海外のMMO情報サイトMassivelyOPが公開した「2016年最高のMMORPG開発者の言葉」を紹介。
Raph Koster
(ラフ・コースター, ウルティマオンラインのリードデザイナー, Star Wars Galaxiesのクリエイティブ・ディレクター, エバークエスト2のチーフクリエイティブオフィサー)
“私はシリコンバレーの有力な幹部職員達に、ソーシャルVRとARの倫理的影響(ethical implications)について訪ねました。
彼らの反応は「倫理的影響って何?」でした。
様々な分野のオンライン業界のベテランなら、これが何なのかすぐに理解できると思います。しかし、ソーシャルVR、ARなどの業界で働いている平均的な人間はこのことを知らないように感じます。
彼らが自分たちが設計しているものを気に留めていないのは、過去の膨大な教訓からも明らかです。”
ポケモンGOがアメリカでリリースされた直後にラフ・コースター氏が投稿した「AR is an MMO」の一文。
この後ポケモンGOで社会的にどういったことが起こったのかは読者の皆さんもよくご存知の通り。
ソーシャルVR/ARが与える道徳的な影響について、開発会社の幹部達は全く考えていなかったわけだ。
Mark Jacobs
(マーク・ジェイコブス, Dark Age of Camelotのリードデザイナー, Mythic Entertainmentの元CEO, Warhammer Onlineのリードデザイナー)
“ええ、あなた方は私の事をよく知っているでしょう。Camelot Unchainedにはロックボックスは出てきません。ホリデーギフトやサプライズ、小さな仕掛けなどが欲しい時は手に入れることもできますが、RMTに結びつくものはありません。
無料のボックスはものをプレゼントする手段としては上手くいくでしょうが、金儲けをする方法としてはこのゲームではやりません。
BANハンマーの使い方はWarhammer Onlineの最盛期に実際にやってみせたので、あなた方なら私のRMT業者に対する考えはわかるんじゃないですか。“
かつてジェイコブス氏の会社が運営していたWarhammer Onlineでは、RMT業者やBOTを凄まじい勢いでBANし、その度にBANをしたという告知がゲーム内に表示されていた。ユーザーがそれを鬱陶しく思うほどにたくさん表示されていたのだ。
ジェイコブス氏は新作のCamelot Unchainedでも絶対にRMTに結びつくようなものは入れないというスタンスだ。
そして、他のオンラインゲームがやっているような、ランダムボックスを販売するということもしない。
徹底的にゲームとリアルマネーの繋がりを断つ。RMT業者を野放しにするゲームが多い時代に貴重な言葉だ。
そして、マーク・ジェイコブス氏のこんな発言も・・・
“本当の話だが、私がゲームのために電話会社に9本の電話回線を引いてもらおうとしたら、彼らは少しの間躊躇したよ。そんなたくさんの電話回線を欲しがるのは、私が麻薬の密売人か売春宿の経営をしているからだろうと電話会社に言われたよ。”
Scott Hartsman
(スコット・ハーツマン, Trion WorldsのCEO、SOEの元シニアプロデューサー)
“プレイヤーはさらに多くのゲームに分散しています。タイトルの数が増え続ければ増え続けるほど、プレイヤーは分散していきます。かつて夜中に4時間もMMOをプレイしていた世代の人たちが、今や1回10分でプレイできるゲームの方により関心が向いています。
我々は変化を目の当たりにしているんです。オンラインゲームはまだまだ強力です。たくさんの古いMMOは昔よりも近づきやすくなりました。”
意外と盲点になること。場が広がれば人々もそれに応じて広がっていく。
昔はオンラインゲームジャンルが狭かった。だから皆が同じ様な場所にいた。
これはテレビにも言えることで、昔は一つの家にあるテレビの台数も少なく、チャンネルも少なく、インターネットもなかったから皆が同じ番組を見ていた。今はより多様な番組を各々の好みに応じて楽しめるようになったわけだ。
それはとても良いことだ。
Jeromy Walsh
(ジェロミー・ウォルシュ, Sounlbound StudiosのCEO, Chronicles of Elyriaのクリエイティブ/テクニカルディレクター, マイクロソフトの元シニアソフトウェアエンジニアリングリード)
“このゲームが完成するのにもっとお金が必要だというニュースに驚く人がいるなんて想像できませんでした。あのお知らせの部分は、単に皆さんにMMOの開発にはお金がかかるということに気づいてもらうつもりで作りました。”
MMORPG「Chronicles of Elyria」は約1億円のクラウドファンディングに成功したが、その後、完成にはさらに2~3億円必要ということを告知した。その結果、資金提供者にもう一度寄付をさせようとしていると勘違いされ、炎上してしまった。
しかし、ゲームメーカーにとってクラウドファンディングは資金調達の始まりでしかなく、その後も資金集めは続くわけで、たとえインディーゲームであってもMMO開発には莫大な資金が必要だというのが十分に理解されていなかった事が明らかになった出来事だった。
クラウドファンディングに成功しても完成しないゲームがあるのもこのためだ。
Massively Overthinking: The best MMORPG developer quotes of 2016 – Massively Overpowered
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