ゲームソフトやハードウェアの技術分析を行っているDigital Foundryは、PS5の上位モデルである「PlayStation 5 Pro」の価格設定やゲーミングPCとの競合について意見を交わした。
長文を読むのが面倒な人用のまとめ
以下、Digital Foundryのスタッフらによる議論の文字起こし・翻訳。
PS5 Proの699ドルという価格に対する印象
リチャード・レッドベター:
価格について話しましょう。ついに発表されましたが、反応はひどかったですね。700ドル、700ポンド、そして日本では12万円です。縦置きスタンドは別売りですけど心配いりません。おそらく、スリムモデル用のスタンドと同じものだと思います。
リチャード:
いくつか視聴者のコメントを取り上げましょうか。Taggen86さんからです。「今回はEUとアメリカでどうしてこんなに大きな価格差があるのでしょうか?こちらでは799ユーロですが、これは私が昔買ったPS4 Proの399ユーロという値段のちょうど2倍です。」
Macky Deeさんのこんな意見もあります。「正直、これは非常識な価格ですね。明らかにPS5 Proの価格が当面の話題になりますよ。だって、世代中盤に出てくる製品としては相当な値段ですから。これは本当に熱心なファンか、裕福な人々、ほんの一部の人たちのためのものです。でも、今世代では価格が全然下がっていませんから、次世代ゲーム機も大幅な価格上昇になるんでしょうか?800ドルでなくても、600ドル以上はありえそうですね。」
MrBurnsさんはこう言っています。「まあ、ソニーはPS5が2年以上にわたってeBayで700ユーロ以上で転売されているのを見て、それを公式価格にしようとしたんじゃないですかね。799ユーロでディスクドライブなしというのはさすがに予想外でした。でも、これが市場の現実なのかもしれません。個人的には、PS5の最初の2年間を考えると、彼らはその価格でも需要を見つけると思います。」
リチャード:
PS5の最初の2年間のハードルが下がったのは、私たちが新型コロナウイルスのせいで基本的に家に閉じこめられていて、娯楽のために極端な代償を払うことをいとわなかったからです。
それでも、家電の価格は全般的に上がっていますよね。例えばスマートフォンは、今ではフラッグシップモデルが1000ドル以上するのが普通になっています。だから、PS5 Proもその価格帯に収まると思います。問題は、それを正当化できるかどうかですね。
PS5 Proと通常PS5の違いは何でしょう?少しメモリが増えるんじゃないかと思いますし、冷却性能も向上するでしょう。そして、価格上昇の主な要因は、チップのサイズが大きくなることだと思います。でも、製造プロセス自体は比較的安価なものが使われているみたいですし、個人的には通常モデルの価格を下げて、Proが599ドルになることを予想していましたが、そうはなりませんでした。ジョン、まずあなたに聞きたいんですけど、驚きましたよね?
ジョン・リネマン:
そうですね、なんというか、私達は奇妙な時代に突入していると思います。ゲーム機の歴史を振り返ってみると、一般的に消費者はゲーム機が一定の狭い価格帯に収まることを期待していました。でも、HD時代にはその価格が少し上昇し始めましたよね。それ以前は基本的に300ドル以下でしたが、PS3の599ドルという例もありました。ただ、PS3はすぐに値下げされました。
リチャード:
実はちょうど今、(初期型PS3の)599ドル騒動のことを考えていたんです。
ジョン:
そして今回、また価格の上限を超えてしまいました。
同時に、リチャードが言ったように電子機器全般の価格がどんどん高騰しています。iPhoneが初めて出たときは、その価格に驚いたものですが、今では少ないストレージのiPhone Proでも1200ドルくらいします。他のフラッグシップ製品も同じ価格帯ですし、毎年これを買い替えている人もいます。
そして、GPUの価格も以前に比べて大幅に上がっています。昔の1080シリーズの時代はもう終わりました。あの時代の価格でも「高い」と感じる人もいましたが、今ではGPUはさらに高くなっています。
マイクロソフトがXbox Series X|Sを発表したときの話を思い出しますが、コストを考えると今の価格帯になったのにも納得がいきます。家庭用ゲーム機の分野では、伝統的に一定の価格帯に収まってきましたが、価格帯の上限を超えようとするたびにネガティブな反応が出てきましたよね。他の製品カテゴリーに比べるとこの価格上昇は衝撃的です。
北米での価格は何とかギリギリ許容範囲かもしれませんが、ヨーロッパや日本での価格を見ると驚きますよね。例えば、ヨーロッパでディスクドライブ付きのPS5 Proを買おうとすると920ユーロですよ。これはかなり高額です。これまでの家庭用ゲーム機の価格帯をはるかに超えています。
これが今後の方向性なんでしょうかね。例えば、次の世代では1000ドルのXboxとかが出るんでしょうか。それとも、他の選択肢が出てくるんでしょうか。もしかしたら、シリーズSとシリーズXを逆のような形で出してくるかもしれません。つまり、基本モデルと上位モデルが共存するような形で。
リチャード:
確かにそうですね。今、視聴者からの質問を読んでいたんですが、Pol Kallamataさんが言っていましたよ。「みんながPS5 Proは700ドルで高すぎると言っているけど、Chad Wardenなんかは700ドルでケツを拭く」って。「みんなお金がないのか、それともPS5 Proがゲーム機価格の許容範囲を超えているのか」って。
確かに許容範囲の上限を超えていますね。今後どうなるのか非常に興味があります。新しい家電製品が出るたびに悲観的な意見が出ますが、初期の供給量が少ないので結局売り切れますし、今回も同じことが起きるでしょうね。つまり、PS5 Proも最初は限定された数しか出荷されないので確実に売り切れるでしょう。
ただ、600ドルだったらもっと手ごろな感じがしたと思います。700ドルにしてはPS5 Pro発表時のプレゼンの質にはがっかりしました。もう少し工夫できたはずです。でも、最近はGPUの価格も上がっているというのもわかっています。私が気になるのは、こういった価格帯がPS6にも適用されるのかどうかです。まさか・・・とは思いますが。
家庭用ゲーム機の重要なポイントは、安価でメインストリームに製品を提供することですからね。PS5 Proの価格は逆ザヤになっているとは思いません。もし、PS5が500ドルでトントンだとしたら、PS5 Proで上乗せされた200ドル分の製造コストがかかるようには思えません。むしろ、利益が出るんじゃないでしょうか。
でも、さっきも言ったように、GPUの価格は確かに上がっています。この価格設定によって、PCにユーザーが流れるのではないかという意見があります。というのも、PCだとオンラインサービスのサブスクリプション料金が不要ですし、Epic Gamesから無料でゲームを手に入れられますし、Steamならクラウドセーブも無料です。しかも、PCゲームのクオリティは家庭用ゲーム機版よりも高いことが多いです。
ジョン:
確かにその可能性はありますね。あるいは通常モデルのPS5を買うか、Switch 2を待つ人もいるかもしれません。
リチャード:
Switch 2が500ドルくらいになるんじゃないかという話もありますしね。
ジョン:
そうですね、ただ、まともなゲーミングPCを買おうとすると安くないのはわかっているでしょう。
リチャード:
バーゲンセールでi5と4060を搭載したBTOパソコンが500ポンド(9万5000円)くらいで売られているのを見たことがあります。それは確かに本当に良い値段だと思います。
ジョン:
でも、そういったマシンで優れたパフォーマンスを引き出すためには、それなりの手間がかかりますよね。
アレックス:
4060ならね。値段の話に戻るんですが、私はPS5 Proが上から2番目のモデルのMacBookのようなものだと思うんです。つまり、選択肢を与えられていて、PlayStationが大好きな人たちはPS5 Proを買うでしょう。だからお金持ちの人が「売り切れる」と言っているんです。PlayStationを本当に愛している人たちは買います。
しかし、PS5 Proの価格は、従来の家電製品の枠を超えて別のカテゴリの価格帯に足を踏み入れています。特にEUの価格では。ゲーム機の価格としては、製造コストを考えれば現時点ではこれが限界かもしれませんが、この価格帯に入ると私はこう考えるんです。「ディスクドライブに払うお金をPCに投資したらどうだろう?」と。1000ユーロのPCは実際に素晴らしいですよね。
ジョン:
全くその通りですが、PCはリビングルームでは依然として使いにくいです。リビングでの使用は優れているとは言えません。
リチャード:
そこはいずれ解決されるでしょうね。マイクロソフトがやらないならValveがやるでしょうし、実際にはすでにその準備はできています。SteamはデスクトップPCのリビング用途にほぼ完璧に対応していますし。
ですが、本気でリビング向けのゲーム専用デスクトップPCを設計したいという人がいるとは思えません。皆が欲しいのはゲーム機ではなく『PC』として使えるものであり、自作したり、ASUSなどの製品を買ったり、身近な人に頼んで作ってもらったりしています。今後もそれが進む方向になるのではないでしょうか。
価格が上がり続けるのなら、プレイステーションがユーザーを引き留め続けるのには大変な努力が要るでしょう。しかし、第10世代の家庭用ゲーム機なら何とかなるんじゃないかと思います。第11世代目以降がどうなるか、本当に興味がありますね。
ゲーム機の価格上昇で消費者がゲーミングPCに流れる?
リチャード・レッドベター:
まず、視聴者のCameron O’Neillさんから質問がきています。「PS5 Proの価格が699ドルになったことで、NvidiaやAMDは新しい顧客を獲得するチャンスと見ているのでしょうか?この価格が来年のCPUやGPUの価格にどのように影響を与えると思いますか?Xboxが競争から外れつつある今、ソニーはNvidiaやAMDとより直接的に競争しているように感じます。これにより、PCゲームが価格とパフォーマンスの点でより有利になるのでしょうか?」
Retro Seanさんも質問をくれています。「Digital Foundryの皆さん、動画をありがとうございます。他の多くの人とは違って、私はこの価格が高すぎるとは思いません。PC用のGPUはかなり高価で、同等のグラフィックカードだけでPS5 Proの価格くらいかかるでしょう。ゲーマーは期待を抑えるべきでしょうか?」
リチャード:
PS5 Proの発表を受けて、Nvidiaはこの価格に対して喜んでいるでしょうね。彼らは40シリーズの価格で何年も批判を受けてきましたから、この価格設定は「性能を上げるには、対価を払わなければならない」というトレンドを強調しています。オリバー、この価格が家庭用ゲーム機とPCの間でより直接的な競争を引き起こすと思いますか?正直なところ、私はそうは思えませんが。
オリバー・マッケンジー:
そうですね。もし10年前に「600ドルのゲーム機」や「700ドルのゲーム機」などと言われたら、皆がPCに流れていったかもしれません。というのも、当時はその価格帯でもPCが十分な競争力を持っていたからです。しかし、今ではあらゆるハードウェアが高くなっていて、皆が価格に不満を言っています。ハードウェアを安くするには、プロセスの技術革新や何かしらの変革が必要です。現状では全体的に高くなり続けています。
ゲーム業界全体を持続可能にし、他の非ゲーム製品よりも魅力的にする必要があると思います。これは皆が感じている問題だと思いますね。しかし、ゲーム機の価格が上がっていても、同等のPCハードウェアと比較するとまだリーズナブルに感じます。
アレックス・バタグリア:
そうですね。PCと家庭用ゲーム機はそもそも別の存在ですし、PS5のゲームはPCでも発売され始めていますので、直接的な競争というよりは別々の選択肢として存在している感じです。確かに、一部の消費者はゲーミングPCに移行するかもしれません。競争は一部で起こるかもしれませんが、それほど直接的ではないと思います。偶々そうなることがあるだけです。
それに、マルチプラットフォームの未来という意味では、マイクロソフトのゲームは全てPCにも出ることが確実ですから、PCとゲーム機の直接的な競争というのは違うかと思います。オリバーが言ったように、どのようにゲームをプレイしたいかによって、2つの全く異なるタイプの人が出てくると思います。ソファに座ってリラックスしてあまり考えずにゲームを遊びたい人もいますし、現時点でのPCはそういった用途にあまり向いていません。
それに、PS5 Proは任意のアップグレードです。他にもPS5やXbox Series Sがまだ買えるわけですから、必要以上に心配する必要はないかもしれません。選択肢です。
たとえPS5 Proが高価であっても、ローエンドのPCと比較するとまだ良い選択肢と言えますね。ミッドレンジのPCと同等です。ローエンドPCハードウェアはそれほど改善されていないので、やはり選択肢としては有効です。
オリバー:
その通りです。PCと家庭用ゲーム機を比較したとしても、どちらも価格が上がっていますから、結局は均衡するのではないでしょうか。
リチャード:
ただ、PCを選ぶには多くの知識が必要です。例えば、RTX 4060が通常モデルのPS5のGPUとほぼ同等であることを一般消費者は知らないでしょう。私たちが教えてあげない限り。一般的なマーケティングでは、PCとゲーム機は別のものとして扱われています。しかし、最近ではゲーム機とPC、両者の価格が収束し始めているというのが、私たちが目の当たりにしている状況です。
PCの価格をゲーム機の価格に近づけるにはかなりの工夫が必要ですが、それができる企業はあまり多くないでしょう。そうですね・・・DellやHP、Lenovoのような企業が、本格的に家庭用ゲーム機とPCを競合させるような製品を作らない限り、難しいでしょうね。昔、Alienwareのゲーム機風PCがあったことを覚えていますか?
アレックス:
ええ。Alienware Alphaですね。
リチャード:
あれはノートパソコンのパーツを使って小型の家庭用ゲーム機のようなマシンを作った試みでした。Alienware X51もありましたね。X51は標準的なPCの設計を家庭用ゲーム機のようなフォームファクターにした試みです。
リチャード:
そうです。X51は面白い試みで、GPUを下部に配置し、ライザー付きのITXマザーボードを使った設計でした。それに、テレビで簡単に操作できるようにするソフトウェアも組み込もうとしていたんです。
PC側の企業が共同で努力すれば、こういった製品がもっと出てくるかもしれませんが、それには時間がかかりそうです。DellやLenovo、ASUSのような企業の協力が必要です。また、ゲーム機のようなPCを作るには、Windowsがゲームにとってより良いOSになることも必要です。この議論の争点だと思いますが、確かに価格だけの問題ではなく、製品の性質や手軽さも重要なポイントですよね。
コメント
用途がゲームだけならPS5でもproでも買えばいい。
でもそれだけじゃない人はpsなんて邪魔なんだよ
今の時代すうぃ~っちとPCあれば事足りるから、ビート版もどきはいらんのじゃ、
ワイの意見
直接的にゲーミングPCと競合しないのはそうなんだが、長らくPCゲームが不毛の地だった日本で、
主にコスパ面ではあるが比較対象に挙がってしまうだけで時代が変わったなと言わざるを得ない
まぁこれはアメリカでの話だろうから事情は異なるが
同価格帯のゲーミングPC買うよりコスパいいのは確かなんだけど、ゲームの開発費も高騰してるから開発会社もProじゃないとまともに遊べないようなゲームは作らないって考えると買うにしても普通のPS5でいい気はする
こういった比較記事が出てくるあたりもはやCSとPCは競合対象になってしまったんだよ
そして今後は更にCSとPCの性能的な価格差は埋まっていくでしょう
そうなった時CSは生き残る術を見つけなければいけないんじゃないかな
4060が無印PS5のGPUと同性能…マジ? Proじゃなくて?
現代の「ゲームで遊ぶ」って単純にゲーム起動してプレイするだけじゃなくなってる
Discord等でchatや通話、ゲームの情報を調べるためにWebサーフ、Youtube等の動画・音声垂れ流し
Modの導入、多様なデバイスの利用、ストリーミング配信・録画
コンシューマーゲーム機では今や「ゲームで遊ぶ」ことすらままならないと感じてしまう
スペック以前の問題なんだよね
パソコンとの比較でPS5 Proでしか遊べないできないことがこれだが…という論調にできないのが時代を感じる
PS5独占タイトルなんてリスキーなものは今後減って行くだろうし
すでに風変わりなゲーム専用パソコンとして見られるようになってる
そもそも、SIEのホームページのトップに掲載されているgod of warやHorizonですらPCで既に出来るからな
普通なら自社でハードを抱えていて自社製品の独占タイトルをライバルであるPC側にはリリースはしない
個人的にはハード撤退も考慮に入れていて、少しでも利益をあげるためにソフト側の幅を増やしているように思える
皮肉にもコンコルドが引き時をわからずに膨大なコストだけをかけて終了したけど、PS5proもまさに同じような気配がする
ちょっと話はずれるけど今のソニーの動き方だと取れる所から取るを
最重要視してる感じだからpsplusも昨年に続き再値上げしそうなんだよな
あとコスト削減でps3、vitaのpsnサ終
ps4も同時じゃないけど来年あたりpsnサ終でもおかしくない
PCと競合しないったって、PCのほうが圧倒的に汎用性広いじゃん
PS独占のゲームも減る一方だしさ
調べるのが面倒だとかトラブルが嫌なら素直にPS買っといた方がいいな
PCやスマホ,携帯ゲーム機がある時代にPS本体とTVを起動するのがもう面倒
時代にそぐわない
いいから買えっつーの
高いのが嫌なら任天堂スイッチでいいじゃん。世界じゃPS5の倍売れてるし、日本じゃ5倍以上差がある。
ちなみに同価格帯のゲーミングpcの方がコスパ良いです
さすがにそれはない
12万ぽっちじゃまともなPC組めんぞ
中古かドスパラならいけるかもしれんが絶対窮屈する
30万は欲しい
PSの生きる道は独占タイトルだよ
最近は圧に屈してやめる方向になってきてるけどさ
何が何でも続けるべきだった