中国オンラインゲーム関連企業ChangYou(暢遊)の運営統括本部長の瑋峰氏がゲームメディアのインタビューに応じ、中国オンラインゲーム市場の現状について語った。
ChangYouは7月に行われた新作の発表会”GAME+”で、「BLESS」「Kingdom Under Fire II」「Black Sheep」「EOS」「ASTA」といった韓国産オンラインゲームの中国サービス及びローカライズを一挙に発表した。
本稿では、インタビューで語られた中国のオンラインゲーム市場の動向を簡潔に紹介する
市場規模
- 2013年の中国のオンラインゲーム市場規模は536.6億元(約8784億5600万円)
- 中国のゲーム市場全体の64.5%がオンラインゲーム
- モバイルゲーム市場は200億~300億元(3000億~5000億円)
- 昨年からのオンラインゲームの年間成長率は10%程度に留まっている
- オンラインゲームのユーザー数は停滞しているかほんのすこし増えた
- 顧客の消費レベルが増えて10%ずつ成長している
- リーグ・オブ・レジェンズのように競技性が強いゲームはネットカフェのシェアが大きく、RPGは家からの接続が多い
- ChangYouのゲームの場合、80%のユーザーは自宅から接続している
同接100万クラスのメガヒットは過去のもの?
- ChangYouの場合、オープンベータテスト以降でアクティブユーザー数がOBT時より増えたら成功とみている
- 同時接続数100万、200万、300万クラスの成功は「天時」「地利」「人和」の三拍子が揃わないと無理
- 黎明期には「クロスファイア」「アラド戦記」など同接100万クラスは多かったが、最近は数年に1本出るかどうか
- 契約金の基準とは関係なく、最近では同接20万程度なら成功(5~10万を着実に維持できれば成功との見方も)
- 2009年~2013年に同接10万人を達成したゲームは5分の1くらいだった
- CBTは実施したが、OBTまで行けなかったゲームが50%程度あった
- 契約はしたが1次CBTにすらいけないゲームも多かった
- トップ企業が契約をしたがサービスを開始できなかったものも含めると、同接10万人を達成しているのは10%にも満たない
中国産ゲームの特徴と韓国産ゲームとの違い
- 良い物を選んでいる分、韓国のゲームを基準にすれば中国での成功率は高め
- 中国のゲームはコミュニティ機能が優れている
- 中国ではコミュニティがゲームを生かしているといっても過言ではないほど重要
- ユーザーがゲーム内で出会ってコミュニティが出来ると長期間ゲームをプレイしてくれる
- ギルドなどのコミュニティがまるごと別のゲームから移ってくることも多い
- コミュニティがゲームに入ってきやすく、楽にゲームを遊べる機能が重要
- 中国で2つ目に重要なのはコンテンツの量
- 中国産オンラインゲームは韓国産ゲームより遥かに多くのコンテンツを提供している
- 1日8時間プレイするコアゲーマーが6ヶ月間プレイを継続しても問題ないほどの量をOBTの時から用意している
- 「天龍八部」や「完美世界」などがその典型例
- TencentやShandaが韓国産ゲームのパブリッシングをする際に、ローカライズでこれら2つの点(コミュニティとコンテンツ)に特に気をつけている
- 中国と韓国とユーザーではプレイの習慣が異なっている
- 中国のユーザーはゲームに初めてログインした後の詳しいチュートリアルやガイドに慣れている
- 中国のゲームには関係者から見ても過剰なほど細かなガイドが実装されている
- 一方、韓国のユーザーは新しいことにぶつかっても調べて解決することに慣れている
- 韓国のゲームには詳しいガイドが少ないため、中国に進出する際に初心者ガイドをたくさん追加しなければならない
「BLESS」「Black Sheep」「Kingdom Under Fire II」「EOS」「ASTA」を選んだ理由
- ここ数年で中国に進出した韓国産の大作ゲームは2009年の「Aion」、2013年の「Blade & Soul」程度だった
- 2016年にロンチできる大作を探していたら、「BLESS」にスケールや求めていたゲーム性があったので契約した
- 「Black Sheep」は開発会社のエンジン技術や新たな技術面の挑戦が印象的だった
- 売上予想では、BLESSは初期のAion程度、Black Sheepはドラゴンネスト程度
- (※Aionの中国での最大同時接続数は80万人、ドラゴンネストは70万人)
- BLESSは中国で高い注目を集めている
- 中国のユーザーが今最も期待しているオンラインゲームは「BLESS」と「リネージュエターナル」
- 対外的な広報が多くなったのでBLESSは多くのユーザーに知られており、期待を集めている
▼BLESS
- 「EOS」や「ASTA」を契約した時はまだ韓国でロンチ前だった
- 開発組織の理念と開発方法、開発能力が、中国でロンチした際に成功する確率が高いと判断した
- EOSは印象も良かったし、コンテンツ量やシステムも準備されていた
- 中国産ゲームではOBTから1年後に実装されるような物が韓国OBTの時に既に備わっていた
- 「ASTA」はコンセプト自体が独特だった。普通のゲームでは失敗する可能性が高いが、特色のあるゲームは成功する可能性が高いと判断した
- 「Kingdom Under Fire II」は技術面での強みがあった。ゲームエンジンも強力だったし、開発ツールがよく出来ていた
- 以前にコンソールゲームを作った経験があるBluesideの技術力に対する信頼に基いて契約した
- KUF2のゲームプレイとグラフィックスコンセプトは中国にはこれまでなかったゲームだと判断した
高めの動作環境は中国ではもう問題にならない
- 動作環境が高いゲームもそうでないゲームも契約している
- 中国ではもう動作環境自体が問題ならない状況になっている
- ブレイドアンドソウルはロンチ後に同時接続数100万人以上だった
- その後コアゲーマーはグラフィックスカードを交換するなどしてスペックを向上させている
- 今後数年間はスペックが特別に問題になることはないとみている
- 中国でもモバイルゲーム市場が大きくなり、オンラインゲームが相対的に困難を強いられている
- 開発会社やパブリッシャーへの要求も高まっている
- 昔よりも集客や初心者ガイド、定着できるコミュニティ性の部分がよくなければならない
- このため、開発会社とパブリッシャー間でのより緊密な連携が重要になった
- ユーザーのフィードバックに開発会社がすぐに対応してくれることが重要になった
- 中国でのマーケティングも以前より難しくなった
- 以前は、今よりも簡単なマーケティングをしていても、ユーザーがゲームに参入してくれていた
- 今では数倍かけても以前ほど簡単ではない
- 一人でゲームにやってきたときに続けてゲームを楽しむことができる高いサービスを提供しなければならない
情報元:THIS IS GAME
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