低い他のアイテムで同様の計算をして比較した場合、推定費用は直接購入するよりも125倍も高くなる可能性があるようだ。
現在流行っている多くのスマートフォンゲームやソーシャルゲームでは、ガチャで入手できるレアなキャラクターやアイテムを課金によって直接購入することは不可能な事がほとんどだが、Guild Wars 2はロックボックスで排出されるアイテムが課金アイテムとしても直接販売されている場合が多いためこの計算が可能となっている。
したがって、このデータを見るまでもなく直接買った方が安いというのは誰でもわかるのだが、Guild Wars 2のように直接購入もできる選択肢があるゲームの方がむしろ少ない。ほとんどのスマートフォンゲームやソーシャルゲームでは、ガチャから出てくるアイテムやキャラクターの1個あたりの価格はガチャの確率要素を含んだ金額でしかなく、ユーザーに選択肢は与えられていないのでその点は留意しておく必要がある。
同ブログのライターは「ロックボックスが理論的には直接販売よりも桁違いの収益を上げているというのを理解するのは難しくありません。ビジネスの観点からは、魅力的なアイテムを確率要素のある仕組みの中に入れて鍵をかけるのは理にかなっています。しかし、現時点ではレアアイテムが手に入る“確率”にお金を使うというのはゲームと言うよりもギャンブルに近いです。」としている。
今回紹介したのはあくまでもギルドウォーズ2の課金システム上における理論値でしかないが、ソーシャルゲームにおいても、そのプレイヤー層、料金形態、ゲームシステム、プレイヤーの心理、を考えた場合、現状ではレアなアイテムを高額で直接販売するよりも、ガチャ等の確率型の課金での入手に限定する方が圧倒的に高い収益を上げる事ができるのは明らかである。
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