「勝利の女神:NIKKE」や「Stellar Blade」の開発会社として知られる韓国のSHIFT UP(シフトアップ)のイ・ドンギ テクニカルディレクターのインタビューの要点をまとめた。
イ・ドンギ テクニカルディレクター インタビュー要点まとめ
- 最初、SHIFT UPがAAA級のコンソールゲームを開発すると言った時、韓国のコミュニティからは懐疑的な見方があった
- 全世界のゲーマーにどう受け入れられるのか、果たして通用するのかという期待と不安があった
- そんな不安もあったが、ユーザーから良い評価をもらい、ストーリーやキャラクターも多くの人に気に入ってもらえて、自信を得ることができた
- コンソールゲームは初挑戦だったこともあり、もっとやりたかったこともあった
- 例えば、キャラクターの顔の表情などはもっともっと改善できる領域だと思う
- ゲーム内に登場する缶を実在の飲料メーカーとコラボしたかったが、SHIFT UPの認知度が不足していたため難しかった。今後はそういうコラボもできる時代が来るんじゃないかと思っている
グローバル市場で成功するためにしたことは?
- キム・ヒョンテ代表が本当に多くのインタビューに応じた
- 韓国のゲームメーカーでソニーのセカンドパーティとして発売されたゲームは初だった
- パブリッシングとマーケティングをソニーがやってくれたため、SHIFT UPは開発に集中することができた
- State of Playで紹介されるなど、ソニーの助けがあったことでグローバルでもある程度の認知を高められた
- ソニーがローカライズを支援してくれたため、Stellar Bladeは22カ国の言語に翻訳され、9カ国の言語の音声を実装することができた
- 素晴らしいと感じたのはQAテストだった。ロンドンにソニーのリサーチチームがあり、このチームと共にテストを実施した。このテストにより、理不尽な部分や改善すべき点を発見することができた
- 最も重要だったのは体験版だった。体験版がかなりのアピールになった
- 体験版は30分程度のボリュームだったが、体験版だけを数十時間プレイしてやり込んでいた人達もいた
家庭用ゲームを開発しようと思ったきっかけ
- イ・ドンギ テクニカルディレクターは、キム・ヒョンテ氏と共に「ブレイドアンドソウル」の開発を担当していた過去がある
- 2018年に「エンディングがあるゲームを作ってみないか」と勧誘された
- キム・ヒョンテ氏が「プレイヤーがゲームをクリアしてエンドクレジットが流れる時、ゲームパッドから手を離して余韻を感じられるゲームが作りたい」と言った
- 2018年頃に韓国で家庭用ゲームに挑戦するメーカーはほとんどなかったため、キム・ヒョンテ氏の意思がなければ実現しなかった
- 「韓国で家庭用ゲームを作ってみよう」という意思に賛同し、その目標に力を貸すために集まったのがSHIFT UPの開発組織だと思う
- 皆が作りたいゲームを作っていたから本当に全力を尽くせた。開発過程で問題が生じても、解決策を皆で話し合って考えた
- 開発そのものについては、ブレイドアンドソウル等で3Dゲーム開発経験がかなりあったので役に立った
- PCやモバイルで3Dゲームを制作してきた人たちが集まっているので、3Dゲーム開発のノウハウがあった
Stellar Bladeを作れた理由
- キム・ヒョンテ氏がゲーム開発時に時々口にしていたのが「自分たちが作りたいもの、得意なものを作れば、その中でまた自分たちが得意なポイントが見つかり、きっと優れた何かを生み出せるはずだ」という内容だった
- Stellar Bladeが具体化される前に、キム。ヒョンテ氏が提示していた方向は、「ソウルライクほど極端に難しくなく、ボタンをただ押すだけでクリアできるほど簡単でもない。その中間地点を見つけたい」だった
- 開発していく中で、Stellar Bladeの難易度はどんどん上がっていってしまった。開発者が繰り返しプレイするうちに慣れて簡単に感じるようになり、不安からより難しい要素を入れるようになった
- そこで、テストを通じて実際のユーザーがどう感じるのか、何が過剰なのかを確認した
- あまり難しくない操作でもスタイリッシュで華麗なアクションを楽しめるという方向性を追求できるように努力を重ねた
- カットシーンを通じてストーリーを巧みに表現する、このような類のゲームは韓国では一般的でなかった
- Stellar Bladeを開発しながら、多くの経験とノウハウを築くことができた
- 今後のゲーム開発では、遥かに自然に感情を伝えることが可能だと思う
“開発力を示す必要があった”
- 現実的には売上本数は無視できない。Stellar Bladeの場合、単一ハードで100万本以上を販売したので、成果を上げることができたと考えている
- Stellar BladeはSHIFT UP初のコンソールゲームだったため、開発力をはじめとして見せなければならないことが売上だけでなく他にもたくさんあった
- 「Stellar Blade」がひとつのIPとしてゲーマーから愛され、魅力的なIPとして定着してほしいという願いがあった
- IPが確立すると、トレーラーでロゴが表示されるだけで歓声が上がるようになる。「Stellar Blade」がそうしたIPになれたらという思いが開発当初からあった
- SHIFT UPという会社の名前が出てくるだけで熱狂的な反応が出て、ゲーマーが期待してくれるようになるのが、進むべき方向だと思う
- Stellar Bladeが初公開された時の記憶が鮮明に残っている。2022年に初公開された時、朝4時だったが、夜明け前に会社で複数の人が一緒に配信を見て、視聴者の反応を見た覚えがある
- 当初は「これは何?」「初めて見るゲームだ」「Stellar Blade?」というような反応だった。
- Stellar Bladeはアップデートでバージョン1.08になった
- ライブサービスをするような感じで毎月アップデートしている
- プレイヤーからのフィードバックを見て、改善できるものは改善しながらパッチを準備している
- 発売後にボスチャレンジも追加され、フォトモードが追加され、ニーア:オートマタコラボのDLCが発売された
- 他にもStellar Bladeを完成形にするために準備しているものが少しある
- 発売したらそれで終わりではなく、着実にアップデートしていくことが私たちの戦略
- PC版もしっかりと準備を進めている
NIKKEもステラーブレイドもグローバル市場で成功できた理由
- 会社の強みを活かし、その能力を集中させたことが理由ではないか
- 「得意なことをやり、作りたいものを作ろう」というのがSHIFT UPの開発の方向性
- サブカルチャーを含め、そういった分野で会社の理解度が高いのも特徴
- 「SHIFT UPらしさ」を表現する方法をよく理解しているとも感じている
- 愛情を持って制作しているからこそ、ゲームに細かなディテールが反映され、そのディテールをユーザーが評価してくれるのではないか
- 『理解度』が非常に重要だと思う。
- 自分たちがうまく表現できるもの、得意としているものについて常に考え続けており、ユーザーが望むものにも細かく気を配っている
上場しても開発チームを一気に増やさない
- SHIFT UPには開発会社としてのアイデンティティがある
- SHIFT UPが作るゲームには明確な独自のスタイルがあり、表現もブレがなく、ゲームに対する確固たる信念がある。こうした点をユーザーの皆さんがこれからも期待してくれたら嬉しい。
- 現在、会社の規模や安定性もより強固なものになってきているので、さらに素晴らしいゲームをお届けできると信じている
- SHIFT UPでは、今の段階では開発スタッフを増やさないようにしている
- 通常、会社が上場すると、開発チームを急に増やしてゲームを何本も作ることがあるが、SHIFT UPはそうではない
- 今の開発チームが経験を積み重ね、ノウハウを継承していくことが目標
- いきなり規模を大きくすることなく、内側を固めていくつもり
引用元:inven
コメント
> 素晴らしいと感じたのはQAテストだった
これはなかなか手強いメーカーになってくれそう
最大限に得意なことを伸ばす一方で、だめな一点で足切りされないようにするのは大切
褒めてるQAテストはソニーのチームのことを言ってるような…
でも中途半端になるより得意なことに特化するのはユーザーとしても期待したいな
PS5時限独占だと技術的にもマーケティング的にもかなりサポートしてくれるって話はFF16でもしてたけど、それで売上100万本とか300万本だとマルチ展開とどっちがいいんだろうな
ケツが成功の秘ケツ
日本のゲームパクれば大体成功するわな