【オープンワールドゲーム】心理学的に「報酬のために探索をさせる設計」だとプレイヤーの意欲や興味が低下する

コンソールゲーム

海外メディア3DJuegosの記事では、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の世界がなぜ楽しいのかについて解説しており、オープンワールドゲームにおける『探索』と『報酬』の関係について心理学を絡めて深堀りしている。

結論から言えば、プレイヤーが宝箱などの見返りを期待して世界を探索するよりも、見返りを期待せずに探索した結果として報酬が得られた方が効果的だという。

PR

1973年の心理学実験

1973年にスタンフォード大学のマーク・レッパー氏が行った実験。

3歳~5歳の子供を3つのグループに分け絵を描かせた

  • 1つ目のグループには「絵が描けたら褒美を与える」と予め説明した
  • 2つ目のグループには何も伝えずに絵を描かせ、褒美も与えなかった
  • 3つ目のグループは予め何も伝えず、絵が描けたらサプライズで褒美を与えた

実験の数週間後…

  • 1つ目のグループの子供は自主的に絵を描くことが減った ❌️
  • 2つ目のグループの子供は絵を描くことへの興味が以前と変わらなかった ➡️
  • 3つ目のグループの子供は絵を描くことへの興味が高まるか、興味が維持された🎨

予め褒美を貰えると教えられて絵を描いた子供達の絵に対する意欲が低下したことがわかった。

過剰正当化効果(アンダーマイニング効果)

内発的な動機で行っていた活動に報酬という外発的動機が与えられると、その活動への興味や意欲が低下してしまう心理現象

もともとその活動自体を目的としていたところに、報酬を目的とするよう理由を与えると、その活動自体へのモチベーションが失われることが証明されている。

オープンワールドゲームで言えば、「探索をしたら必ず報酬を与える」ような設計にしてしまうと、プレイヤーは義務感を覚えてむしろ探索への興味が失くなってしまうというもの。

アンダーマイニング効果とは?意味や事例、対策を解説 - ハーモストレンド
ビジネスで成果を上げるには、いかに従業員のモチベーションを高められるかが重要なポイントです。基本的に会社はチームで動くため、一人でもモチベーションの低い従業員が

「報酬のためにやらせる」設計だとプレイヤーのモチベーションは維持できない

『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』や『エルダースクロールズV: スカイリム』などがオープンワールドゲームとして優れているのは、プレイヤーが内発的に探索をしたいと思って行動し、探索を始める前に報酬があるのかどうかはわからないゲームデザインになっている点にあるという。

ブレスオブザワイルドでは、必ずしも探索した先に報酬があるのではなく、何もないこともあるが、その設計のおかげでプレイヤーのモチベーションが維持できるという。

Nintendo of America ビル・トネリン副社長:
「任天堂のゲームデザイナーたちは、プレイヤーに対して『こうすれば伝説のアイテムが手に入る』といった遊び方を指示することはありません。ゲーム内で様々なことを試すことで、思いがけない報酬やサプライズを得られる仕組みになっています。私の考えでは、これこそがプレイヤーの探求心を刺激する要因になっており、単に『これをやればポイントや報酬が貰える』という発想を超えた楽しさにつながっているのです」

しかし多くのプレイヤーは先に目的と報酬を知ることを好む

このような心理学的な証明があるにも関わらず、プレイヤーの多くは、これから何をやるべきなのか、それをやったら何を獲得できるのかをゲームが教えてくれることを好むようである。

ゲームクリエイターは、プレイヤーが何をすればいいのかわからなくなってしまわないように、クエストやミッションでどこに行くべきなのか、そこに行ったら何が手に入るのかを事前に説明するが、それが過剰正当化効果を発生させ、モチベーションを低下させる逆効果になってしまっているケースも多々見られる。

The Elder Scrolls V: Skyrim

このことはオープンワールドゲームの探索に限らず、オンラインゲームやソーシャルゲームにおける報酬の設計全般に拡大しても当てはまることなのかもしれない。オンラインゲームやソーシャルゲームではデイリークエストのような報酬を軸としたコンテンツ設計が為されていることも多いため、ユーザー心理に過剰正当化効果が発生している可能性は否めない。

Nintendo ha estado jugando con tu mente. Y su gran trabajo de psicología ha hecho que Zelda: Breath of the Wild tenga uno de los mejores mundos abiertos que hemos visto
Es un pensamiento que comparten muchísimos jugadores. Zelda: Breath of the Wild es, probablemente, u...

コメント

  1. 匿名 より:

    サプライズなことが重要かもね
    報酬目的で探索して報酬がショボかったらがっかりしてやる気無くなるし
    風脈みたいだとやらされてる感しかなくなるから

    • 匿名 より:

      風脈は飛べる事の利便性が極端過ぎて必須過ぎるんだよな
      こんなの強制と同じなんだよ

      フライング自体はメインクエだけで開放させて
      風脈見つけたらプラスアルファ(速度上昇とか高度上昇)にすればいい

  2. 匿名 より:

    大分前だからうろ覚えだけど、フィールドを作るときプレイヤーがあそこ何かありそうと思うところにはちゃんと”何か”を配置したみたいな話をブレワイかエルデンの開発者インタビューでしてなかったっけ

  3. 匿名 より:

    何があるか分かってしまってると、分かってる所しか行かなくなるしな。
    そうなると、何も無いエリアはただの無駄エリアになってしまう。

  4. 匿名 より:

    オープンワールドに限らずエリア制でも同じだけど
    強化要素や利便性向上要素を
    細分化して色んなフィールドに散りばめればいいだけなんよな

    FF16はRPGを名乗ってるくせに
    これが一切無かった、そもそも意図的に排除してた

    第三開発は探索の楽しみが無いゲームを作らせたら天才だよ

    • 匿名 より:

      ゲーム性次第じゃねぇか?
      ペルソナもRPGだけど探索の楽しみがあるタイプのゲームじゃないし

    • 匿名 より:

      RPGの定義が人によって違うしな
      ストーリー要らないとか批判してるのも見たけど、RPGなんだからストーリーがメインでバトルは味付けだと思うんだけどな
      マップや街があるから色々やりたいのは分かるが

    • 匿名 より:

      マジで記事読まずに言いたいこと書いてるだけのコメントで笑う

  5. 匿名 より:

    うーん おもしろい
    何もかも未知が一番たのしいのか…

    MMORPGが飽きるのも似てるのかも
    何もわからないうちは楽しいけど、
    クエや日課が報酬獲得のための労働になった瞬間に飽きが始まってた気がする

  6. 匿名 より:

    探索してたら報酬があったっていうのは1回やったらもう脳は報酬を期待してるから
    どんな作りをしようが報酬を用意した時点でダメじゃん

    • 匿名 より:

      猿の実験であったな
      ボタン押して100%エサが出ると満腹になったら押さなくなるけど
      ランダムだといつまでも押し続けるってやつ

    • 匿名 より:

      そうなんだよな、心理学的にそうなのはわかったけどじゃあどうすりゃいいんだっていう
      「これをしたら報酬が」がダメならそれこそ全部がガチャゲーになっちまうよ……

  7. 匿名 より:

    たしかにそうね
    WoWとかアレなんだって場所が多くてマウント乗って世界を見てまわってたな
    探索したくなるかは興味が湧くマップデザインだな

    • 匿名 より:

      スカイリムはアレなんだ?って移動してたら別の物が見えて
      コッチはなんだ??になるように配置されてたように思う
      俺はそういう設計が好きだな

  8. 匿名 より:

    >これはすべてのビデオゲームが内発的動機と予期せぬサプライズだけに焦点を当てた体験であるべきだという意味ではありません。

    って元の記事に書かれてるけどゲームの方向性によるよね
    探索する事自体を楽しむオープンワールドならよくても、MMOのボス討伐なんかはゲームとして達成感があるのは初回だけでそれ以降は作業だから報酬がないとやらないし、逆に報酬が追加されると今まで放置されてたボスの取り合いになる
    ハクスラ系もそうだけど同じことを繰り返すのは結局報酬があるから

  9. 匿名 より:

    そもそもの母数がかなり減ったけどMMOにコレを持ち込まれるのが本当に糞
    ログインしてデイリーミッション達成しないと損しますよ?みたいな設計

PR
タイトルとURLをコピーしました