2025年1月17日から開始されたRPG「アークナイツ:エンドフィールド」のクローズドベータテストのレビューと感想。
- 生産施設・工場・電力設備・迎撃用システムをプレイヤー自ら製造・設置し、拠点を発展させながら、同時並行でストーリーを進めたり、キャラクターを育成していく
- 開拓途中の惑星を舞台にしたSF世界観の物語
- チーム内のキャラクター全員が同時にフィールドに出て戦うアクション戦闘
- キャラクターだけでなく背景も含めて非常に高精細で美麗なグラフィック
- フィールドはオープンワールドに近いが、完全なオープンワールドではなく、壁や崖をよじ登ったり滑空したりすることはできない
- 設置した兵器を駆使しながら敵から拠点を守るタワーディフェンスのようなコンテンツがある
- 主人公以外全員獣人(角・獣耳・尻尾)
良い点
悪い点
「アークナイツ:エンドフィールド」は高品質なフル3DのRPGに『自動化工場』の設計・設置といった仕組みを導入したり、パーティに編成されたキャラクター全員が同時に戦闘に参加するといった、既存の人気タイトルと明らかに差別化された面白さがある。
一方で、プレイヤーの誰もが工場の生産ラインを設計することに興味があるわけではないので、人によっては面倒なだけに感じてしまう可能性もある。また、このゲームを長くプレイし、生産設備の設置が全て終わった後、唯一無二の面白さを維持できるのかは若干の疑問が残る。
全体のクオリティの高さは間違いなく注目に値するゲームだが、戦闘システムは中途半端さが否めず、大きな改善が必要なように感じたのと、基地建設要素の楽しさを長期的に維持するためのコンテンツを追加していけるのかがカギになりそうだ。
「アークナイツ:エンドフィールド」が人気タイトルの真似ばかりしたゲームにはなっておらず、広いフィールドがあっても敢えてフルオープンワールドにはしなかったり、基地建設のような複雑な仕組みをガチャRPGに持ち込んでいるなど、挑戦の気概を感じられることは本作が注目すべきタイトルである理由となる。
基地建設
アークナイツ:エンドフィールド最大の特徴が、自動化工場を設計する基地建設要素「集成工業システム」だ。
買い切り型のゲームでは「Satisfactory」や「クラフトピア」がまさにそのような要素を持つ。こういったゲームの基地建設要素がアークナイツ:エンドフィールドに取り入れられていると考えるとわかりやすい。

生産・加工装置、採鉱装置、さらには電力ラインやジップラインなどを設置できる。
各拠点は特定のアイテムを納品すると成長するため、自動化された工場を作ってプレイヤーが他のことをしている間も、ログアウトしている間も納品アイテムを製造し続ける必要がある。
また、装備の製造に使う素材も生産装置で加工することができる。

鉱物も採鉱機を設置することで自動で採掘でき、拠点まで転送できる。

生産施設や生産ラインの設計はプレイヤー次第。しかし、誰かが「テンプレ」を作って攻略サイトかSNSに掲載し、多くの人がそれを真似るだけになるかもしれない・・・。


武器以外の装備は拠点で製造して入手する。
装備のステータスは固定。その代わり、「基質」という武器に装着するアイテムにランダム性がある。

ポイントを使うことで設置可能な装置は徐々に増やすことができる。装置の使い方はそれぞれ丁寧なチュートリアルがあり、実際に体験しながら覚えることができるので混乱することはほとんどない。
筆者はこの手のビルディング/クラフトゲームは得意ではないが、それでもゲームの進行に支障をきたすことはなかった。

ゲーム内には「Wiki」があり、生産関連のあらゆる情報が手に入る。

フィールドを高速に移動可能なジップラインの設置場所も設置数もプレイヤーの自由。ジップラインを張り巡らせればフィールドの移動が格段に楽になる。
他のゲームではあまり見ない?仲間キャラが採鉱を手伝ってくれる
アークナイツ:エンドフィールドでは、プレイヤーが鉱物を攻撃するとチーム内のキャラも一緒に攻撃し、採鉱を手伝ってくれる。また、栽培では収穫や水やりを手伝ってくれる。
戦闘システムの改善が必要な理由
「アークナイツ:エンドフィールド」は4人のチーム内キャラクター全員がフィールドに出て戦う。キャラの切り替えは戦闘中にも自由に行える。操作していないキャラクターのスキルも発動できる。
全員で戦うというのは「FF7リメイク」や「テイルズオブシリーズ」「ゼノブレイド」など、日本のアクションRPGではお馴染みではあるが、スマートフォンでも遊べるゲームのリアルタイム戦闘は意外と珍しい。
「連携技」というスキルがあり、キャラ毎に異なる条件を満たすと発動できる。
しかし、今回のベータテスト段階では、「ごちゃごちゃしていてわかりにくい」「アクションが中途半端」というのが率直な感想だった。アクション性と戦略性の間でどっちつかずになっている。
以前のテストでは、疑似ターン性だったが、リアルタイムアクションに変更されたようだ。正直、戦闘システムの変更が本当に正しい判断だったのかは難しい・・・。筆者個人としては、『ドラゴンエイジ』シリーズのような戦闘システムを維持してくれていた方がより興味を持てたかもしれない。
リアルタイムアクションの方が現代の主流でユーザーが受け入れやすいが、戦略性と個性は幾らか犠牲になっているように思う。現段階ではこのゲームのアクションは中途半端でフラストレーションが多く、戦闘のためにプレイするという人はあまりいないように感じた。今後の改善に期待したい。
タワーディフェンス
バトルコンテンツとしては、拠点を襲撃しにくる敵を迎撃するタワーディフェンスが良いと感じた。設備製造可能な本作だからこそ、自動迎撃システムを生産して配置し敵を迎え撃つという楽しさがある。


エンドコンテンツの「蝕数深巣」
敵を倒しながらステージを進み、最後のエリアにいるボスを倒す。報酬は毎週更新。

オープンワールドではない利点
本作はオープンワールドではない。第一章のマップと第二章のマップは全く異なるゾーンにあり、繋がっていない。
アークナイツ:エンドフィールドのフィールドは広いが、オープンワールドゲームのようにキャラクターが人間離れした動きで自由自在に探索することはできない。滑空することもできないし、水に落ちればやり直しとなる。オープンワールドゲームならジャンプして飛び降りられそうな場所も降りられなかったりする。
崖は設置されたロープを使って登らなければならないし、ロープがなければ歩いていける道を探すしかない。エレベーターに乗る必要がある場所もたくさんある。
しかし、オープンワールドでないことが欠点にはなっていない。探索要素はあるが、探索への比重はそれほど高いわけではない。移動が自由ではないからこそ、それ自体をギミックのように活用している場面が多い。

また、本作では建物の中にシームレスに入ることができる。建物に入る時に暗転したり、ロードが必要になったりすることはない。外から地続きで中に入れる。
ただし欠点もある。
ベータテスト段階で、このゲームのキャラクター移動の操作性は決して良いものではない。滑空もできないので、ジャンプで足場を渡っていくような場所は本当に悩みの種だった。下の画像ような場所なら尚更だ。

SF設定・世界観・ストーリー
タロIIという衛星を開拓し、文明を築いた人々を様々な脅威から救うというのが本作の主人公達の物語である。

地上の生産拠点も宇宙空間にいる帝江号から投下したシステムを用いている。
わけのわからない理由ではなく、れっきとしたSF設定に基づいているのも好感が持てる。




ストーリーについては、冒頭は本当に最高級だと言っていい。

しかし、壮大な冒頭部分が終わり、第一章が始まると急に味気のない、展開に乏しいものになる。長編の第一章なので仕方ないが、残念ながら先が気になって仕方がないというようなストーリーではなかった。キャラクターの魅力を十分に引き出せているとも言えなかった。

それでも、メインストーリーは「フルボイス」で、キャラクターのアニメーションもしっかりつけられていて、2D立ち絵の会話で済ませてしまうようなこともなく、力の入れ様と途方もない制作費を感じる。

作戦前のブリーフィングの演出にこだわりを感じる。これだけでも何か価値がある。
帝江号の中にはキャラクター達がいる
宇宙空間には「帝江号」という宇宙船が停泊中で、その中にも移動することができる。帝江号の中にはプレイヤーがガチャで入手したキャラクター達がおり、プレゼントをあげたり、製造や培養等の作業に従事してもらうことができる。
筆者が気に入ったのは、帝江号の中でキャラクター達が各々行動していることだった。棒立ち状態でいるわけではなく移動していたり何かしていたりする。こういった細部にこの開発チームの力量を感じる。

ガチャについて
最後にガチャについて。本作にはキャラクターガチャと武器ガチャが存在する。
レアリティは★6まである。

ベータテストということもあるが、比較的ガチャ用の石は入手しやすく、★6のピックアップキャラクターを両方とも入手することができた。80回で★6キャラの天井。ただし50%の確率ですり抜けがあり、120回まで到達するとピックアップキャラを確定で入手できる。
武器ガチャは★6でも排出確率が4%と高い。
また、★6武器や★5武器はガチャを引いた時のおまけで買うこともできるので、良い武器に困ることはなかった。

発表されてから早3年
「アークナイツ:エンドフィールド」は2022年に発表された。今年で発表から3年が経過した。
中国のアニメRPGの業界において、リリースまで3年かかるのはかなり長い方である。
作り込まれた美麗なグラフィックに、自動生産工場のような複雑な仕組みや、戦闘システムを大胆に調整しているのを見ると、時間がかかってしまう理由にも納得がいく。他のゲームにない独自の魅力。それはリスクを伴うが、ますます競争が激化しているこのジャンルでは、リスクを取ってでも他との差別化を図る必要がある。
ベータテスト段階でもアークナイツ:エンドフィールドにはアニメRPGの他作品とは差別化された魅力があった。素晴らしいことだが、それが幅広いユーザーに受け入れられるのかどうかは未知数だ。


コメント
戦闘スターオーシャン5なんか
なんか面倒くさそう\(^o^)/
理由なく面倒くさいって結論はただの老衰だね
これからどんどん新しいものに興味が薄れていくって恐怖だわ
アクションしたい人にとっては戦闘が物足りなかったり工業部分が面倒と感じる場面があるだろうし
工業楽しみたい人によってはアクション苦手だったりいらないって人もいる
その辺りのバランスをどう考えてるんだろうね
クラフトや工場の自動化といったゲーム性、アクションだけではないパーティ編成を加えたRPG要素、シームレスではないが自由度の高いフィールドでのコストの最適化、そしてアニメ調かつストーリーで魅力を引き立たせるキャラゲーでのマネタイズ、これでもないかといったように流行りの要素の詰め合わせで言うほど我が道を行ってるか?
と、思いつつもよくこういった要素をまとめて来たなと感じるので期待はしてる
同意。他作の人気要素で固めてるだけで、別に独自性はないじゃんとは思った。そもそもオリジナルだって千年戦争アイギスの丸パクリだし。
パクった上でクオリティはしっかり高めるという作り方はかっての日本みたいだよなあ。
元々ストラテジーや都市育成ジャンルが好きな層としては売れて欲しいゲームではある
アニメ調は今まで無かったし、あとアクションにあまり傾倒するとスマホでは操作しにくいのでこれくらいでいいと思った
ベータでは少ししかやれなかったがタワーディフェンスに期待してる
ガチャは良心的だから一応やるけど、工場建設と戦闘のどっちも取ってどっちも特化したゲームより微妙ってなりそう
ガチャは限定キャラが120連で確定(他は180連が多い)次のガチャで恒常入りするからすり抜けても楽しい
武器ガチャはキャラガチャ回したときの副産物で回せるのと、直接ポイントで買えるのと2種類ある
無課金でもかなり遊べそう
アクナイが好きだった自分としてはアクション戦闘部分がいらない
まぁアクションのほうがウケがいいんだろうけどさ
タワーディフェンスは良さそう
>ガチャを引くためのリソース(石)がたくさん入手でき
信用するのはまだ早い